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水しか使えない最強生物  作者: 猫宮るな
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38話

 ギルドの依頼でゴブリンの進行の調査を選んで受けた俺とリカルドだったが、馬車で目的の森に着きひたすらゴブリンたちが来たであろうところを逆走していた。


 ゴブリンたちが進んでいたところは草などが踏み倒されていたりとわかりやすくなっていた。


 しかし変なことは何もなく、それどころか近くに魔物が一体もいないということになっていた。


 まさに嵐の前の静けさという感じである。


「一回休憩しない? そこで私も探知範囲を広げてみてみるよ」


「そうだな。休憩しよう」


 俺は持っていた鞄から飲み物を取り出してリカルドに渡し、俺の分も取り出して飲んだ。


 お昼にはまだ早いか。食べるのはまた後でいいだろう。今日もお昼用にお弁当を用意してもらっていた。


「さて、今の探知範囲には何もいないけど、奥の方を見てみることにしますかね」


「頼む、何もなければそれはそれでいいのだがな」


 リカルドに伝えるために独り言っぽく言ってみたが、リカルドもその言葉に反応してくれた。


 俺は森の奥の方へと探知範囲を広げていく。詳しく見ることはせずに何かいたらわかるというくらいのものだ。


 すると、どうやらフラグはしっかり回収されるようだ。たびたびフラグめいた発言などがあったが、別に回収する必要はないのにな。


「奥の方に十体以上の魔物がいるね。ゴブリンだと思うけど、なんか少し違うような感じがする。そこから少し離れたところにも何体かのゴブリンがいる。こっちは特に変なところはないかな」


「違うって何がだ?」


「わからないけど、普通のゴブリンとは違う感じがするんだよね。今までこんなことはなかったのに」


「そうか、その違うのはどのくらいいるんだ?」


「奥の方にいるやつ全部違う感じだよ」


「そうか、全部か。とりあえず近くまで行って確認する必要はあるな」


「わかった」


 休憩を終わりにして、俺たちはそのゴブリンの方へと近づいて行った。


 気づかれないようにゴブリンたちとの距離を確認しつつ、進んで行く。


 ゴブリンたちは鼻が利くわけではないので風向きは気にしなくても大丈夫だ。しかし耳はそれなりに良いので、静かに移動しなければならない。


 そうして見つけたところは、変わらず森の中ではあったがゴブリンたちがいるところはひらけているようでそこにゴブリンたちがいた。


 んー、この感じだとここで生活をしているのかな。


 建物とかそういうものはないが、穴が掘ってあったり外から見えないように周りの茂みで隠されてあったりとそういった工夫が見て取れる。


 そのことをリカルドに伝える。


「どうするの?」


「俺は見れていないからな、何とも言えないがどうするか。少し覗いてみるか」


 ということになった。


 リカルドは慎重に近づいて行き、ゴブリンがいる場所を覗いてみた。


「やばい! いったん引くぞ」


 覗いたがすぐに頭を引っ込めて、ゴブリンたちがいるところから音を立てずに急いで離れていった。


 俺も静かにリカルドに付いて行く。


「もしかして見つかった?」


「いや、それは大丈夫だ。しかしいた奴がやばい奴だった」


「どういうこと?」


「あそこにいたのは、ゴブリンキングだ。ゴブリンの最上位に近い上位種だ。キングがいるんだったら、あのゴブリンの進行も納得いく。それに他にも見ることが出来たものも全員上位種だった」


 つまり簡単に言うと、ゴブリンの中でも強い個体があそこにいてあいつらがいたから一昨日の進行があったということか。


 それにここにいるのはその中でもトップの実力を持っているゴブリンたちだということだな。


「どうするの?」


「これは早くギルドに報告しにいかないといけないな。すぐに街に戻る」


「わかった。あ、けどそう簡単にはいかないみたいだよ」


「どういうことだ?」


「戻る方向にもゴブリンが来てる。さっき離れていたゴブリンたちかな。今動いたら見つかると思う。というかこの場所だと動かなくても見つかりそうだなー」


 そう、ちょうど挟まれた形になってしまっている。離れているからと思って少し油断をしてしまっていた。


 このまま動かないとこっちに向かって来ているゴブリンに見つかるし、動いても近くにいるため見つかってしまう。


 そして見つかったらおそらくゴブリンキングに伝わり、俺たちがいることがバレるであろうことは容易に想像がつく。


 素早くこっちに向かってくるゴブリンを倒すということも出来るかもしれないが、声を出させないかどうか賭けみたいな感じになるだろうな。


 そもそもそのゴブリンキングというのはどのくらいの強さなのだろか。


 これだけリカルドが動揺しているということは、それなりにやばいことはわかるが、それは俺がいるから動揺しているのか。それとも俺に関係なく動揺しているのか。


 今はそれを聞く暇もないため、リカルドが決断するのを待つ。


「よし、ゴブリンキングは一先ず放っておいてこっちに向かっているゴブリンたちを蹴散らして突破するぞ。倒さなくてもいいから急いで走り抜けることにする。もちろん邪魔になるやつは倒していいが、最優先はこの場から離れることだ」


「わかった」


「それからレヴィは遠距離の攻撃も注意して防いで欲しい。先頭は俺が行くから背中は任せる」


「うん、任された」


「んじゃ行きますか!」


 そう言うとリカルドはゴブリンたちに姿を現して、突撃していった。


 俺はまずリカルドに付いて走りながらも、探知の精度を上げた。情報量が多く混乱しそうだが、こうすればゴブリンたちがどんなものを持っていてどんな動きをするのかがわかる。


 そして道を作ってくれるリカルドの後を追い、離れているゴブリンたちがこっちに来ないように水の弾を撃ちながら走った。


 俺たちに気が付いたゴブリンが大きな声を出し、周りのゴブリンに伝えていた。


 この声であれば少し離れたところに居たゴブリンキングにも聞こえたことだろう。


 それから弓矢を撃ってくるゴブリンに牽制を入れながらも、当たりそうなものを弾いて防ぐ。


 それからは全速力でその場から離れていく。


 案の定ゴブリンキングたちにも聞こえたのだろう。違う声が遠くから聞こえてきたと思ったら、一体がすごい速さでこっちに近づいてくるのがわかった。


 他のやつも俺が知っているゴブリンよりも速かったのだが、その一体だけは全く違う速さを持っていた。


 おそらくこいつがゴブリンキングなのだろう。


 そいつがどんどんと距離を詰めて向かってくる。


 いくらリカルドがスピード型ではないとしても、ランクAでもおかしくないと言われるほどの実力を持っているのだ。


 そんなリカルドよりも速いとなるとゴブリンキングの強さもおのずとわかるというものだ。


 追いつかれるのも時間の問題か。


「すぐに追いつかれそうだけどどうする?」


 走りながらも止まらずにリカルドに聞いてみた。後ろの様子は俺しかわからないので、情報を知らせるということでも逐一知らせる必要があると判断した。


「くっそ、速いのは知ってたがそこまで速いとはな。このまま出来るだけ移動する。そうすれば他のゴブリンたちとは距離を取れるだろうからな」


「わかった」


 出来るだけ他のゴブリンとは距離を離して、ゴブリンキング一体を相手にする時間を稼ぐということだな。


 確かに他のゴブリンも速いが、俺たちの速さには付いて行くことは出来ずにいた。


 そのため俺たちが進めば進むほどゴブリンキング以外とは距離を空けることが出来る。だが、


「リカルド! もう追いつかれる!」


「ちっ! わかった! 止まって迎え撃つぞ!」


 最初からそこまで距離が離れていなかったこともあってか、すぐに追いつかれてしまった。


 俺の言葉を聞いたリカルドはすぐに止まって後ろの方を向いた。


 俺もリカルドを少しだけ追い越すと止まり、すぐに向きを反転した。ゴブリンキングから見ればリカルドの後ろに俺がいるという形となった。


 そのゴブリンキングはもう目の前に迫っていた。


 しかし目視で確認はまだできず、


「どこにいる?」


「上いるよ」


 見上げると木の上に一体のゴブリンが立っていた。


 そいつは今まで見たゴブリンと大きさはあまり変わっていないようだったが、筋肉があり、しっかりとした身体つきで、厳つい顔をしていた。


 そして特徴と言ったら、武器だろう。ゴブリンキングの手には身長よりも大きいであろう、一振りの剣を手にしていたのだった。


「あんなの持っているのにあんなに速かったんだ」


「ゴブリンキングは他のキングと比べても防御力は低いが、その分とても速い。だから油断せずに相手をするんだぞ」


「了解」


 俺たちのことを警戒してか、他のゴブリンたちを待っているのかわからないがゴブリンキングは木の上で立ち止まっている。


 ここは先に手を出すべきか、そう思っていたところ、ゴブリンキングは足に力を入れて木を蹴ってものすごい速さで俺の方へと向かってきた。


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