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水しか使えない最強生物  作者: 猫宮るな
94/126

94話

 西のダンジョンの十階層、ここがこのダンジョンの最初のボスだ。


 ボスの魔物はワイルドドッグリーダーとワイルドドッグ五体である。ワイルドドッグリーダーはその名の通りワイルドドッグを引き連れて行動する魔物で、引き連れているワイルドドッグの能力を上げるという能力もあるらしい。


 そのため今までの階層のワイルドドッグよりも強くなっているのと、ワイルドドッグリーダーもいることから難易度が格段に上がっているようになっている。


 ワイルドドッグリーダー単体でもワイルドドッグの上位互換で、身体も大きく、素早く、力強い。


 また連携もしてくるようで、そのことがさらに難易度を高めている。


「移動しながら軽く作戦は説明していたが、改めて説明するぞ。まず連携が面倒だから、リーダーを抑えているうちに他のやつらを倒すということになる。リーダーを抑えるのは俺とレヴィ、カイでやる。他は周りのやつらを倒してくれ」


「カイも入れて大丈夫なのか?」


 俺が少しだけ思っていたことをハスターナが言ってくれた。カイは九階層のワイルドドッグ相手に一対一でも戦うことに苦戦していた。俺とスカルノで他のを相手してカイの方へと向かわせないようにしなければ危なかったと思う。


 だからリーダーを相手にするのは正直きついと思うのだが、俺はカイのことはほとんど知らないし、スカルノが決めたことなら従うつもりでいる。


 ハスターナが聞いてくれたことで俺も聞きたかったのでありがたかった。


「俺も戦えます!」


「でもさっきのワイルドドッグ相手でもきつかっただろ」


「うっ」


 カイもわかっているようで反論は出来ないようだった。


「そうだな。カイではいくら俺がいるといってもリーダーを相手にするのは無理だろうな。でも今回はレヴィがいるからな、何とかなるだろう」


「私?」


「ああ、ここまで見てきたが問題がないどころか余裕で対処出来ていたし大丈夫だろ。カイの動きを見て攻撃したりもしていたからな」


 いやそんなこと言われても嫌なんだけど、はっきり言えば俺とスカルノだけでも充分だと思うし足手まといはいらないんだけど、などと思っているが言うことはなく黙った。


 スカルノの目を見ればすでに決定事項ということがわかったので諦めるしかない。


「それに本当にだめだと思ったら俺が責任を持って下がらせるから大丈夫だ」


「それにしても何というか、初めから私のこといいように使い過ぎてない? 普通ならもっと気を使ってくれると思うんだけど」


「レヴィのことは最初ギルドで会った時から強いと思っていたからな。これでも強いかどうかを見る目はあると思っているから」


「だからと言って使っていいことにはならないけどね」


「あはは」


 こんな会話をしているならば見た目的に同年代であるカイが反論の一つでも言ってくると思ったのだが、彼は大人しくしかし少しだけ悔しそうにうつむいていたのだった。


 その様子には気が付いていたが同じくらいの年齢の俺が何か言っても逆効果だということはわかっていたのもあって、何も言うことはしなかった。それに同じパーティメンバーがいるのだ、彼らに任せておけば大丈夫だろうし。


 そうしてボス部屋の前で少しの休憩を挟んだ後、俺たちは中へと入っていたのであった。


 まずは予定通り俺たちがリーダーを相手しないといけない。部屋の中に入った時はリーダーが一番後ろにいて、その周りを囲うようにワイルドドッグたちがいた。つまりその中からリーダーだけを引き連れてこないといけない。


 普通であれば面倒なことなのだが、後ろから五つの魔法が飛んできて、それぞれワイルドドッグに当たった。すると魔法が当たったワイルドドッグたちは消えていなくなり、部屋の中にはワイルドドッグリーダーだけとなってしまった。


 あれ? 確かにワイルドドッグはメリアナたちが倒すことになっていたけど、とりあえず引き離してからそれぞれ分かれて戦闘をすることになっていたはずだったのだが。


「おい! 倒すのが早いっての!」


 スカルノも知らなかったのか驚いていたが、当の本人はと言うと、


「いいじゃない。これでリーダーだけに集中することが出来るでしょ」


 と言って気にした様子もなく言い放った。


 まぁ確かに他を気にしなくても良くなったのはいいとは思うけどね。スカルノとしてはそのことも頭に入れて戦うということにしたかったようにも思える。ま、楽になったのは変わらないしいいか。


「オオオォォォォォンン!!!!」


 ワイルドドッグを倒されたことにより、リーダーが怒ったのか大きな鳴き声をあげて今にも飛び掛かって来そうな態勢へと入った。


「予定とは違くなったが俺たちやることは変わらない! カイ! レヴィ! やるぞ!」


「はい!」


「うん」


 俺たちの返事と同時にリーダーは俺たちに向かって飛び掛かって来た。


 俺とスカルノだけでなくカイも余裕で避けることが出来ていた。リーダーにおびえることなく動けているので、そこまで心配することはないだろう。あるとすれば純粋に実力のことである。


 避けると同時にスカルノは持っている剣で一撃与えていたことから攻撃対象はスカルノとなった。それからは攻撃をすることなくリーダーからの攻撃をひたすら避け続けていた。


 事前に俺が引き付けるから二人は攻撃してくれとスカルノに言われていたので、とりあえず予定通りに動けている。カイもなるべく攻撃を受けないようにして、剣で攻撃を繰り返していたが、その動きが速いからか上手く攻撃をすることは出来ないでいた。


 一方の俺はと言うと、サボるわけにもいかずリーダーの尻尾を中心に攻撃をしていた。犬ということからも尻尾による攻撃もしてくる、しかもその攻撃は無視できるものではなく、カイがもしまともに当たってしまったらしばらく起き上がって来れないほどのダメージを受けてしまうほどである。


 そのため俺は尻尾による攻撃を邪魔しつつ、カイへの支援をいつでも出来るように構えていたのであった。


 ちなみにサイズによる支援魔法はカイにしか使っておらず、スカルノと俺は素の状態で戦っている。使わなくても大丈夫だと言われて結局使われることはなかった。


 その後もスカルノが引き付けて、カイが攻撃するということが続いていた。


「レヴィ! もっと攻撃出来んだろ! さぼんな!」


 カイの動きも特に問題なかったので尻尾以外のことはあまりしていなかったことがスカルノにバレてしまった。バレてしまったのはしょうがない、大人しく攻撃することにしようか。


 正直なところ俺一人でもこのボスたちは倒すことが出来ると思う。というか簡単に倒すことが出来るだろう。あのリーダーも素早いが俺にとっては問題ないし、防御力もそこまでない。


 なので出来るだけ楽をしようと思ってしまったことがいけなかったようだ。


 俺は今までの攻撃よりも魔力込めて水の刃を飛ばした。狙う場所は尻尾の付け根の部分である。そして狙い通りに当たり尻尾を切り落とすことが出来た。それにより痛そうに大きな声で鳴いているリーダーに対して、チャンスだとばかりにスカルノとカイも攻撃をしていた。


 そうして後ろの片方の脚ばかり攻撃していたカイの努力もあって、片足を引きずるようになっていた。こうなってしまえば後は簡単である。素早い動きは出来ないし、尻尾による攻撃も出来なくなった。


 スカルノも攻撃に参加する様になり、すぐにワイルドドッグリーダーを倒すことが出来たのであった。


「おつかれー」


「お疲れじゃないわ! レヴィ、お前さぼり過ぎだろ!」


 倒すと真っ先に俺の方へと向かって来たスカルノにそんなことを言われてしまった。


「いやー、カイが脚に集中して攻撃をしていたから、私が攻撃しなくても倒せると思ってたから抑えていたんだけど」


「それにしたってもっと攻撃しろよな。俺は常に攻撃を避けてて大変だったんだぞ」


「スカルノなら大丈夫だと思ったから」


「そうよ。レヴィちゃんにも理由はあったんだし、スカルノもあれくらい大丈夫でしょ。そんなにごちゃごちゃ言わないの」


「そんなこと言いつつ、お前も最初一気に倒しやがったよな」


「だって面倒になったんだもの」


 それからも言い合っていたが不思議と悪い雰囲気になっていないようで、サイズとハスターナはと言うと、カイのことを褒めていた。


 今回見た様子だと次に来るときはスカルノとカイの二人だけでもリーダーだけなら倒すことも出来ると思っている。そう思ったからそこまで攻撃をしていなかったのだが、まぁ二、三割ほどだけど。残りはただ面倒で楽がしたかっただけであったが、言うと怒られることは間違いなさそうなので黙っておくことにする。


 こうしてボス部屋を攻略した俺たちは休憩した後、次の階層へと向かって階段を下ったのであった。



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