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水しか使えない最強生物  作者: 猫宮るな
93/126

93話

 ディターヌの西に位置するこのダンジョンでは、主に犬や狼など獣系の魔物が出現する。それは現在三十階層まで情報があるが、すべての階層でそれは一貫して同じことだった。


 もちろん強さが変わっていたり、種類が変わっていたりはするが、獣系の魔物がという点では変わっていないようだ。


 ダンジョン内に入ると、朝の時間帯でみんな入ったばかりだからか多くの人が探知範囲にみて取れた。この街のダンジョンは入る人が多いので、問題にならないようにルールが定められている。


 他の人のことを攻撃しないことはもちろんのこと、他のパーティと出会った時は緊急の時以外すぐに離れることや道が一本道の時に出会ったら次の分かれ道で離れるなど、そういったものが決められている。


 しかし破ったからと言って何か罰則があるわけではないので時にはそういったルールを守らない人もいるようだ。そういった人は他の冒険者から嫌われパーティに入れなくなったりひどい場合にはみんなで排除したりすることもあるので、滅多にはいないが一応気を付けておいた方がいいらしい。


 必然と人が多くなりやすい朝には強いパーティに先を譲ったり、時間帯をずらしたりして対処しているようで、冒険者同士の仲も比較的みんな良いので問題が起きることは少ないようだ。


 今回俺たちが潜った時もスカルノたちのパーティは上位に位置するパーティなので、みんな先を譲ってくれてどんどん先の方へと進んで行った。


 その間周りに人が多いからか魔物とは出会うことなく進んで行けた。様子見で上の階層で魔物を倒したかったという気持ちもあったが、まぁ大丈夫だろう。


 そうして俺たちは最短ルートを進んで行き、あっという間に五階層まで辿り着いた。


「よし、それじゃあここから少しずつ戦闘しながら進むことにしようか」


「わかりました!」


「と言っても、当分は俺とカイ、レヴィの三人だけで倒していくけどな」


 スカルノの言葉にカイが元気よく返事をしていた。後ろの三人に関してはのんびりとしていて、メリアナにいたってはあくびまでしていた。


 というか気合が入っているのはカイくらいで俺を含めて他のメンバーは街中と変わらないような雰囲気だ。


「レヴィも準備はいいな?」


「はい。大丈夫ですよ」


「あー、そうだ。もしあれなら敬語とかは必要ないぞ? 俺もこんな感じだからな、特に気にしないし」


「そうですね。特に苦ではないのですが、どちらでもという感じですかね」


「それじゃあ、レヴィちゃんは敬語禁止ね!」


 スカルノと話していると、メリアナがそう言って来た。


「了解です!」


「だから敬語禁止だってば!」


「いや、今のはノリというか、そんな感じで」


「え? そうなの?」


 そんなわからないと首を傾げているメリアナを見て、みんな笑ってしまうのであった。


 そんな雰囲気の良い中カイは俺のことを良く思っていないのか、納得がいかないみたいで複雑そうな顔をしていたが、スカルノたちが言ったことに反論しないようで黙っていた。


「それじゃあ、行くか!」


 本格的なダンジョン攻略が始まったのであった。


 気になっていたのはどうやって魔物がどこにいるのかを確認するのか知りたかったので、一先ず探知能力のことは言わずに、スカルノの言葉に従いながら進んで行くことにする。俺に求められているのは後ろから援護することだった。


 そして魔物が近くにいることがわかり、このまま行けばちょうど出会うこともわかったので、確認させてもらうことにする。


 リカルドと一緒に行った時は最初から俺の探知能力のことを言っていたので、どうやって普段は魔物の位置を確かめているのかということを見たことはなかった。まぁ予想としては気配とか勘とか言いそうではあるけど、とりあえずそのことはいいだろう。


 さらに魔物へと近づいて行き、もう少しで出会うといったところで、


「魔物です。数は二、そこを曲がったところにいます」


 カイがそう言ったのであった。


「そうか。まずはカイとレヴィで一体ずつ倒してくれ」


「わかりました」


「わかった」


 俺とカイがそれぞれ頷くと、スカルノは俺の後ろへと下がって行った。


「どうする?」


 俺がカイに問いかけると、


「二体がちょうど並んでいるから、右と左で一体ずつだな」


「なら私が左でカイは右よろしく」


「それで行くか。合図したら同時に出るぞ」


 そう言って通路の角まで近づいて行き、


「今!」


 という声とともに走り出した。


 通路を曲がって見えたのは犬型の魔物で名前はワイルドドッグという魔物だった。この魔物は動きが素早く、噛みつきや爪での攻撃をしてくる。そして特徴として決して一体では行動することはなく、二体以上で必ず行動する魔物のようだ。


 今回も二体いるので当てはまっている。もし一体であれば近くにもう一体はいると思って動かないと痛い目にあう魔物である。


 動きが速いといっても俺にとっては全く問題にならない速さなので、落ち着いてカイの動きを見ながら、攻撃することにした。


 カイは走りながら剣を引き抜き、ワイルドドッグに向かって行った。そして俺たちに気が付いたワイルドドッグたちは態勢を低くして、襲い掛かって来た。その動きはカイも見えているようで俺も安心して自分の仕事に集中することにした。


 カイは剣を右側に構え、そのまま向かって来るワイルドドッグにすれ違いざまに剣を振るって切り伏せた。その後は油断なくもう一体のワイルドドッグを目を向けて構えていた。


 俺はカイの一連の行動を見て、一体倒したのを見て水の弾を撃った。弾は見事にもう一体のワイルドドッグの頭に当たり、その身体は魔石だけ残して消えていった。


 戦闘が終わりカイが二つ魔石を持って戻って来た。マジックバックはメリアナとサイズが一つずつ持っている。サイズのものが持って来た食べものや色々なものが入っていて、メリアナの方が手に入れたものを入れておくものであった。


 なので手に入れた魔石もメリアナの方へと入れる。そうして問題なく初めての戦闘は終わったのであった。


「あんな水魔法あったか?」


「いいえ、ないはずよ。つまりは変化させたものでしょうね」


 俺の攻撃を見て思うところがあったようで、そんな会話をしていたがいいわけというか答え方は考えて来たので問題はない。


「さっきのはウォーターボールを小さくして速く撃つようにしたものだよ。小さくした分威力は上がっているし、速いから使いやすいんだよね」


「なるほどな。魔法の変化は難しいと聞いたが、すごいな」


「そうかな? それよりもカイはどのくらいの範囲のことがわかるの?」


 そこまで深いことは話すことは出来ないので、話を変えると同時に気になっていたことを聞いてみた。


「ああ、俺がわかるのはそこまで範囲は広くないし、それに生き物だけしかわからないから罠とかはわからないんだ。その分正確にわかるけどな」


「そっか。私も探知能力はあるけど、範囲は広いけど正確にはわからないんだよね」


「レヴィそんなことを隠してたのか」


「まぁ少しは言わなかったことには悪いと思ってたけど、自分だけだとこの探知に頼ってるから、他の人たちはどうしているのかと思って言わなかったんだけど。あまり変わらないみたいだね」


「そうか、確かにそれが当たり前だと他が気になるものか。俺たちもカイが入ってからはこんな感じだしな、それ以前は大体の気配が俺やハスターナがわかったからそれで対応していたしな」


 やっぱり強い人になると気配とかそういったものでわかるものなんだな。ということは一般的なのはホルンたちがやっていた、常に警戒して進んで行くというやり方なんだろう。あれは疲れそうだし、気が抜けないので大変だと思う。


 その後も何回か俺とカイだけで魔物と戦い、七階層まで辿り着いた。このダンジョンの最初のボスは十階層ということなので、七階層からはスカルノも戦闘に加わって進むことにしていた。


 出て来る魔物はほとんどがワイルドドッグでその数も増えていた。最低でも三体は常に一緒に行動しているし、多い時には五体同時に現れるときもあった。しかしその数でも問題なく進むことが出来ていたし、カイが少しだけ疲れていたくらいで進むペースも同じペースで進んでいた。


 そうして十階層のボス部屋の前まで一気に進んで行ったのであった。



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