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水しか使えない最強生物  作者: 猫宮るな
72/126

72話

 ダンジョンの九階層からは真っ暗な階層になっている。しかも上の階層よりも魔物の出現頻度は高く、また強さも上がっている。


 しかし進む速度は落ちてはいなかった。俺が一人でも問題なく魔物を倒すことが出来て、しかも手探りで進んでいるのではないので、その分進む速度は上がっている。


 なので後ろから来る魔物の数も少なくなり、前だけを見ていればいいということが多くなっている。それでも後ろからなども魔物が来ることには変わりはないので、多くの魔物を倒さないといけないということになる。


 まぁ一発当てれば倒すことが出来るし、俺は遠距離も近距離もどちらも出来るのでそこまで苦になっていない。一番は魔力を気にすることなく使えるということだろうか。


 それだけの魔力が無くならないということが大きい。


 魔力を気にすることがないので多くの魔力をずっと使うことが出来るし、俺の力量次第ではあるが、際限なく使っていくことが出来る。高威力の攻撃も出来るし、身体強化も使いっぱなしにすることが出来る。


 これが俺が問題なく一人でダンジョンを進めている理由だろうな。


 そんなこんなであっという間にオーガキングがいる十五階層に到達してしまった。とりあえずここで一回休憩を挟むことにする。急いでも仕方がないし、いくら前回よりも弱くなっているとはいえ二体同時に相手をするのは初めてのことなので、一応は警戒しておいた方が良いと思う。


 オーガキングを倒した時の剣を作れるし、上の階層で散々練習したのだ。そこまで危ないとは考えづらいが落ち着いていけば大丈夫だろう。


 さてと、それじゃあ鬼退治と行きますか。


 部屋の中にいるのは見た目は変わらない二体のオーガキングの姿だった。一体は大剣を持ち、もう一体は金棒を持っている。大剣の方は戦っていないが大丈夫だろう。


 部屋の中へと入ると同時にオーガキングたちも動き出す。そして俺は多くの魔力を込めた剣を生み出すと同時にオーガキングを目掛けて駆け出した。


 オーガキングもそれぞれ武器を持つと、こちらへと向かって走って来た。


 そして近くまで来ると俺は一気に走る速さを上げた。今までは軽く走っていたけど今は全力ほどではないがそれ近い速さで走った。


 急に俺が速さを上げたせいでオーガキングはその速さに付いて来られないようで、間合いがわからなくなり戸惑って進む速さを下げた。それを確認した俺は一気に距離を詰めて剣を振り抜いた。


 そのまま俺はすれ違いオーガキングたちと距離を取った。そして振り返ると金棒を持ったオーガキングが片方の脚を失って、動けなくなっていた。


 そう、俺はまず一体の脚を切り二対一にならないようにしたのだ。正直今ので一体を倒してしまおうかと思っていたのだが、流石の反応力と言えるだろう。俺が攻撃する前に頭や胸などの攻撃をされたら倒される場所を金棒で防いで見せたのだ。


 まぁそれがわかったからこそ、攻撃するところを変えて確実に動けなくするために脚を切ることにしたのだが、上手くいって良かった。これで一体は満足に動くことが出来ないので、一対一で戦うことが出来る。


 そうなってしまえば後は簡単だ。目の前の相手だけに集中して戦えばいいのだから、ずっと楽に戦うことが出来る。


 俺は剣を構えてオーガキングを待った。オーガキングの方もそれを見ると、少しだけ近づいて来て、大剣を構えた。


 前回は金棒の方と戦ったので大剣の方とも正面から戦ってみたいと思ったのである。残念なのは一回攻略してしまったので、弱くなっているということだろうか。それを言ってもしょうがないことなのだが、出来れば普通の強さの方でも戦ってみたかったと思ってしまった。


 とりあえず今は目の前の相手に集中することにしよう。大剣を持っていることからも攻撃の仕方などを見て、学べばこれからの戦闘に役立つと思うのでしっかりと戦いたいと思う。


 少しの静寂の後、オーガキングとの打ち合いが始まった。どちらから仕掛けたとかではない。同時に動き出してお互いにその剣を振るっただけだ。


 上、下、横のどの位置からでも攻撃が仕掛けられて来て、俺もそれを防ぎながらも同じように攻撃をしていく。しかもその速さは大剣を振り回しているとは思えないほどの速さで振るっているため、おのずと打ち合いも一撃一撃が速くそして重くなってくるのだ。


 だがしかし、全開の金棒を持ったオーガキングほどではない。あいつと打ち合った俺からしてみれば少しばかし物足りなく感じてしまう。


 少し打ち合うとどんな感じなのかがわかったので、俺は決めにいくことにした。さっきよりもさらに剣に魔力を込めていく。


 そしてタイミング良く上から振られてくる大剣をしたから振り上げると同時に一気に魔力を多く剣に込めた。するとお互いの武器が当たると、片方の刀身が半分だけ無くなり飛んでいった。


 飛んでいった方は俺の武器ではなくオーガキングが持っている大剣の方であった。そのままもう一振りをして、オーガキングを切ると何も反応が出来ないままオーガキングは倒れて消えていった。


「ふぅー」


 大きく息を吐くと、もう一体のオーガキングまで近づいて行き止めを刺した。こちらはすでに脚を失って満足に動けなくなっていたので容易に倒すことが出来た。次来たときには二体同時に相手をするのも良いなと思いながらも、次の階層へと続く階段まで歩いて行った。


 次の階層からは全く情報がない。どんな階層でどんな魔物が出て来るのかと言うのが全くわからないのだ。前回もオーガキングを倒した後はみんな疲れ果てていたので、次の階層を見ることはせずに帰ってしまった。


 つまりこれからの階層は初めて入るのが俺ということになる。どんな階層になっているのか楽しみだ。えーっと、今いる階層が十五階層だから次は十六階層か。


 この次のボスが何階層にいるのかはわからないがそれまでは一緒な感じの階層が広がっているのであろう。


 今までは周りの様子は洞窟みたいになっていて、最初が四足歩行の魔物で次が二足歩行の魔物だった。ずっと洞窟のようだった以外は特に一緒のことはなかった。


 九階層からは明かりが全くないような真っ暗なところだったこともあるので、次の階層からがどんな感じになっているのか全く想像できない。


 だからこそ楽しみな部分もあるので緊張感が少しだけ無くなってしまう。普通の人とは違って俺は命の危険というのがないから余計にそう思ってしまうのかもしれない。


 まぁなんにせよ、冒険者であれば誰も見たことがないところへと行くのは誰も憧れることなのではないだろうか。冒険者というのはそういう人ばかりだし、そのために冒険をしているということもあるはずだ。


 俺は階段の手前で止まり、一度確認することにする。指輪はちゃんとはめているし、ブレスレットも両方の腕に装備している。その他は全て俺が生み出して作ったものだから問題はない。


 ああ、そう言えば今日も俺の分としてお弁当と水筒をいつものように渡されていたんだった。俺は食べることは必要ないので正直いらなかったのだが、断るわけにはいかないので大人しく貰っておいた。まぁ普通に考えたらありがたいことなんだけどね。


 どうするか、ここでいったんお昼休憩にしてから、次へと進むこともありだと思う。


 うん、そっちの方が良さそうだな。今を逃したら食べることなく帰ってしまう気がする。そう思ったので俺は階段を下りる前に休憩することにして、そして食べ終わったら次の階層へと向かうことを決めたのであった。



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