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水しか使えない最強生物  作者: 猫宮るな
92/126

92話

 ギルドで帰って来たことを伝え、手に入れた魔石を売却した。そうしてギルドを出て宿屋へと帰って行った。


 宿屋に帰るとスカルノたちがいて、何やら話している様子だった。メンバーもカイと呼ばれていた少年ともう一人見たことのない人もいたので、パーティの全員がここにいるのだということがわかった。


「おかえりなさいませ」


「ただいまです」


 またユーミルが俺が帰ってきたことにいち早く気づいて、そう言ってくれた。


「あ、ちょうどいいところに帰って来たわね」


 それから遅れて気が付いたメリアナが手招きして「こっちこっち」と言って来た。素直に従って近づいて行くと、みんなの視線が俺に集まった。


「こいつがさっき話していたやつか? まだガキじゃないか」


「それをお前が言うか」


「俺はもうガキじゃねぇよ!」


 スカルノとカイの言い合いというか、遊ばれているだけだと思うが、俺は会話に入れずにどうしていいかわからなくなった。どうしたものかと悩んでいると、


「はいはい、レヴィちゃんが困っているでしょ。いいから黙ってなさい」


 そう言ってメリアナの隣の空いている席に俺を呼んだ。俺が座ると、ユーミルに飲み物を頼んで話すことになった。そこで俺はフードを被ったままだったことを思い出して、フードを取った。


 すると息を呑むような音が聞こえてきたが、俺は気にしないことにした。


「えーっと、改めましてレヴィと言います。冒険者ランクはCです」


「はっ!? 嘘だろ!?」


 俺が自己紹介をすると、カイが驚いた様子で言って来た。カードを出そうかと迷ったがその前に、


「俺も確認したから嘘じゃないぞ」


 というスカルノの声で出すのを止めた。


「じゃあ私もまだ自己紹介していないからな。私はハスターナだ。見ての通り獣族の熊人でランクはAだ」


 なんというか堅物な感じの人だな。身体も大きく筋肉もすごいから攻撃力は高いのだと想像がつく。というかこのパーティみんな強い人ばかりじゃないか。一人を除いてだけど、おそらくはサイズもあまり話すことはないけど高い実力を持っている人だと思うし。


「ほら、お前も自己紹介しろよ」


「わかってるよ。俺はカイだ。ランクは、まだDだ」


 俺に負けているからだろうか、少しだけ言いづらそうに言って来た。まぁ別に気にすることではないと思うのだが、こんなすごいパーティの中にいるのだし。まぁ何を言っても余計なことを言うことになってしまうだけなので、言うことはしないけどね。


「んじゃ、全員の自己紹介も終わったことだし、少し早いが飯でも食べながら話そうか」


 と言うとスカルノは適当に注文していった。そうして食べながら明日以降の予定を立てていくことにしたのだった。


 俺は全く疲れていないということで明日からダンジョンに潜ることになった。行く場所は難易度で言うと二番目に難しいところだ。つまり西のダンジョンに行くことになった。


 これは俺からの要望でそれにみんなが良いと言ってくれた結果そうなった。


 この西のダンジョンは現在三十階層で攻略が止まっていて、まだ全部で何階層まであるのかはわかっていない。魔物の強さも下の方へと潜っていくとそれなりに強くなっていくことからも、予想ではアルンのダンジョンの少し簡単なバージョンだと思っている。


 魔物の強さでダンジョンの深さが決まるわけではないので、どのくらいまで行けば終わるのかわからないけど、攻略階層を更新するくらいはすぐに出来ると思っている。


 このくらいの深さになると日帰りすることは出来ないので、ダンジョン内で泊まることになる。今回は必要なものはすでにスカルノたちが用意してくれたらしいので、その厚意に甘えることにした。


 情報共有は大事なことだが全部言うのは時間が掛かるので、今回はスカルノたちがいつもしているような戦い方に俺が混ざるということになる。そのため俺の出来ることを聞いておいて、俺は指示を聞いて動くという形にするようだ。


 簡単なものは俺も他のみんなの情報は聞くが大体は俺の出来ることを聞くだけということにした。これには俺も文句は無いし、やりながらでも知っていけばいいと思い基本的には従うということにした。


「レヴィちゃんは一人で行動しているみたいだけど、攻撃手段とかはどんな感じなの?」


「えーっと、私は基本的には水魔法で倒していくという感じですけど、近接戦闘も出来ますよ。ですので前衛でも後衛でもいけますね。中衛と言ったところでしょうか」


「なるほどね。どちらも出来るから一人で行動しているんだね。武器は何使ってるの?」


「水魔法で剣や鞭を作ってそれで攻撃してます」


「なるほど、なるほど」


「じゃあ最初は俺とカイが前で、その後ろにレヴィ、メリアナとサイズ、ハスターナという順番で良さそうだな。それできつくなったらまた変えればいいだろし」


「ああ、私もそれでいい」


「そうね。でも最初の方は私たちは何もしなくても良さそうね」


「まぁどちらにしろ、行けるところまで行く予定なんだ。嫌でも出番は来るってもんさ。レヴィもそれでいいか?」


「はい、大丈夫です」


 スカルノとカイは近接の攻撃役でメリアナが魔法での攻撃役、サイズが支援と回復、ハスターナも近接の攻撃役でとなっている。つまり、前からの魔物はスカルノ、カイ、私で対処して、後ろからはハスターナとメリアナが対処するという形となった。


 そういうわけで一通りの確認をした後は明日からダンジョンに入るということで、早めに休むことになり、この場は解散ということになった。


 俺は別に疲れてはいなかったが、みんなが気を使って早く休んだ方が良いと言って来たので、部屋へと戻って適当に暇つぶしをしていることにしたのであった。もうすっかり暗くはなっているが、明るくなるまで何時間も暇つぶしをしないといけないので退屈だが、すでに慣れたことなので今日も今日とて色々と練習する時間として夜を過ごしたのであった。




 朝となりダンジョンへとスカルノたちと行く日がやって来た。


 起きて下へと行くとすでにユーミル、スカルノ、ハスターナは起きていて、朝ご飯を食べていた。


「おはようございます」


 挨拶をして、俺もユーミルが用意してくれた朝ご飯を食べ始めた。相変わらず美味しくこれなら食べなくてもいい俺でも食べたくなる美味しさである。


「そうだ、レヴィ。他のやつらはパーティとして登録してあるから大丈夫だけど、レヴィはしてないから一緒にギルドまで行ってもらうからな」


「わかりました」


 ギルドではあらかじめパーティの申請をしておくと、メンバー全員で行かなくても依頼を受けることが出来るし、ダンジョンへと入ることも出来るようになる。なので今回のような誰かが加わる時はパーティの誰かとその加わる人が一緒に行けばいいということになるのだ。


 そうして俺はスカルノと一緒にギルドへと向かい、ダンジョンへと入る許可をもらいに行ったのであった。他のメンバーはダンジョンに直接行くみたいで、俺たちもギルドからはダンジョンに向かうこととなっている。


 西のダンジョンも街から歩いて行ける距離にあるので、こうして分かれて行っても問題なく行くことが出来るのだ。そしてダンジョンの前で合流して入って行くこととなる。


 ダンジョンの入り口の見た目は遺跡のようになっていて、見てきた中で一番しっかりした造りなっているように思える。


 入り口の近くにはすでに他の四人が居て、いつでも入れるような感じだった。


 それぞれの装備はと言うと、前衛職のみんなは大事な部分を守れるような防具だけ付けており、動きやすそうな見た目だった。他はただの布の服に見えるが、高ランクの冒険者なのできっとそれなりに良いものを着ているに違いない。そして後衛の二人はいかにも魔法使いというような服だった。


 大体の戦い方なんかは格好を見ればわかるが実際に見てみないと完全にはわからないので、少し楽しみである。


 またダンジョンの情報も一通り調べてあるが実際に見て体験するのは違ってくるのでこちらもどんな感じなのか楽しみだった。


「よし、それじゃあ行くか!」


 スカルノの掛け声と共にみんなダンジョンの中へと入って行くのであった。



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