表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水しか使えない最強生物  作者: 猫宮るな
66/126

66話

 現在俺は一体のオーガキングを相手に攻撃を避けながら、反撃できるような機会を伺っている。


 というか、反撃出来るまでオーガキングの攻撃に慣れると言った方が良いかもしれない。それなりの時間攻撃を避けながらも動きを見ていたのだが、中々反撃出来るような感じがしない。


 俺が避けるだけで精一杯という感じなのだ。元々前の世界でも武術関係のことをしてこなかったし、この世界に来てからも多くの魔物は遠距離からの攻撃で倒してきた。


 そして近距離で攻撃することとなっても、俺の方が速く簡単に倒すことが出来ていた。


 それはゴブリンキングの時もそうだし、このダンジョンの中でもそうだった。ガノンボアを倒す時は少し近距離戦をしたが、その時でさえ基本的な攻撃は水を飛ばして攻撃をしていた。


 しかしオーガキングではその方法では上手くいかなかった。


 オーガキングから大きく下がって距離を取り、水の刃や弾を飛ばしてみても、手に持っている金棒でそれを弾きながらすごい勢いで向かってくるのだ。そしてすぐに距離を詰められてまた俺がその攻撃を回避するという形に戻ってしまう。


 魔力を高めた攻撃をしてもそれは同じで今のこれがすぐに出せる程度の攻撃では金棒で弾かれて攻撃が届かないのであった。


 何とか攻撃を当てようと脚、胴体、頭と色んな場所を狙ってみるも、器用に防ぎ走ってくる。このボス部屋もすごく広いというわけではないので、もう一体のオーガキングと合流させないことも頭に入れて避けないといけないので、中々上手く攻撃することが出来ないのだ。


 まぁそれでも考えていた程度の強さなので俺は慌てることはなく対処することが出来ていた。今まで強い冒険者が挑んで来て未だに攻略されていないのだ。そりゃあオーガキングが強いのは当たり前のことだろう。


 どうにか一人で倒し切りたいと思う気持ちもあるが、無理をしない範囲でやっていこうと思う。


 リカルドに言われたのは倒すことではなく、時間を稼ぐことなのだから。リカルドがそう言ったのであればあちらはどうにかして倒す算段を付けているのだろうし、それを信じて待つということも大事だと思う。


 まぁ倒せるのであれば倒したいからどうにか考えてみるのだけどね。矛盾しているがやっぱり倒してみたいというのが冒険者であり、ファンタジー世界の醍醐味であると思う。


 倒せなくとも迷惑は掛からないし、倒せてしまっても迷惑は掛からない。ならば倒してみるのが同然だ。


 まずはどうにかして攻撃を当てないことには始まらない。ずっと動き回っているが体力がなくなるような感じは見えないし、そっちの面では期待しない方が良いだろう。この調子だと一日中動き回っていても不思議ではない。


 どうにかしてこの金棒を無くしたいのだが、腕を攻撃するにしても金棒で防がれるので上手くいかないのだ。


 そして近づいた時に水の剣で金棒を向かい討っても、当たると同時に水の剣が耐えられなくなり剣の形を失ってしまう。そうなると攻撃するのが難しくなってしまう。


 水でだめなのであればと、氷の剣にしてみるが同じく砕けてしまって、金棒に勝つことが出来ないでいる。氷の剣の魔力を高めてみても少し硬くなるだけで結局砕けてなくなってしまう。


 オーガキングが持っている金棒はどんな金属かはわからないが、ものすごく硬くその上オーガキングの力が合わさってさらに強力になっている。しかも剣などとは違って刃の部分でしか攻撃できないということもないので、どの角度からでも対応し攻撃を防いで、すぐにこちらに向かって振り回してくるのだ。


 おそらくだが打撃武器ということもあって、俺の氷の剣との相性も良くないのかもしれない。もっと柔軟性があって、金棒の攻撃にも耐えられるような武器を手にしないと難しい。


 生憎そんな武器は持っていないので、どうにかして生み出さないといけないということだ。


 通常の生物であれば水で顔を覆って息が出来ないようにすることも出来るが、魔物はそう簡単にはいかないことはすでにわかっている。長い間息を止めても大丈夫な様子だったので、このオーガキングも一緒だと思う。ずっと動き回れていることからもそれはわかるしな。


 さて、どうしたもんかね。


 水では金棒を受けることも出来ないで、無くなってしまう。氷だと強度の問題で砕けてしまう。ならばどうすればいいのか。


 霧を発生させて視界を悪くし、攻撃を当てるということにするか? 味方とも離れている今であれば、それも出来るとは思う。しかし今は足を止めることなく動き回っている状態なので、ずっと霧を出し続けないといけない。


 そうなると俺の意識もそちらに持って行かれ、避けることと攻撃することを同時に出来なくなると思う。


 今でもオーガキングの動きをよく見て、金棒での攻撃を避けて、もう一体のオーガキングの方へと近付かないようにするということをしているのだ。それに加えて霧を出し続けて、攻撃するというのが加わると流石にそんなに多くのことを同時に出来ない。


 少しは出来るかもしれないが、どこかで破綻して一気にすべてだめになってしまうということも十分にあり得る話だ。


 なかなかいい案が出ないことに少し焦りを感じながらも、俺は何かないかと必死に頭を働かせるのであった。




 ところ変わって、リカルド、ホルン、カーシャ、ルミエが相手している方のオーガキングの方はと言うと。こちらの方はリカルドが中心となって戦っていた。レヴィのように一人でそうにどうにかすることは出来ないが四人集まれば何とか出来るのである。


 まずルミエが支援魔法を三人に掛ける。攻撃力、防御力、素早さの三つである。これまでその三つを三人にするということは負担が掛かるのでしてこなかった。しかし今回は大事なボス戦である。ここで無理をしないでいつするのだということで使っている。


 魔力が回復する回復薬もあるのでそれが尽きない限りは大丈夫だ。


 そしてルミエの支援魔法を受けた三人はと言うと、オーガキングが大剣で攻撃してくるのをリカルドが受け止めたり、受け流したりしながらもどうにか対処している。


 レヴィの氷よりもリカルドが持っている剣の方が硬いということもあるが、相手をしているのが大剣でリカルドの今までの経験を生かして、どうにか対処出来ていると言った感じである。


 リカルドが正面から相手をしているので、ホルンとカーシャはリカルドを援護する様にオーガキングの横や後ろに回って攻撃をしている。ホルンは剣でカーシャは剣と魔法で攻撃し、確実にオーガキングへと攻撃を当てるようにしている。


 しかしオーガキングの皮膚は固く思うようなダメージは与えることが出来ていないが、それでも少しずつ確実に攻撃を当てるということを意識して、二人は攻撃を繰り返して行った。


 練習して来た連携が上手くいっているのであろう。オーガキングが振るう大剣を掻い潜りながらも脚、腕を中心に攻撃していっているのだ。リカルドの方もなるべく二人が攻撃しやすくなるように、受け流す方向を変えたりと周りをよく見ながら動いていた。


 時間は掛かるがでも安全にそして倒すということを意識するとなると、この方法しかないのである。これはレヴィが一体のオーガキングを引き付けてくれているから出来ることであって、リカルドでも一人で相手をするのは無理である。


 普通では出来ないことでもレヴィがいることで可能になる。リカルドは戦っている最中でもレヴィに対してのありがたさを感じているのであった。


 ダンジョンのボス部屋はその場所によっても変わってくるが、一定の人数しか入れないようになっている。そのため数に物を言わせてボスを倒すということは出来ないのだ。このアルンの街の近くにあるダンジョンのボスもガノンボアとオーガキングは同じ数で六人までしか入れないようになっている。


 それ以上入ろうとすると、透明な壁に阻まれて入れないようになるのだ。


 それなら一人出て違う人が中に入ればいいのではと思うが、そう上手く行くことはなく最初に入った六人が全員出ないと違う人は入ることが出来ないのだ。


 そして全員が部屋から出るとボスも受けた傷が元通りになり、初めからということになってしまうのだ。


 こうして普通ダンジョンには大勢で入れないので他のパーティでは出来ない、一人が一体を引き付けて、残りの四人でもう一体を相手にするということが出来ているのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ