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水しか使えない最強生物  作者: 猫宮るな
80/126

80話

 マリーに夕飯だと呼ばれて、ユアに手を引かれながら食堂に行くと、すでにみんな集まっているようだった。


 いつの間にか冒険者組も帰って来ている時間だったようだ。ユアと一緒にいるとあっという間に時間が過ぎていってしまうな。まぁそれだけ楽しいということなのであろう。


 しかもテーブルに用意してある食べものがいつもと比べて豪華なものが並べてある。一番初めに浮かんだのが誰かの誕生日なのかということだったが、それなら事前に知らせてくれているかもしれないと思い、違うと考えた。


「おっ、主役の登場だな」


 俺たちが入ってくるのを見たリカルドがそんな言葉を言って来た。


「何、不思議そうな顔してんだよ。ダンジョンの完全攻略したんだろ」


「え? もしかしてそれで?」


「もしかしなくてもそれしかないだろう。俺たちが冒険者ギルドに帰ってきた時にはすでに情報は広まっていたぞ」


 その言葉に周りの男たちも頷いていたので、もうそのことが広まっていることがわかった。早くは、ないのか。俺が帰って来たのは朝だったしな。それくらいの時間が経っていれば広まっているのは当たり前のことなんだろう。


「そっか。次行くときはやっぱりめんどそうだね」


「まぁ確かにな。素直に祝ってくれるやつはいいが、いちゃもん付けてくるやつもいるだろうからな。だけど今はそれは置いておくことにして、ダンジョン攻略を祝おうや」


 そのまま席に案内されて座ると、みんながコップを持ち始めた。俺とユアもマリーから受け取ったコップを持った。それからリカルドが立ちあがり周りを見渡す。


「みんな持ったな。それじゃ、レヴィのダンジョン完全攻略を祝って、乾杯!!」


「「乾杯!!」」


 その後はみんな競い合うように食べ物を手に取って食べ始めた。今日みたいな豪華なものは今までなかったし、みんなにとっても珍しく次いつ食べれるかわからないからそういった競う形になってしまっているのだろう。まぁ俺の近くではそんなことはなく、みんないつものペースで食べているのだけどね。


「もしかして、これ俺が帰って来てから買いに行ったの?」


「はい。前回のお祝いの時はちゃんとしたものを準備することが出来ませんでしたので、今回はしっかりと祝わなければならないと思い用意いたしました」


「すごかったんですよ。俺たちが帰ってくるなり、もう買いに行く場所が決まっていて、どのルートで行くというのも決められていましたから」


 今日の担当はクリム達だったのだな。ギルドで俺のことを聞いていたから、その対応にも困ることなくむしろ納得し、積極的に協力していたのだとか。そんな感じでみんなが俺のために準備してくれたのかと思うと、嬉しいな。


「ありがとうね」


「っ! いえ、こんなことしか出来ませんので」


 俺が微笑んでお礼を言うと、マリーは少しだけ顔を赤くしてそう返してきたのであった。どう見えも照れ隠しにしか見えないので、その言葉に反論することなく俺も食べることにしたのであった。


 それにしてもマリーの照れる顔なんて久しぶりに見たけど、やっぱり良いものだと思う。普段しっかりしていて隙が無いような人がたまに見せる表情はギャップがあってすごく破壊力のあるものだ。


 その証拠に周りのリカルドたちも驚いたような顔をしている。ただでさえ美人なのだから、いつもそんな表情を見せていればもっとモテること間違いないな。過去の境遇のことを考えれば今のままで良いのかもしれないけど。


 その後も騒がしい中、食事が続きみんな楽しそうな表情をしていたのだった。


 ダンジョンの攻略を終えてしまった俺は次に何をしたらいいのかということが全く決まっていなかったが、みんなのそんな表情を見ると今は考えずに後で考えればいいかと思うのであった。


 食事も終わり子どもたちがお風呂に入るため女性たちもその面倒や後片付けを行っていた。そんな中俺はリカルドと手に入れたものについて話があると伝え、話すことにした。


 内容は剣、槍、指輪のことである。この三つは俺は使うことはないので、上げると言ったのだがただで貰うのは良くないと言って来たのだ。


「レヴィがいくら使わないからってそんなに軽くあげていいもんでもないだろ。それに売ればたくさんのお金が手に入るんだぞ?」


「でもクランの仲間だからあげるということもあるし、それに売るにしても使えるものがあるのなら私としては知っている人に使ってもらいたいって気持ちもあるし」


「でもなぁ。タダでもらうってのも気が引けるし、それらに対するお金もあるわけではないからな」


「私は必要のないものを上げるだけだからお金とかはいらないんだけども」


 とまぁそんな感じでずっと平行線な話し合いになってしまっていた。確かにリカルドの言っていることはわかるのだが、同じクランなのだからそこまで気にする必要はないと思う。だっておそらくはリカルドも同じようなことをすると思うし。


「必要ないって言うのだから素直にもらっておけばいいんじゃないですか?」


「クリム。お前までそんなことを言うのか」


「いやだって、使わないのであれば持っていても意味はないですし、売ってお金にするよりかはクランの誰かが使った方が結果的には得をするのではないですか?」


 確かにクリムの言っていることは正論かもしれない。お金を手に入れても何に使うんだということになるし、お金であれば自分で稼げばいいと思ってしまう。もしクランの誰かが使えば戦闘能力が上がって、稼ぎも良くなる。なので俺が自由行動をすることももっと出来るようになって結果的には自由に動くことが出来るということになる。


「後はクランで持っていれば他の誰か、例えば次の世代でも使えるようになるからそっちの方が良いでしょ」


 俺は今思い付いたことだったが、後押しにあればと思いそのことも言ってみた。


「確かにそうだな」


 これはリカルドが折れたかな? そうであればいいんだけど。


「わかった。これらはクランで所有するということにする。これでいいだろ」


「うん! よろしくね」


「誰が使うのかは俺らで話し合うことにして、レヴィたちは風呂に入ってきていいぞ」


 いつの間にかもう空いていたのか。とりあえず話すことは終わったので俺はユアを引き連れてお風呂へと入って行くことにした。


 不要なものの回収もしてもらったし、新しい装備の確認とか色々とやることはあるにはあるが、一応目標にしていたことは終わってしまった。


 冒険者ランクCになることは出来たし、ダンジョンも完全に攻略することが出来た。次のこれといった目標はまだ見つけてはいないが、明日からはのんびりしながら何かやりたいことを見つけていきたいと思う。


 そんな考えをしながらも、お風呂に入り、部屋に戻って、ベッドへと入り、ユアの可愛い寝顔を見ながらも色々と考えるのであった。終始ユアが俺とは離れずにぴったりとくっ付いていたことは何となく予想できることだとは思う。


 ベッドの中では自然と色々考えてしまうが、ダンジョンでの攻略した時に力を与えられたがそれの確認は一応は済んでいる。帰り道でどのくらい上がったのか確認したのだ。それに加えて手に入れたマントの効果や指輪の効果も確認しなくてはいけないだろう。


 まだまだやることは多いがこれからも頑張っていこうと思う。もっと強くもなりたいし、色んなものを見てみたいとも思う。そのためにも出来ることを一つずつやっていきたい。


 そんな決意をした夜であった。



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