58話
ダンジョンから帰ってくる時に五日以内にホルンたち三人だけでガノンボアを倒すことを約束し、その後は街に着いた後ギルドへと行き、分かれてそれぞれ自分の帰る場所へと帰って行った。
俺たちも屋敷へと戻りいつも通りの生活に戻った。
その日の夜、夕飯を食べ終わった後にお風呂に入るまでの間の時間、俺は魔法のことについて聞いてみることにした。ガノンボアを倒すことは出来たが、俺にはまだ火力が足りていないと思ったのだ。
知っていることで俺も同じようにすれば水での攻撃の威力が上がるかもしれない。
ガノンボアに苦戦するようではその先のボスに勝つことは出来ないだろうから。
生み出した水を自在に操ることは上手く出来ていると思う。これ以上の上達はすぐには出来ないと思うし、自分だけの力では手詰まりな感じもする。どうすれば良くなるかがわからないのだ。
今までは感覚でやって来て、それで上手く出来ていた。おそらくこの先も続けていけば自然とより上手くより強く水を動かして魔物を倒すことが出来るという確信も不思議とある。
しかしそれではだめなのだ。俺は今すぐにでもダンジョンの最高階層へと到達して、冒険者ランクを上げたい。そのためには俺が今以上に強くなることは絶対必要なことだ。
ホルンたち三人が無事に合流して一緒に攻略していくにしても、俺とリカルドの二人だけで攻略するにしても、俺が強くなればその分楽が出来るようになる。俺とは違って体力も気にしないといけなく、体力がなくなってくると集中力も落ちてくる。
そういったところから攻略速度が下がって、止まってしまうということも十分にあり得る話だ。それに比べて俺はずっと集中していて精神的な疲れは出て来るが、身体的な疲れはない。そのため他の人よりは長い間戦闘をしていることが出来るようになる。
なので俺が他の人の分の負担を軽減することによって、楽になりダンジョンの攻略速度も落ちることなく進んで行くことが出来る。
そのため戦力強化必須なことだ。
魔法のことに詳しいのはクリムとモノリースの二人であろう。しかし身体強化については獣族である他の三人も詳しいと思う。
ということなので暇そうにしていた男たち五人を集めて、話を聞くことにした。
「手っ取り早く魔法の威力を上げるのであれば、装備品を身に着けることでしょうかね」
話を聞いたクリムがすぐに一つの提案をしてくれた。
「装備品?」
「ええ、武器や装飾品という形で何かしらの効果が付与してあるものを装備していたら、その効果分上がりますよ」
「俺たちの剣がその一例だな」
リカルドが剣を出しながらそう言ってきた。どうやらただの剣ではなかったみたいだ。
「この剣には物理攻撃上昇や耐久性も上がるようにしてある。まぁそこまでいいものではないから、効果自体は低いがあるのとないのでは全く違ってくる」
そんな効果があるだなんて知らなかった。なるほど、ゲームみたいな感じでそれはわかりやすい。より良い装備品はその分お金もかかるので、今はそこまで手を出すことは出来ないのだろう。
リカルドが今よりももっといい剣を持てば、ダンジョン攻略も楽に出来るようになるかもしれない。俺の戦力アップも必要だが、一緒に攻略するのだからリカルドの戦力アップも必須である。
「今までは問題なく魔物を倒すことが出来ていたからこのことは話していなかったが、確かにこれ以上ダンジョンを進むためには必要だろうな」
「私にも必要だろうけど、リカルドも今よりもいいものを欲しいよね」
「確かに欲しいが、雑魚相手には今のままでも大丈夫だ。流石に次のボスにはだめだと思うがな」
「そっか。でも装備品が必要なんだから、その分お金も必要だよね。それなら私たちも一旦ダンジョンに行くのをやめて森に行く?」
「いや、俺たちはこのままダンジョンに行く予定だ。魔物を倒して魔石を回収すればお金は稼ぐことは出来るし、さらにダンジョンに慣れるためにも毎日通った方がいい」
「わかったよ。それならなるべく深いところで魔物を倒した方がいいよね」
「そうだな。その辺は実際に行きながら考えることにする。しかしレヴィも何か装備させた方がいいな。魔法攻撃上昇などはあっても困ることはないからな」
時々俺のことの話なのに俺がその話に入ることが出来ない時がある。今もそこまでリカルドと会話をしていたはずなのに、その後はクリムとモノリースと会話を始めてしまって俺の入る余地がなくなってしまった。
確かにどんな装備品があって、どんな効果があるのか知ってはいないが少しくらいは会話に参加させてくれてもいいと思うのだ。
少なくとも今話している魔力上昇や防御系のものもいらないのだ。それはリカルドも知っているので、俺は必要ないのかもしれないけど、なんだかね。
終いにはギルとアレバも加わって身体強化系のものをとても押していた。俺は水なのでそれも効果がちゃんと発揮するのかわからないな。そんな感じでお風呂まで時間があっという間に過ぎていってしまったのであった。
お風呂が空いたことの知らせを受けて、俺とユアが入る番となった。会話をしている中、一言言って俺はユアとお風呂に入った。
そして出る頃には話し合いは終わっていたようで、何人かいなくなっていた。
その後はいつも通りにユアと部屋へと戻り、ベッドへと潜った。最近は前よりもユアの寝る時間が少しだけ遅くなっている。ベッドに入ってから少し話をした後に寝るという感じだ。
ユアが寝たらこれまたいつも通りに戦い方などを考えながら、魔力制御などの練習も続けていくのであった。
朝となり、みんなが起き出した頃、俺とユアも起きて下の食堂へと向かった。
今日は俺とリカルドは休みである。そのためゆっくりと過ごして、他の男たちを見送った。ユアの起きる時間が俺が冒険者ギルドに行く時間に合わせて起きる時間に慣れてしまって、ゆっくり起きて良い日でもこの時間に起きてしまった。
今日は昨日言っていた俺の装備品を買いに行くらしい。お金の方も昨日のガノンボアを倒したときの魔石などを売ったお金で買えるものを探すということだった。
そう言えば、装備以外での威力の上げ方を聞いていなかったことを思い出して、また今日の夜にでも聞いて見ることにしようか。
そういうわけで俺とリカルドは街へと出掛けることになったのであった。
向かう先は装飾品が売っているところである。ネックレスにイヤリング、指輪、ブレスレットと言った一通りのものが全て手に入るお店である。お店の中は清潔に保たれていて、いかにもお高いものが置いてあると言った感じのところだ。
「まずは何を身に着けるかだな。戦闘の邪魔にならないものが大前提だが、どれがいい?」
「そうだなぁ」
まず決めるのは装飾品の種類だ。そもそも俺はこういったものには興味はなかったからわからないな。男でもネックレスなどを身に着けていた人もいたが、どうも俺には興味が引かれるものではなかったんだよな。
戦闘に邪魔にならないものということは動き回っても問題ないやつだよな。
それならイヤリングは止めておいた方がいいかな。ぶら下がっているような感じになるのでおそらくだが気になってしまって、集中することが出来ないような感じがする。
ということはネックレスも同じなのではないだろうか。慣れていたら問題ないのかもしれないけど、全くと言っていいほどこういうものは身に着けたことはないので、なるべく違和感を感じないものにしたい。
そして買ってくれるのがリカルドだということを考えてしまうとおのずと俺が選ぶものが決まってしまう。
「私はブレスレットがいいな」
「そうか。わかった。それじゃあこのブレスレットの中から好きなのを選んでいいぞ」
気にするようなことでもないのかもしれないけど、リカルドに指輪を貰うというのはちょっとな。少しの抵抗を感じてしまう。
「これって何の効果があるとかわかるの?」
「いや、これらには何も付与されていないから気にしなくていいぞ。付与は別のところでやってもらう予定だからな」
そうなのか。それじゃあ好きなものを選んでしまおうかな。
悩んだ末に俺が選び出したのは、銀のブレスレットで、真ん中には青い石が嵌め込まれたものだ。やっぱり俺が装備するうえで青というのは外せないと思ったのだ。
「これにするよ」
「わかった」
俺がそう言うと、リカルドは俺が選んだものともう一つブレスレットを持って会計へと向かっていった。
「この後は今買ったものに効果を付与してもらうところに行くからな」
「うん、わかったよ」
買い物を終えると外に出て、再び街の中をリカルドの後を追いながら歩いて行くのであった。




