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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

死してなお

作者: 無名

読んでもつまらないと思う。

 夢を見る。特殊能力を得たとき俺はどれほど格好良くなれるのだろうか。

 現実を見る。俺は平凡。何にもなれない。特殊能力を得ることも、格好良くなることもできない。

 

 夢を見る。まるで充実した生活環境で、同僚や後輩に慕われ、先輩には気にかけてもらえる。更にはかわいい彼女付きだ。マジ最高。

 現実を見る。マイペースな俺には慕われるどころか、存在を感知するやつだっているか危うい。仕事は俺のほうができるはずなのに、気にかけてもらうのは馬鹿なアイツだ。周りの奴らにはほぼみんな彼女がいて俺は売れ残り。

 

 夢を見る。一人の人を救って、自分は命を落とす。その時俺は正義のヒーローになってたくさんの人に悲しまれながら死ぬ。

 現実を見る。一人の人どころか、社会貢献さえせずに死んでいく。誰にも悲しまれず、哀れむ顔さえ見ずに一人で死んでいく。

 

 夢を見た。人を殺す夢。ヒーローどころか悪人になってしまう夢。それが存外心地よかった。それと同時に俺が壊れ始めてることを悟った。ああ、残念だ。夢の一つも叶えられず、現実に潰され、壊れる。そうして俺は死ぬことを決意する。

 

 崖に立った。自殺の名所と言われる場所で同じおもいで死んでいった人がいるかもしれない場所に立っていた。死への関心があったから自然と死への恐怖はなく、飛べる気がした。

 でも、飛べなかった。壊れた俺は死ぬことへさえ無関心になってしまった。そのことを気づくタイミングが悪かった。

 そして俺は飛ばずに歩みを進めた。なんの面白みもなく。ただ、落ちた。

 夢を見る。俺が死んだことが報道されて、いくらかの人から可愛そうだと思われる。それだけでも十分な気がする。

 現実を見る。あ、死んだ。

  『グシャッ』嫌な音が最後に響いた。

おつかれ

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