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水しか使えない最強生物  作者: 猫宮るな
62/126

62話

 遠くの方から聞こえて来る魔物の声や歩く音、いつ目の前に出て来るのかわからずその上、真っ暗で自分がどこにいるのかさえあやふやになって来るであろうこの九階層を俺たちは歩いていた。


 明かりは持っているがそれだけでは遠くの方を見ることが出来ず、近づいてくる音を聞き逃したらいきなり魔物が目の前に出て来る。普通であればそんな緊張感の中進んで行かないといけないのだが。


 もちろん俺はそんな緊張感は全くなく、あくびが出そうなのんびりした気持ちで歩いていた。


 俺以外のリカルドたちも俺ほどではないが、そこまで気を張り過ぎているということはなく、いい感じの雰囲気だ。


 どこら辺に魔物がいるとか、近づいてきているとか全て俺の探知で知らせているのでそれが大きいのだろう。最初はホルンたち三人は今よりも張り詰めた雰囲気だったのだが、それも何度か戦闘を繰り返すごとに良くなっていった。


 まぁ魔物がどのタイミングで来るのかということさえわかってしまえば後は対処するのは難しいことではないからな。


 この九階層は七階層よりも魔物に出会う回数は少なくなっていることも余裕を持って対応できる理由の一つだと思う。


 残念ながら魔物の強さは七階層よりは強くなっている印象を持つが、それも別に倒せないということもないので問題ない。


 この九階層からは二足歩行の魔物が出て来るのだ。その全てが暗いところでも見える目をしており、魔物からしたら問題なくこちらを見ることが出来るのだ。


 ゴブリン種や獣の顔を持ったコボルト種も出て来る。どれも何かしらの武器を持っていて、技術面では高い感じだ。しかし防御力は低いようで攻撃を当てることが出来れば比較的容易に倒すことが出来ている。


 この調子で進むことが出来るのであれば次のボスがいる十五階層まで簡単に到達することが出来るのではないかと思ってしまう。


 しかしいくらこのダンジョンに入る人が少ないと言っても、長い間倒すことが出来ていない理由が何かしらあるのだと思う。


 下に潜っていくほどギルドが持っている情報も少なくなっているので、そう簡単にはいかないのかもしれない。


 まぁそれに普通は俺みたいに正確に魔物の位置がわかるという人はいないということだったので、それが理由で進むことが出来ないだけかもしれないが。


 それだけの理由なのであればいいのだが、そればかりは実際に行って見ないとわからないことだと思う。


 今日はこれ以上進むことはせずに、この暗い中での戦闘に慣れることを中心に行うということなので、俺も魔物を倒し過ぎないように心掛けている。


 正直なところこの魔物の数と強さであれば俺一人でも簡単に倒すことが出来るのだ。そのため余計に俺が暇になってしまってつまらないのである。


 話しかけることもみんな真剣なので邪魔できないし、周りの音が聞こえなくなってしまいやってはいけない。後ろから見ていると一人だけ温度差が違うということも良くわかるので、流石に邪魔だけはしないでおこうという気持ちになるのだ。


 そんなことを俺が考えている間も歩き回って、魔物を倒していっていた。リカルドは最初から大丈夫であったが、ホルンやカーシャは暗い中で戦うことに慣れていなかったので、危ない時もあったがそれも回数を重ねるごとに無くなっていった。


 魔物が近づいてくる音を聞きどの位置にいるのか、目視出来た瞬間にどんな行動を取ればいいのかということもわかってきたようである。


 この対応力もこの歳でランクDまで登って来れた要因なのであろう。


 この調子であれば明日はもっと下の方まで行くことが出来るだろう。早く行ってランクを上げたいと思う。ランクが上がったら俺も一人で行動することも考えておいた方が良いかもしれない。


 はっきり言ってしまうと、ホルンたち三人と俺の強さは釣り合っていないのだ。リカルドであれば知識があるし、強いので大丈夫なのだが他の三人は俺にとっては足手まといでしかない。


 リカルドがこの三人とパーティに入れたということは面倒を見るということと同じである。だったら俺は一人で好きに行動していた方が楽だし、面倒なことも減っていくと思う。


 許可をもらえるかが一番難しいところだと思うが、まぁ何とかすれば大丈夫だろう。そう願っている。


 さて、その後も順調に進んで行き、何度か休憩を挟みながらも慣れる為の戦闘を行っていた。リカルドとホルンやリカルドとカーシャの連携も確認して、俺もその様子を後ろから観察していた。


 前に突っ込み過ぎがちなホルンや周りをよく見て動いているカーシャという感じでとくに新しい発見はなかったが、それさえわかっていれば何とかなるだろう。


 ホルンも最初の頃にように俺の方も気にしてちょくちょく後ろを向いたりしている。それはカーシャも同じでしっかりと言われたことや大事だと思ったことは忘れずにやっているようだ。


 それでもホルンは俺に話しかけることは未だにしないでいる。一方カーシャは戦闘中だけでなく、休憩中も少し会話する様になった。内容は全部戦闘に関することで雑談はしないがこのことも性格が出ていると思ってしまう。


 それでも話し合ったとしてもすぐに正確にどんな動きをするのかということをわかるのは無理なのでその辺は適当にその場その場で考えてやっていけばいいと思う。と言うか俺に覚える気がないとも言ってもいいかもしれない。


 そんなことを言ったら絶対に怒られるので口にしないが、正直覚える気が出て来ないのである。どうせこの二人とはこのダンジョンでしか一緒に行動しないと思うので、別に構わないだろう。


 それに実際に戦闘になると予定通りに動くことが出来ないことが多々あるので臨機応変ということでいいと思う。


 何時間この階層に居たのかはわからないが、それなりに時間が経った頃今日は引き上げて帰ることにしたのであった。


「眩しいな」


 八階層へと上がってくると今まで暗かったのが明るくなったのでみんな眩しそうにしていた。


 そんな中俺と言うと眩しいということはなく、すぐに目が慣れたようで眩しいと感じることはなかった。こういうところでも俺が人間を辞めているのだと思ってしまったのであった。


 帰りは俺が後ろから来る魔物を全て倒し、それ以外は他の人たちで倒すこという形にした。その上で最短ルートを通ったので、すぐにダンジョンの外へと出ることが出来た。


 外に出るともう空が赤くなり始めていた。そして帰りの馬車もすでにいるようであった。


 その馬車へとすぐに乗って、街へと帰って行くのであった。


 街に着きギルドへと向かい、報告を終えた後解散となった。そして俺とリカルドが屋敷に帰る途中、気になっていたことを聞いてみることにした。


「あの三人の面倒を見ることにしたのはいいけど、クランにでも入れるつもりなの?」


「それは流石にまだ出来ないな。とりあえずはダンジョンの攻略を一緒にやって、その後どうするか考えることにする」


「そっか。それじゃあ先に言っておくけど、ダンジョンの攻略が終われば私はあの三人と

一緒に行動するつもりはないからね」


「なぜだ?」


「はっきり言って私にとっては必要ないと思うからかな。今日だってあの三人がいなければもっと下の方まで進んで行けたと思うし、まぁ私一人でも問題なく対処できる感じだったからペースを合わせるとつまんなくなっちゃうんだよね」


「そうか」


「まぁ、ダンジョンでは一緒に行くつもりでいるから心配はいらないよ。ランク上げることは最優先だからね」


 その後は何やら考え始めたリカルドと屋敷へと歩いて帰って行った。



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