79話
気が付けば初投稿から三か月が経つのですね。
みなさんのおかげで書き続けることが出来ています。
これからもよろしくお願いいたします。
ギルドでのやることは終わったので、屋敷へと帰って行った。
そして屋敷へと入るために扉を開けると、待ち構えていたかのように飛びついてきた。その小さな身体で俺の身体をぎゅっと抱き締め、離さないようにとそんな気持ちが伝わって来た。
「ただいま」
俺はユアの頭を撫でながら言うと、ユアも顔を上げて、
「おかえり!」
そう返してきたのであった。その瞳を潤わせながら。意識することなく手の動くままにそのまま頭を撫でていると、奥の方からマリーもやって来た。
「ただいま」
「おかえりなさいませ。お風呂はすぐには用意することは出来ませんので、お部屋の方でゆっくりなさっていて下さい。準備が整い次第お呼びしますので」
「いや、お風呂はしなくていいよ。私だけのためにやるなんて面倒だと思うし」
「いえ、そんなことは」
「いいから、いいから。部屋の方でゆっくりしていることにするからさ」
「かしこまりました」
ここで俺が何かするって言ったら、余計面倒なことになりそうだから今日のところは部屋で大人しくしていることにしよう。疲れてはいないから問題ないんだけど、それを伝えても意味はないだろうし。
そのままユアを引き連れて俺は自分の部屋へと戻って行った。
部屋に戻るとユアが掃除している最中だったのか掃除用具が置いてあった。
「あー、手伝うのはだめか。終わるまで別のところで待ってようか?」
「大丈夫だよ。レヴィはベッドでゆっくりしてて!」
ユアにそう言われてしまったのでそれに従い大人しく俺はベッドの上に行った。ユアは少し俺と掃除道具を交互に見ていたが、まずは掃除をすることにしたようだった。まだやり始めたばかりだったようで、高いところを拭いている。俺はその様子を見ていていたたまれなくなったので、ユアに声を掛けてみたのだが、
「手伝うよ?」
「いいからレヴィは休んでて!」
と言われてしまったのでそれ以上は何も言えずに、ユアの掃除している姿を見ているしかなかったのであった。
俺よりも掃除を優先して俺の手伝うも断るようになるなんて、これが成長したということなのだろうか。嬉しくもあり、寂しくもあるそんな複雑な気持ちになってしまった。
一生懸命背伸びをして高いところを拭いていたり、力を込めるためか「んしょ、んしょ」と声を出しながら拭いていたりしている姿はとても可愛く、見ていて飽きることはなかった。見ているだけということで少しの罪悪感があったが、こんな可愛い姿を見ることが出来て良かったとも思ってしまう。
そんなユアの掃除している姿を見ながら和んでいると、それなりに時間が過ぎていたようで部屋の掃除の方も終わってしまった。
「これで終わりっと!」
「ありがとうね」
「うん! 次は廊下の掃除して来るからレヴィはしっかり休んでてね!」
「わかったよ」
ユアの言葉には逆らうことは出来ず、俺は素直に頷くしかなかったのであった。
さて、完全に暇になってしまったな。ユアの可愛い姿も見ることは出来ないし、部屋から出るということも出来ないからな。
しょうがない。ダンジョンの地図でも見やすいように描き直していようかな。ああ、その前にあの鉄のゴーレムを倒した時の宝箱の中身をちゃんと確認していなかったな。そっちを先にやってしまおうか。
一つはギルドで見た剣だが、他にもいくつかあったのだ。
剣と槍が一振りずつあって、指輪が二つに、フードが付いているマント、後は真っ白なドレスがあった。
これらを見てドレス何て入っているのだなと不思議に思ったのだが、とりあえずこれは誰にも見せることのないように、一度全体を見て効果を確認してから指輪の中にしまっておいた。もし誰かに見られて着て見せて何て言われたらいやだからな。ユアに言われでもしたら中々断ることは難しくなってしまうだろうし。
このドレスはふわふわした感じのものでとても可愛らしかったのだが、それを自分で着るとなると流石にいやだと思ってしまう。この身体にも慣れたしスカートも慣れたのだが、こういった服には抵抗はある。例え効果が良いものだったとしても着はしないのだ。実際とてもよいものではあったのだけどね。
ドレスのことは置いておいて、他のを見ることにしよう。剣はすでに確認済みなのでこれもしまっておいて、槍かな。槍は俺の身長よりも長く、重量感もあった。効果も流石ダンジョンの最下層のボスというだけあってとても良いものだった。残念なことはクラン内では誰も使う人がいないということだろうか。ホルンたちも使っている人はいなかったし、俺の知っている人では居なかった。
まぁとりあえずリカルドにでも相談して決めようと思い、これもしまっておいた。
次はマントにしようか。これは普段俺が水で作っているような見た目のマントで真っ黒なものだった。その効果は気配遮断というもので他の人や魔物から気付かれにくくするというものだった。しかも身に着けていたら常に効果が発揮するというものではなく、俺の意思で効果を発揮するかどうかを操作できるというものであった。
これは良いものなので自分で身に着けることにする。攻撃を受けたりすると傷がつく可能性はあるが、今まではそのような攻撃を受けたこともないので大丈夫だろう。もし受けてしまったらその時はその時だしな。
最後に指輪二つだな。えーっと、一つは魔力を使って魔力の障壁を生み出すというものだった。それも多くの魔力を使うほどより硬く大きな障壁を出すことが出来るというもので、使いどころによっては良いものではないかと思う。普段使うかどうかは別にして持っておいて損はないと思う。
もう一つは指輪に魔力を込めることが出来て、いつでもその魔力を取り出して使うことが出来るというものであった。普通の魔法を使う人にとってはとても重宝するものなのであろう。試しに魔力を込めてみたが多くの魔力を込めることが出来た。
しかし俺にとっては必要のないものになってしまう。魔力が無くなることがない俺にとっては使わないし、持っているだけ邪魔になってしまう。なのでこの指輪は誰かに上げることにする。例え前衛の人でも魔力を使って身体強化をしているのだから、全く必要のないものではないからな。クラン内の誰かに上げるということでいいだろう。
さてと、確認も終わってしまいまた暇になってしまったが、ちょうど良いタイミングでユアが昼食の時間だと呼びに来てくれた。ユアと下に行き食べることになったが、誰も俺にダンジョンのことについて聞くことはなく終わってしまい、ゆっくり休んでいてと言われまた部屋へと戻らされてしまったのであった。
流石にずっと部屋にいるのは暇だと言ったのだが、もう少しすればユアもやることが終わるので待っていて欲しいと返されれば大人しく待っているほかない。我がままを言うわけにもいかないし、帰って来た時の様子からもユアを置いてどこかに行くわけにもいかないし。
その後は大人しく部屋へと戻って、ダンジョンの地図を描き直すことをユアが来るまでずっとやっていたのであった。
そしてユアが来たら地図は後回しにすることにして、マリーが呼びに来るまで部屋の中でユアと遊んでいたり話をしたりと楽しく過ごしていたのであった。その時のユアの俺へと距離の近さはいつも以上に近く、全く離れる様子を見せなかったとだけ言っておくことにする。
俺の膝の上に乗っていたり、隣に居てもぴったりとくっついていたり、口では言わなかったが俺が居なくてどんな気持ちだったのかがわかるような態度であった。
しかも俺も慣れてしまったのか、そのことに気が付いたのは呼ばれて部屋を出て、下の階へと向かっている途中だった。慣れというのは怖いものだと思い知った時であった。




