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水しか使えない最強生物  作者: 猫宮るな
39/126

39話

 木の上にいたゴブリンキングが真っすぐ向かって来たのは俺だった。射線が通るように少しだけ左右に分かれるように位置取りをしていたのだが、まさか俺に向かってくるとは思わなかった。


 後衛だからとか弱そうだからとか浮かんで来る理由はあるにはあるが、リカルドの方を見向きもしないで俺に向かってくるのはどういうことなのだろうか。


 なんにしてもいつでも動けるようにしていた俺には余裕で対応できた。


 ゴブリンキングは剣を振りかぶって、俺目掛けて真っすぐに突っ込んでくる。


 俺はそれを躱すように地面を蹴って後ろに下がると、横からタイミング良くリカルドが入って来た。そしていつの間にか抜いていた剣で防いだ。


「レヴィ! 下がって援護!」


「わかった」


 俺は距離を取って、水の弾を生み出していつでも撃てるようにする。


 ゴブリンキングは防がれたからかそれ以上俺のことを狙うことはなかった。


 リカルドとゴブリンキングはそのまま何度も剣を打ち合わせる。剣を振るう速度はゴブリンキングの方が上のように見える。


 しかし力強さはリカルドの方が上のようだった。その差はあまりないみたいではあったが。


 その打ち合いは拮抗しているようだが、リカルドが少しやり辛そうにも見える。ゴブリンキングはその速さを生かして、移動しながら剣を振るっている。


 リカルドは受け身に回って、攻撃してくるときにカウンターを狙っているようだ。


 そうなれば俺のやることは一つしかない。ゴブリンキングの動きを邪魔するか、止めることだな。


 ゴブリンキングの速さをどうにかすればリカルドも今の不利な状況も良くなることだろうし。


 リカルドに当たらないように気を付けながら、水の弾を飛ばしていく。それも一発だけではなく、三発同時だ。


 真っすぐにしか飛ばしていないのでゴブリンキングには躱されてしまうが、その分速く飛ばせるので意識を逸らすには十分だろう。


 それにしてもリカルドを気にしながら攻撃するのは思っていたよりも面倒だな。


 今までは一緒に戦っていても、簡単に倒せてしまうのでこういった攻撃の邪魔にならないように後ろから敵を狙うというのはやったことがなかった。


 なのでリカルドの動きを予想して、攻撃するというのは難しかったのだ。


 それにゴブリンキングの身体が小さく、動き回りながら攻撃しているのでリカルドに被ってしまって攻撃できないことが何度もあった。


 確かにゴブリンキングからの攻撃を引き受けてくれているのは助かるが、少しだけだがリカルドが邪魔に思えてきてしまった。


 リカルドを気にして色んな攻撃をすることが出来ない。まぁでもあんな感じの近接戦闘が俺に出来るかはわからないんだけどね。


 よく考えたら俺が考えていた攻撃手段はみんな広範囲に攻撃するものが多いような気がするな。というかほとんどそれしかないな。


 霧で視界を無くしてもリカルドも一緒に見えなくしてしまう。爆破も巻き込んでしまうし、糸状にして置いてもリカルドがいるし。


 何かいいのがないか考えている間も手を休めずに水の弾を撃っているが当たることはなく、状況は変わっていなかった。


 それどころか後から追って来ているゴブリンたちがこの場所に着いてしまう。


 そうなってしまったら、ますます戦いにくくなってしまうだろう。近接系のゴブリンはいいのだが、弓などの遠距離系が邪魔になる。先にそっちを俺が倒してしまうか? 


 しかし俺が援護していてもゴブリンキングとの打ち合いは一向に有利にならないということは、俺がいなくなったらリカルドが不利になってしまうということではないか?


 そんな葛藤をしている間もゴブリンたちは近づいてくる。本来であれば俺が近づいてきているゴブリンたちを倒してしまって、さっさとリカルドの援護に戻るというのがいいのだが。


「リカルド! 他のゴブリンたちがもう少しで来るよ」


「本当か!? ならレヴィはそっちを相手してくれ!」


「でもそれじゃあリカルドが」


「こっちはレヴィが終わるまで位の時間は稼いで見せるさ。だから行ってくれ!」


 思っていた通りだったがそう言われてしまった。


 どうする、普通に考えたらそうするのが良いのだがリカルドのことを考えたら心配になってしまう。


 しかも一人で大丈夫とは言わずに時間を稼ぐと言っている。そのことからもゴブリンキングを一人で相手をすることが難しいと言っているようなものだ。


 だからと言ってリカルドも俺にゆっくり譲る気なんてないだろうし、ゴブリンたちももうそこまで来ている。こうなったら出来るだけ早く倒して戻って来るしかないか。


「出来るだけ早く倒して戻るから!」


「おう! 行ってこい!」


 最後に当てることよりも牽制として五発分の水の弾を撃ってから俺は後からやってくるゴブリンたちの方へと向かった。


 全部で二十体くらいだろうか。その数がこちらへと向かって来ている。


 持っている武器は剣に槍、斧、棍棒、弓と様々なものを持っている。おそらくはその全てが上位種なのだろうな。


 上位種ではあるのだろうが、ゴブリンキングを見てしまった今であればその強さも霞んで見えてしまうと思う。


 移動速度だけ見てもそのことが簡単にわかった。


 今回は早く終わらせられるような戦いをしなければならない。素早く倒して戻らないとな。


 しかしここら一体を吹き飛ばしてしまうというのもダメなんだろうな。いくら周りの草などが踏み倒されていたとしても、木まで無くしてしまうのは良くないと思われる。一番簡単な方法なのだがしょうがない。


 そしてこの前の津波も使えない。そこまで距離が離れていないということと数が少ないので奥に流されたとしても倒すことが出来ないということになってしまうかもしれない。


 そうなると、また向かって来てそのたびに戦うということは面倒になる。


 つまり俺がこの手で直接倒していくことが一番早く終わらせることが出来る、と思う。


 他にいい案を考えている余裕なんてないし、今はその手でいこうか。


 まぁもちろん馬鹿正直に何もしないで突っ込むことはしない、今はリカルドがいないので周りを巻き込むということを気にしないで攻撃することが出来る。


 まずはゴブリンたちの方向に霧を発生させる。こうすればゴブリンたちは周りが見えなくなり、向かう方向もわからなくなるであろうからな。よし、準備は整った。


 それから俺は足に力を入れて、地面を蹴った。俺の身体には筋肉というものはなく、魔力で身体能力を上げることが出来る。


 これは昨日の掃除のときに発見したことだ。魔力を高めれば重いものも軽くなったので掃除をしながらも色々と試していたのだ。


 これまでは上手く扱うことだけを意識していて、魔力を高めるということを考えていなかったのだ。


 実はリカルドの速さに合わせていたのだが、それよりも速く走ることは俺には可能だった。体力も無くなることもないし、つくづくこの身体は反則なような気がしてならない。


 まぁでもリカルドを置いて行くことも出来ないし、一緒に行かないと意味もないので合わせていたし、そのことを言うと面倒くさいことになりそうなので黙っていた。


 まだこの速さには慣れていないので抑える必要があるがそれでもゴブリンたちが対応できないほどの速さで移動することは可能だった。


 走ってゴブリンに近づいて行き、水の剣でその首をはねた。


 頭と身体を分けてしまえば確実に倒すことが出来ると思い、そこを狙った。ゴブリンも反応できていないことだし、簡単に一振りで倒すことが出来るので短い時間で倒せる。


 言い換えればただのゴリ押しなのだが、これが最善だろうな。


 その後も同じように高速で移動しゴブリンたちの首をはねていった。地面を走り、木々を蹴って、まだ扱い慣れてはいないことではあったが思いのほか上手く出来ていた。


 ゴブリンたちは持っている武器に関係なく全員反応できず、一回もその武器を振るうことなくその身体を地面に倒していった。


 霧を晴らすとそこに残ったのは二十体ほどの頭と身体が分かれたゴブリンの姿だけであった。


 一体の時間を短くしても全て倒すのにはそれなりに掛かってしまった。撃ち漏らしがないことを確認してから、俺はリカルドのもとへと戻って行った。


 そしてそこで見たものは傷だらけで満身創痍なリカルドの姿と無傷のゴブリンキングの姿だった。


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