銃使いにくい
日本という島国。
世界において珍しく、”軍隊”と呼ばれる武力組織がいない国家。
だが、それは国家だけの話であり、国の力を頼らずとも各国からの圧力、武装勢力などとも有力者達からの支援によって、運営される非合法な裏の軍隊。”武”の組織がある。
その戦争能力は1組織においては最大であり、大国とも渡り合う。
組織の名は、”鵜飼組”。
人間を超越した、”超人”と呼ばれる男達が主に支える、日本が非公式の裏の”軍隊”。
「中東にいるテロリスト共を始末してこいだぁ~?荒れてるなぁ、あそこは……」
鵜飼組の幹部、”用心棒”。
山寺光一。
「光一よ、死にに行くんじゃ」
鵜飼組、”3代目組長”
鮫川隆三。
「ふざけんなっ!クソ爺!!」
「光一、口が悪いぞ。鮫川組長だっての」
鵜飼組の幹部、”用心棒”
天草試練。
「そうですよ。光一さんがテロリスト如きに敗れるわけないじゃないですか」
鵜飼組の参謀、
伊賀吉峰。
組長の鮫川を筆頭に、戦闘特化の6人幹部”用心棒”、頭脳に伊賀を加えての鵜飼組。
日本では非合法な軍隊と呼ばれるほどの、武装組織。その中でも戦闘能力では光一と天草の2名は抜きんでていた。
「儂ほどじゃないがな」
「爺、覚えてろ……」
武力とは、方向違えば災害となる。
命も金も時間も、知識も人も自分も、知らずにテロリストととなる者達。悪役あって、成り立つ正義がある。売名目的でも金目的でもなく、
「若いもんは刺激せんと成長できんぞ」
鮫川の本音はソレである。
実力なければ、誇張されただけの存在。まだまだ強くなるために死地を潜らせ、死ねばその程度の事。鵜飼組は月に何度かは、このような小競り合いに部下、あるいは鮫川自身が参加する。精鋭優遇にもそれなりの理由があった。
「まったく、移動で疲れるぜ。飛行機乗るのも楽じゃねー」
光一がうんざり気味で俯いた一瞬。
鮫川と伊賀はドッキリにしてはやり過ぎなぐらいの事を仕掛ける。伊賀は懐から、鮫川は手の中から
パァンパァンッ
同時に光一に向けて、銃撃をするのであった。
一瞬の出来事で天草の目は丸くなっていた。だが、わずかな殺気ですぐに戦闘モードになっていた光一。
「!さすが、光一さん。右手一本で止めるなんて……」
「……伊賀~~。テメェ、この先輩に向かって銃撃するとは良い度胸じゃねぇか」
2人合わせて、合計4発。伊賀の1発は光一の右手で掴まれていた。皮膚が少し焼けた程度の傷しか与えられないほど、頑強な肉体。
銃弾なんかが通じる相手ではない。
そして伊賀の攻撃は確実な悪戯と分かっていたが、この爺のは違う。油断も隙もねぇ奴。
「爺!!俺の首と心臓を狙いやがったな!?」
「首への弾丸を避けたのは見事じゃぞ」
「お前の殺意はサイボーグでも感じ取れるっつーの!!どーいうパワハラだ!!」
至近距離ではないが、間違いなく銃が有効な範囲での速射。
伊賀と違って、体内に銃が内臓されているサイボーグ爺の鮫川は伊賀の早撃ちを凌駕する速射。それにも反応し、急所への銃撃を避けられ、ガードされる始末。
「やはり銃は貴様等クラスになると、あまり使えんな……テロリストの兵器はお前に効くんかのぉ?」
「鮫川!!テメェなぁっ!テロリスト共に自分の兵器を使わせてるだろ……!実験台を俺にして!」
「そう言うな。ところでもう1発は……」
光一の左手には心臓を狙ったと思われる、鮫川からの弾丸が入っていた。
撃った最後のもう一発は……。
「!……なんだこれ?俺にも撃ったんすか?鮫川組長」
「天草よ。ヘッドショットされても気付かぬのは、いただけんな……毒ガスはちゃんと避けるんじゃぞ」
「お前ホント。どーいう肉体してんだ」
「それでいて、天然マイペースですね」
見事過ぎるほど、天草の眉間のシワにぶち込まれていたのだが、……。天草の光一を凌駕する異常過ぎる肉体の前では、弾丸など消しゴムのカスのような、威力にしかならなかった。
撃たれた本人も気付くのに時間を要したほど。
この”超人”達の前では非常識こそが正常。