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水しか使えない最強生物  作者: 猫宮るな
53/126

53話

 五階層へと進んだ俺たちは変わらず魔物を倒しながら進むことが出来ていた。


 魔物の強さも上がり、出現する間隔も狭くなっている。そのため上の階層よりも難しくなっていると思うのだがダンジョンに慣れたということもあってか、特に問題なく進んで行くことが出来ている。


 この様子であれば順調に進んで行くことが出来て、八階層のボスまで行けると思う。ボスがどれだけ強いのかわからないけど今日の内に倒せたらいいなと思っている。


 リカルドが手を出さなくとも三人は目の前から来る魔物を倒すことが出来ているし、五階層からは後ろに注意を向けることも出来るようになっている。俺の様子を確認したいということもあるのだろう。


 その後も五階層を攻略して行き、六階層へと進んでいた。


 六階層でも俺を含めた四人で魔物を倒して行けそうだったのだが、ここからはリカルドも戦闘に参加するようになった。


 前衛がリカルドとホルンの二人でカーシャは完全に後衛となって魔法だけの攻撃となった。ルミエは一人分増えただけで特に変化はないがいつもと違うので少し気を付けないといけないだろうな。


 俺が後ろから来る魔物を対処していることを知ってから俺にも支援魔法をするかどうか聞かれたのだが、俺は今の状態でも加減をして魔法を撃っているので遠慮しておいた。


 もちろん正直にそんなことは言えないので、適当にごまかしておいた。制御に力を入れているとか、魔法の強さが変わると逆にやり辛くなくとか。そんな感じの言葉で納得してくれたのは良かった。


 リカルドにも俺の能力をどこまでこの三人に見せるかどうかということは話しあえていないので、俺の方も出来るだけ見せない方向でいきたいと思っている。


 それでも後ろの方へと注意が向くようになって俺がどんなことをしているのかがわかるようになっていた。


 俺は今までずっとそうして来たのだが、まず目視できるギリギリのところで最初の魔法を撃って、一体目の魔物を倒す。そして近づいてくる魔物に向かって一体ずつ同じように倒していく。


 ほとんどの場合これですべての魔物を倒すことが出来るが、近くに来ることがわかった場合は二体同時に倒したり、足止めをするために以前使った糸のようにして切るというやり方で来れないようにしている。


 そうやって落ち着いて確実に倒していくのである。


 俺の倒し方を見てそんなに魔法を使っていて魔力は大丈夫なのかと言われたが、支援魔法を断る時に使った制御の話で乗り切った。制御を重視しているのでそれほど魔力を使っていないと言っておいた。


 現に出している水の量は少なめにしているし、一度に出している数も多くはしていない。そんな感じでごまかせているようだ。いつまでこれで行けるのかわからないが、何か言われるまではごまかしていきたいと思う。


 わざわざ自分から言うことでもないからね。


 そんなこんなで六階層を進んで行き、七階層へと辿り着いた。


 やっとボスがいる一個手前の階層に着いたのだ。


「これからはレヴィが地図を持て」


「わかった」


 戦闘に加わっても移動中はリカルドがずっと持っていた地図だったが、ここに来て俺に持つように言ってきた。


 まぁ別に構わないのだが。


「リカルドさん、彼女よりも魔物を倒すことのないルミエに持たせた方がいいのではないですか?」


 カーシャがそう言ってきた。確かに周りから見ればそれが一番いいことなのだろうけど。


「ルミエは声が大きく出せないだろう。それではいざという時にはだめだからな、だからレヴィが持っていた方がいい。それにレヴィであれば地図を持っているくらいで戦闘の邪魔にはならないから大丈夫だ」


「そうですか。わかりました」


 一応は納得してもらえたみたいだ。しかしそれを聞いていたルミエはしょんぼりしてしまい、下を向いてしまった。向き不向きがあるからな。


 まぁ大きな声を出すイメージがこれまでないからね。それは仕方がないよね。


「この階層はどんな感じで進んで行くの?」


「ボスの手前だからな。少し歩き回ってみて問題なさそうだったら、休憩を挟んで下に行くつもりだ。だから下への階段に近づきながら適当に歩きまわれる感じで頼む」


「了解」


 そういうことで七階層を進んで行くことになった。これまでで一番魔物の強さ、出現頻度が上だが特に問題はなかった。


 途中俺が面倒になって複数の魔物をまとめて吹き飛ばしたのだが、その時には、


「本当にそんな魔法を使っていて大丈夫なのか?」


「見た目ほど魔力は使ってないから大丈夫だよ」


 という会話をカーシャとしたくらいで、他は雑談をすることなく進んで行った。


 これはずっとだが、ホルンは俺が後ろから来る魔物を倒していたことを知ってから睨んで来るだけで静かになったし、ルミエも最初から必要最低限のことしか話すことはない。


 休憩中にカーシャと普通に話していたことから、慣れている人であれば話すことが出来るということはわかっているが、俺たちはその慣れている人の中には未だに入ってはいないみたいだ。


 ルミエとは普通に話したいという気持ちが少しだけだがあるのでぜひとも早く慣れて欲しいものだ。しかしこういうタイプはガツガツ行き過ぎると逆に引かれてしまうということもあるので、タイミングには要注意だ。


 そんなことを考えている間も度々来る魔物を倒していきながら俺たちは進んで行ったのであった。


 そうして順調に進んで行き、八階層へと行く階段のところまで着いてしまった。


「とりあえず、休憩にしようか。もう昼だからな」


 ということでお昼ご飯の時間となった。


 休憩するために一度八階層へと降りた。八階層はボスがいる階層だが、降りてすぐ戦闘になるわけではなくその前に魔物が一切出ないところがあるのだ。そのため基本的にボスの前では魔物のことを気にせずに休憩することが出来る。


 俺たち持っている鞄からいつもの通り、用意してもらったお弁当と水筒をリカルドに渡した。


 その様子をマジックバックがやはり珍しいのか三人に見られながら俺は自分の分も出した。もともと午後まで行動する予定だったので、ホルンたち三人も屋台でだがご飯を買っていた。


 その荷物はルミエがずっと持っていて、三人の荷物は特に重たいものなどないのでご飯と飲み物を鞄の中に入れていた。水の重さだけでそれなりの重さになると思うが、日ごろからやっていることもあって特に疲れた様子も見せずにいた。


 冒険者というのは後衛職でも体力を付けないといけないな。ということが良くわかる光景であった。まぁ俺には関係のないことなのだけれどね。


 そうしてやっと落ち着いて座って食事が出来るようになったのだった。


「この先はボスがいる。だからこのままボスに挑戦するか、引き返すか決めて欲しい。俺とレヴィは最初からボスまで行くつもりだったが、三人はそうではないだろう。三人のことは大体わかったので今回はこのまま引き返すのもありだと思っている」


 リカルドは食べている最中そんなことを言いだした。いきなり付いて行くと言ったのはこいつらだが、流石にいきなりボスまで行くとは考えていなかったと思う。


 なのでどうするか判断を委ねているのだろうな。俺としては今日の内にボスを倒しておきたいが、それなりに危険があると思うと俺も自分の気持ちを言い出せない。


 リカルドだけだったら迷わず行くと言っているところだったんだけどね。


「俺はボスに挑戦したいと思っている」


 悩んだ末に最初に返事をしたのはホルンだった。


「上の階層までは順調に進んでくれたし、リカルドさんも俺たちが一緒に行くことをだめとは言わなかったか。それならば次いつできるかわからないから、今挑戦したいと思っている」


 ホルンなりに色々と考えて返事をしたようだ。今まで一人で突っ走っていたこともあって、こういう判断もちゃんと出来るのだなと実感できた。今までも大人しく従っていたりはしていたが、声に出したことはなかった。


「そうだね。俺も挑戦したいと思ってます。ホルンに言いたいことは言われてしまいましたが、これからもリカルドさんと一緒に行けるようになりたいですから」


「私もここまで来て引き返すのは嫌です」


 カーシャとルミエもそのような言葉を返して来た。どうやら三人はボスへの挑戦を決めたようだ。


「わかった。じゃあ休憩が終わり次第八階層のボスへと挑戦したいと思う。ボスの情報はある程度調べているから、今から頭に叩き込んでくれ」


 そうしてリカルドがボスの説明をしながらどうやって倒すかを決めていくのだった。俺は基本的に聞き役に徹し、男三人で話している内容を聞いているのであった。


 途中俺のことで本当に出来るのかということが何度か言われたが、俺が出来ると返したのと言ったのがリカルドであったということもあって一応は納得してくれたみたいだった。


 まぁ途中で逃げることも出来るということなので、もっと気楽に考えてもいい気がしたが怒られそうなので止めておくことにした。特に必要のないとき俺はルミエと一緒に邪魔をしないように存在感を消すようにしていたのだった。




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