表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水しか使えない最強生物  作者: 猫宮るな
57/126

57話

忙しく、明日と明後日も投稿できないと思います。

すみません。


 ガノンボアを無事に倒し、一度部屋を出るために来たところへと引き返して行った。


 リカルドの後を追って、部屋から出た。


「三人とも無事だったみたいだな」


 部屋を出たところにはホルン、カーシャ、ルミエの三人がいた。そう言えばこの三人も来ていたんだったな。すっかり忘れていたけど、言わなければバレないと思うので言わないようにしておこう。


 後は表情にも気を付けないとな。


 ルミエも意識を取り戻して、今は起き上がっていてもう大丈夫な感じだな。攻撃自体は受けていなかったので大丈夫だとは思っていたが、案の定大丈夫そうだった。


「あの、すみませんでした。俺たち全く役に立てなくて」


「今日はボスを倒したことだし、少し休憩してから帰ることにする。帰りも同じように前はホルンとカーシャが後ろはレヴィに頼めるか?」


 いち早くカーシャが謝って来たのだったが、リカルドはそれに答えずに少し離れてから地面に座って休むことにしたようだった。


「うん。大丈夫だよ」


 俺はリカルドに対してすぐに答えたが、他の三人はうつむいて答えることが出来ずにいた。


 俺からフォローすることでもないので、俺も何も言わずに休憩することにした。今回の戦闘で足りないものが見えたのでそれについても今後は考えておかないといけない。


 一番は火力かな。これはこの世界の魔法のことも聞いて、どうやって威力を高くしているのかを知りたいと思う。それと同じようにすれば今よりも威力が高い攻撃が出来るようになるかもしれない。


 ガノンボアにやった水の刃の魔力を高めて撃つというのも、威力は上がったのでそれも参考にしていけたらと思う。普通に撃つよりも時間が掛かってしまうのでそこが問題点だと思うのだが、慣れたら普通のと変わらないように出せるようになるかもしれない。


 要はまだまだ試してみないとわからないだらけだということだな。氷に関してももっと練習が必要だと思ったし、霧も俺以外の人がいると使えないことを考えると、別の使い方も考えないといけない。


 こんなところで苦戦していたら、この先の階層も難しくなっていくし、次のボスなんて夢のまた夢になってしまう。


 俺一人で考えずに誰かに相談してみるのもいいな。リカルドなどのクランの冒険者の男たちに聞いて見ることにしようか。


 そんなことを座って考えていたのだが、突然ルミエが俺の方へと近づいて来た。


「あの、レヴィさん。私のことを助けてくれたって聞きました。その、ありがとうございました」


 そう言って頭を下げてきた。


「別にいいよ。私が一番近くにいたってだけで、他の人でも同じように助けてくれただろうし」


「でも、、、」


「いいっていいって。そんなことよりも今は休憩しておいた方がいいよ。この後も帰るのにも魔物を倒して行かないといけないんだし」


 俺がそう言うと、ルミエもそれ以上何も言わずにホルンたちの方へと戻って行った。


 リカルドの休憩を終えて、地上へと引き返すことになった。


 並びはホルンが先頭にカーシャ、ルミエが続き、最後尾に俺とリカルドとなった。帰り道ではリカルドは何もしないようだ。ガノンボアとの戦いでそんなに疲れたのか、それとも前の三人に思うことがあってそうしているのか。


 俺には考えていることがわかりはしないが、せっかくなので俺も後ろから来る魔物相手に色々試してみることにしようかな。


 道はルミエに地図を持たせていたので、俺は気にしなくてもいいだろう。


 いつもより魔力を込めた水の弾を撃ってみたり、尖った形に凍らせてそれを撃ってみたりと色んなことをしてみた。


 氷の鞭は動かしにくかったりしたし、周りに影響がないくらいの霧を出してみてもすぐにその範囲を通り越して魔物が進んで来たりと意味のないことまでしてみたが、得られたものは残念ながらなかった。


 リカルドには「器用だな」と言われたが、器用でもいい案が出て来なくては意味がないのだ。宝も持ち腐れのようなものだな。


 ふと、思い付いたことは水を顔に覆って窒息させるというものだったが、動き回る魔物の顔にずっと水を覆わせておくというのは大変なことだったし、窒息する前に襲い掛かってくるので結局は意味がなかった。


 魔物が窒息するのかわからないが、少なくともこういった狭い空間では意味がないことがわかった。


 やっぱり一度しっかりとこの世界の常識を聞いた方がいいような気がする。そこから俺に出来ることを取捨選択し、さらに使いやすいように改良していくのがいいと思う。


 俺は水しか使えないがそれでも色んな戦い方やさらなる強さを身に着けたいと思うのだ。


 そんなことを考え、魔物相手に試していたらいつの間にかダンジョンの外へと辿り着いてしまっていた。


 確かに途中から魔物がもっと出て来ないからと思っていたが、今どこにいるかなんて気にしていなかった。


 外に出ると夕方になる少し前くらいだろうか。そんな空の様子が見るとが出来た。


 ダンジョンから出てきたのはいいのだが、すぐに馬車が来ることはなくなんだか気まずい空気が漂っていた。


 外に出ると誰もしゃべることはなく、ホルンたちも下を向いていることからも申し訳なさというかそんな感じの空気を出しているように感じる。


 もともと俺とリカルドの二人だと同じように話すことはなく静かに過ごしていることもあるが、それはお互いに話さなくとも気まずいと思わないので特に問題はないのだが、今はそういうふうに思えないのである。


 俺から何か言うのも何か違うと思うので黙ってはいるが、いい加減どうにかして欲しいものだ。この空気の中馬車に乗るとか勘弁して欲しいのだけれど。


 しかしそんな俺の願いは叶うことなく刻々と時間だけが過ぎていった。


 時間が過ぎ馬車が来るのが遅いなと思うようになった頃。ずっと黙っていたリカルドがその口を開いて言った。


「五日だ。五日の内にガノンボアを倒せたらまたパーティを組んでやってもいい。もちろん倒す上で余計な怪我や危険な行動をする場合は組んでやることは出来ないが」


 その言葉を聞いていた三人はずっと下を向いていた顔を上げて、リカルドの方へと目を向けた。


「三人で大丈夫なの? 危なくない?」


 俺は無茶ぶりのような気がして、流石に三人で倒すのは無理だと思ったのだが。


「いや、本来であればあいつを倒すのはそこまで難しいことではなかった。作戦通りに事が運んでいれば楽に倒せたはずだ。だから三人でもそこまで難しいことではない」


「そうなんだ」


「それに五日という猶予を用意したんだ。そこで何か対策を用意したりも出来るからな」


 リカルドにしてはすごく緩い条件なんだろうな。それほどこの三人のことを気に入ったのかな。確かにその歳でランクDまで上がっているということはすごいことだと思うのだが、クランの余裕がない今そこまで面倒を見てやる理由にもならない気がする。


 何か考えがあるのかはわからないが、俺としては邪魔なだけではないかと思ってしまう。


 今回の問題は火力不足だったわけだが、それについてもあの三人が入っても改善するかどうかわからないと思う。ルミエの支援魔法がどのくらい攻撃力が上がるかどうかというところであろうか。


 それ以外では居ても手数が増えるだけで火力という面では必要ないと思う。強いて言えばリカルドの体力が温存出来るというくらいであろうか。


 確かに助かるのかもしれないけど、慣れれば俺一人でも行ける気がするのでやっぱりいらないのでは?


 この三人の面倒を見始めてしまったら、俺は一人で行動してみるのもいいかもしれない。一人でどのくらい出来るかということも知っておきたいしな。


 俺はそんなことを考えていたが、ホルンたち三人はというと何やら考えている様子で、その考えがまとまったのか三人で目線を合わし、頷くとリカルドへと目を向けた。


「やってみます。きちんと対策して行動できるようにして、ガノンボアを倒して見せます」


「そうか、わかった。それじゃあ倒せたら冒険者ギルドか、俺を見つけて声を掛けてくれ」


 そういうこととなって話は終わったのであった。ちょうど帰りの馬車も来て俺たちはその馬車へと乗り込み、街へと帰っていった。


 馬車の中ではさっきほどの気まずさはなく、俺も特に気にすることなく帰路に着いたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ