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水しか使えない最強生物  作者: 猫宮るな
73/126

73話

 十六階層へと降りた俺はまず周りの状況を確認した。周りは上の階層と変わらず洞窟のようになっていて、少しだけだが道幅は広くなっているようだった。


 そして暗くて何も見えないということはなく、辺りには明かりが灯っておりちゃんと遠くの方まで見ることが出来るようになっていた。


 おそらくこの階層は今までの中で一番歩きやすい空間になっているように思える。足場も整っているし、道幅も広い、そのため何人か一緒でも広く使って戦うことが出来る。


 どんな魔物がいるのかはまだわからないが、歩きにくくなくて良かったと思う。


 そして少し進むとやっと魔物に対面した。その魔物はゴーレムと言われる魔物であった。背丈は大きく天井ギリギリの高さでその身体も大きかった。


 この階層の道幅が大きい理由がこれでわかった。ゴーレムたちが移動出来るような広さになっているということだろう。


 要するにこいつがこの階層から出て来る魔物ということだな。素材は石のようだからストーンゴーレムと言ったところか。どのくらいの硬さなのかは試してみないとわからないな。


 普通であれば打撃系の前衛か、魔法を使う人が中心となって戦うことになるのだろうな。そうなるとリカルドたちの四人は厳しいかもしれないな。まぁ俺には関係ないことだけど。


 さてと、ゴーレムたちがどんなもんなのか試してみますか。


 そして戦った結果、思っていたよりは動きが速かった。と言っても余裕で対応できる速さなので特に困ることはなかったので、これくらいであれば何体相手しても大丈夫そうだ。攻撃力がいくらあっても当たらなければどうとでもない。


 また、硬さについては普通に水の弾や刃を当てても少し欠ける程度でダメージを与えることは出来なかった。しかし魔力を多く込めた水の弾や刃では切断とまではいかないが半分くらいは壊すことが出来ていた。これなら十分戦闘で使っていくことが出来るだろう。


 剣での攻撃の場合、剣を使う時は一番威力が出るやつしか使わないことにしたので水の中に氷の粒がたくさんあるものを使った。そしてその攻撃力はやはり高く綺麗にゴーレムの身体を半分にして見せた。


 どうやらオーガキングが使っていた武器ほどの硬さはないようだ。これならこの階層も余裕で攻略出来そうだ。ゴーレムということでまだ見ぬボスがどれだけのものかはわからないが、とにかく進んで行くしかない。


 一回に出会うゴーレムの数は三体までと今までに比べると少なくなっているが、その分出現頻度が高くなっているようであった。


 次から次へと現れるゴーレムに対して、色んな攻撃を試しながら倒していく。この階層の地図はないので全ては勘で進んで行くしかない。迷わないようには気を付けるようにしているが、考えることが多過ぎてめんどくなってしまう。


 それでもめげずに進んでいるとやっと下へと続く階段を見つけることが出来た。使った時間がどのくらいなのか正確なものはわからないが、気分的には一階層からガノンボアのところまで行くよりも使ったような気がした。


 次からは大まかな地図を作っているので早く階段のところまで行くことが出来るが、この階段を探す作業をこの下の階層でも毎回やらないといけないと思うと正直面倒くさい。誰か代わりにやって欲しいものだ。


 その日は結局十七階層の階段を見つけて、ダンジョンを引き返して行った。もしかしたら一番の問題は時間がわからないことかもしれない。ダンジョンの中に入っていると、今の時間が全くわからなくなってしまうのだ。今まではリカルドが不思議とわかっていたので問題なかったが俺一人だとわからない。


 そのためどのくらい潜っていていいかがわからなくなり、下手するとずっと潜っていることになってしまうかもしれない。俺としてはそれでもいいのだが、他の人に心配をかけることになるし、そうなると一人で行動することを禁止されてしまう可能性もないとは言えない。


 感覚でわかるしかないようなので何回か潜ってどのくらいかということを少しずつ分かっていくしかない。


 案の定ダンジョンの外に出てみると、まだ空は明るく、日が沈むまでには時間があるようだった。


 今日のを基準にするとなるともう少し潜っていてもいいということだな。


 いくら最短ルートで行ったと言っても、俺の進む早さがとても早いということはわかる。前回オーガキングを倒した時もオーガキングで時間をかけて、休憩を多くとったといってもダンジョンを出た時はすでに暗くなっている時間だった。


 今日俺は苦戦もしてないし、休憩もそんなに取ってはないが、それでも初めての階層で時間がそれなりに掛かっていたにも関わらずまだ外は明るい。


 まぁなんにせよ、進む早さが早い分には困ることはないからいいのだけど、そのことを実感する一日だった。というか一人だとこんな感じなんだなということを感じる一日だった。全てが俺の基準で行動することが出来て、他の人のことを気にしなくていいというのはとても楽だった。


 そんなことを思いながら俺は街へと戻るための馬車を待ち続けたのであった。




 そして次の日もその次の日も同じようにダンジョンへと俺は潜っていた。日を重ねるごとに少しずつではあったが、確実に新しい階層へと進むことが出来ていた。


 ゴーレムの強さも階層を進むたび強くなっていたが、俺は同じように問題なく倒すことが出来ていた。また出現頻度も高くなっていて、こういったことはダンジョンを通して全て同じようになっているのだと思った。


 そうして二十階層まで辿り着いたわけではあるが、まだボスのいる階層はなかった。ダンジョン内のボスは決まった間隔でボスがいるというわけではないようで、いつボスの階層になってもおかしくはないのだが、終わりが見えないので何階層まで行ったらボスに出会うのか。


 そしてこのダンジョンは全部で何階層まであるのか。などの考えを考えてしまうことは防ぎようがないと思う。今まではこの階層まで行ってボスを倒すという目標があったから、目指す場所が見えていたから良かったが、今はそれがないのでしんどくなってしまう。


 明確な目標がないということはそれだけでやる気が無くなってしまうものだ。


 まぁそれでも止めずにダンジョンを進んで行くことは変わりはないのだけどね。やっぱり誰も来たことがないところを今いるんだと思えば、止めない理由としてはそれだけ十分である。


 ああ、でも一日くらいはダンジョンに行かない日にしてもいいかもしれないな。毎日ガノンボアやオーガキング、その他の魔石を売っているのでそれなりの金額を持っている。クランに入れてはいるが、その金額を越えて稼ぐことが出来ているので貯まっていく一方なのだ。


 なのでそのお金を使って新しい装備品などを買って戦力強化をしても良いと思う。今持っているものよりも良いものに変えてもいいし、別のものを買ってもいい。


 俺はこの身体なので必要なものはそれほど多くはないがそれでも良さそうなものを見つけることも出来るかもしれない。装備品は見ているだけで面白いと思うし、どんな効果があるのかというのも知るのは面白い。


 そう言うわけで一日休日にして、街で散策しようと思う。ずっとダンジョンに行ってばかりだったので偶にはこういうのもした方が良いだろう。


 最近クラン内での大人たちの目が心配そうな目をしているような気もするので、一度ちゃんと休日も入れていますよという、アピールもしておいた方が良さそうというのもあるにはあるが。


 毎日のようにダンジョンへ行くのでちゃんと休めと言う声が今にも言われそうな感じなのだ。おそらくだが今言われていないのはリカルドのおかげだと思う。言われていてもおかしくない状況でもリカルドが何か言ってごまかしているか、自分が伝えるなどと言っているのだろう。


 リカルドはこの身体のことを知っているからな。精神的疲れはあるが身体的は疲れは全くないから他の人と比べて長い間動き回ることが出来る。そんな気遣いもありがたいので、一度休もうと思う。


 あー、それに一度ダンジョンの地図を丁寧に書き写すこともした方が良いかもしれない。今持っているやつでは俺にはわかるが、これを見て初めて行く人には少しばかり難しいようにも思える。


 明日はそう言ったことをする日にしようと思い、その日はいつも通りに過ごしていたのであった。



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