42話
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ありがとうございます。
まだお昼の時間を過ぎて少し経ったくらいで空も明るかったのだが、ゴブリンキングのことをギルドへと報告をしに行かないといけないので、俺たちは馬車に乗るために来たところを引き返していた。
俺の能力のことも話はしたがリカルドの反応は俺が思っていたものとは違って、あっけないものではあったが詳しく聞かれるのもどこまで話すかを迷ってしまうので困ってしまう。
全て話すつもりは全くないし、今後もそういったことがあるかもしれないのでどこまでなら話せるか、どういった感じで話すかを決めておくことも大事だということがわかった。
何事も行き当たりばったりだけでは上手くいかないからな。
リカルドも表面の傷が無くなっても、血や体力は戻ってはないので見つけた魔物は全て無視することにした。
と言っても近くに来た魔物はいなく、いつもであれば倒すかどうか悩むというような距離に一体だけいただけだったので無視する必要もなかったけどね。
そうしてやっと馬車が来る場所に辿り着いたのはいいのだが、運よくすぐにその肝心の馬車が来ることはなかった。
馬車が何時に来るということは決まっていないのでいつ来るかはわからない。毎日決まった時間に馬車を出すということはしていないようで、全ては運で決まってしまうということだった。
もし行ったばかりだと長い間待たないといけなくなるという。
一台しか馬車がないわけではないが、馬車の方も馬をずっと動かしているわけにはいかないので休憩の時間が必要になる。
そのため馬の調子と御者の気分で馬車が動くことになるらしい。リカルドもこれには少し困っていてどうにかならないかと思っているそうだ。
ということは他の冒険者も同じように困っているのだということは容易に想像できた。
確かにそんなに不定期だと、大変だと思う。これを定期にするには多くのお金が掛かってしまうし色々と大変なことがあるということだな。
まぁ今はのんびりと待つしかない。幸いゴブリンキングは倒したし、他に纏まったところに居る魔物はいないことは俺がみたので大丈夫だということはわかっている。それに緊急で伝える必要があることもないので急がなくともいいのだ。
他の冒険者も素人ではないので何かあってもその冒険者の責任になる。つまりは俺たちには関係のない話だ。
どれくらい待ったのかはわからないが少なくない時間を待って、やっと馬車がやって来た。この世界では時計はまだ見たことはなくあるのかどうかわからないが、なくても生活できるけどやっぱり不便ではあると思う。
しかしそれを言っても俺が作ることが出来るというわけでもないので、諦めるしかないのだけど。それに今まで過ごしてきたがなくても案外問題なく暮らすことが出来ている。
馬車で揺られること数十分、これも時計がないので大体このくらいという感じだが、やっと街に着いた。
馬車は街に入る前に降り、ここからは歩いて街に入ることになる。一般的には街の中へと入る際は税を払って入ることとなる。しかし俺たちは冒険者なため冒険者カードを見せれば特に何も調べることなく簡単に入ることが出来る。
冒険者はギルドが国に対して一定のお金を払っていることによって街に入る際の税を免除するという形となっている。
そのため俺たちの依頼の報酬の中からいくらかがそのお金が支払われているので、街に入る際の面倒な手続きがないだけで、どのみちお金は払っていることになるのだ。
街に入った俺たちは他に寄り道をすることなく真っすぐに冒険者ギルドへと向かった。
ギルドの中はすでに依頼を終わらせた人か、もしくは今日は休みにしている人たちが飲み食いしている姿がちらほらとあった。
冒険者は身体が資本なため毎日依頼を受けて冒険者活動をするという人は少ない。もちろんいるにはいるし、ランクが低くお金に困っている人は毎日したりもする。
しかしランクが高くなるにつれて、報酬も上がり一日働かなくても大丈夫になっていきそうすると身体を休めるという名目のもと休日を作ることになる。
単にサボるというわけではなくランクが上がると依頼も難しくなり、身体への負担も増えて来るので休むということも大切なのだ。
まぁ多くの冒険者がその日生活できるお金があれば休むという人たちが多いので何とも言えなくなってしまうこともあるが、中にはきちんと考えてやっている人もいるというわけである。
俺たちのクランの男たちも休みを入れないといけないのだが、そう簡単にはいかず今は女性たちの買い物に付き添うという形で早めに切り上げて身体を休めるという感じになっている。
俺であれば身体的な疲れはないので働き詰めでもいいのだが、そうなると他の人たちが黙ってはいないと思うのでそういうことは出来ない。
何はともあれ今はギルドマスターへの報告をしないといけないので、俺はリカルドの後を追って美味しそうな匂いが漂う中カウンターへと向かって行った。
どうやら珍しくアーシャの姿がなくリカルドは別の受付の人と話をしていた。俺が行くたびにいつもいるのでいることが当たり前に思っていたのだが、そうではなかったようだ。
話を通したのかリカルドは上の階へと上がるための階段に向かって行った。そのまま二階から三階へと上がって行き、ギルドマスターの部屋の前まで行った。
リカルドが扉をノックすると、
「どうぞ」
という声が中から聞こえてきた。そしてリカルドは扉を開け部屋の中へと入って行ったのだった。この一連の行動でリカルド一切ためらう様子は見せずに行っていたので、これには流石だなと感心してしまった。
部屋の中へと俺も入ると、こちらはいつも通り机でギルドマスターが仕事をしていた。
「来客と連絡がありましたが、リカルドたちでしたか。何かありましたか?」
「ああ、あったんだが、とりあえず順を追って説明していくか」
それにしてもすでに連絡が入っていたんだな。受付で話をしてすぐに上がって来たのであの魔道具でも使ったのであろうか。
リカルドは当たり前のようにソファへと座ると今日あったことを話し始めた。
森の調査の依頼を受けたこと。
ゴブリンの進行の原因を調べるために森の奥へと入って行ったこと。
そこで二十体くらいのゴブリンの上位種とキングがいたこと。
「キングですか!?」
そこまで話すと流石に黙ってはいられなかったのだろう。ギルドマスターが驚いた様子で聞き返してきた。
「ああ、ゴブリンキングがいたんだ」
見つけた経緯とどんな行動を取ったか、そしてどんな行動を取らざる負えなかったのか一つ一つ説明していった。
全部説明し終わった後は静かでどこか重い空気が広がっているように思えた。
「とりあえずはゴブリンキングを討伐してくださってありがとうございます。ゴブリンたちのあの数もキングがいたのであれば納得いきますので、今回の事件は一先ずこれで終わったと思います。もちろん引き続き調査をしていく予定ではありますが」
敵の親玉を倒せたことによって一件落着ということだな。
「しかし問題は残っていますね。というよりかは新しく出てきてしまいましたが」
「そうなんだよな。どうしたもんか」
なんだろうか問題とは。特に何かあったとは思い出すことは出来ないので、おそらくは俺の知らない何かということなのだろう。そういうことなら存在感を無くしてひっそりと座っていよう。
「進行のことだけでも目立ってしまいますが、ゴブリンキングを倒したとなると周りがうるさくなってしまうかもしれませんね」
もしかして俺のことを話している? 関係ない話だと思っていたのにまさか関係しているどころか俺の話をしているとは、しっかり聞いておかないといけないではないか。
「そのことで一つ考えていることがあるんだが、レヴィとダンジョンにもぐりたいと思っている。ダンジョンで依頼をこなして進んで行けば早くランクも上げることが出来るからな」
「なるほど、確かにそれが一番早く上がる方法だとは思いますが、いえ、それが最善なのかもしれませんね。早くランクを上げれば、その分周りからの批判も少なくなることでしょうし」
ダンジョンとはまた新しい単語が出てきたのはいいのだが、俺の話なのに俺が参加出来ていないのはいかがなものかと思うのだが、リカルドも本当に俺のランク上げに乗り出したみたいだし全て任せてもいいとは思っているがもう少し話を振ってくれるとかあるんじゃないのかな。
そんなことを考えている間に話は進んで行き、リカルドとギルドマスターの会話は終わった。
二人とも満足いく話が出来たみたいだ。俺のことなのに全く話が出来なかったけど。
「レヴィに詳しい話をするのは帰ってからにするから。じゃあそういうことで頼む」
「わかりました」
そう言ってギルドマスターの部屋をリカルドは出て行ったので俺も一礼してからリカルドの後を追って行った。
話の内容が全然わからないままリカルドの後を追い、帰路に着くのだった。




