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水しか使えない最強生物  作者: 猫宮るな
32/126

32話

 森の奥から進行して来た九割方のゴブリンを倒し終わった後、暗くなって来たこともあって今日のところは街に戻り、残りは明日倒すということになった。


 暗い中で戦うのは冒険者たちにとって不利になるということで、一旦明るくなってからまた改めて倒すこととなった。


 ゴブリンも暗い中見ることは出来ないが、数が多いので明るい時のように数で押されたらつらくなってしまう。


 倒せていないゴブリンたちが森の中に拡がっていってしまうが、それはしょうがないのだろう。


 全ての門を閉めておけば街に入ってくるということはないので、安心だ。


 この街へと入ってくるということは出来なくなってしまうが、一日くらい来れなくても大丈夫であろう。


 それに、元々夜の間は基本的に街の門は閉めておくようなので、あまり影響はでないと思う。


 まぁそれでも明日一日来れないだけでも、大変なことになる人もいると思うけどそういう人には補填などしてくれるのであれば、文句は少なくなると思う。


 そこら辺は領主などの仕事なので、俺には関係のない話だな。


 俺たちも今日のところは帰っていいということで、野良の住処は全員屋敷へと戻ることになった。


 ギルドマスターやアルターナ、アーシャともその場で別れ、俺たちは六人で屋敷へと向かって行った。


 メンバーは俺、リカルド、クリム、ギル、モノリース、アレバの六人だ。


 紅一点とはこのことか。


「お疲れさん」


「おう、レヴィもな」


「私は後半何もしてなかったからね。特に疲れてないよ」


「でも足止めしてくれていたじゃないか」


「はいはい。その言い合いは平行線になって終わらなくなりますからやめましょうね」


 リカルドと俺が言い合いになると思ったのか、クリムが早い段階で止めてくれた。


 確かにずっと言い合ってしまって、それだけで屋敷へと着いてしまいそうな勢いだった気がする。


「そう言えば、クリムとモノリースは魔法主体だったと思ってたけど、近接戦闘も出来るんだね」


「まぁ戦闘奴隷でしたからね。基本的に戦闘奴隷は近接での戦闘ができないといけないのですよ。いざという時にはこの身を盾にならないといけませんからね。いつもはギルの後ろから援護する形でやっていますが、今回は自分も前に出ないといけない状況でしたから」


「そうなんだ。確かにギルとアレバは獣族ということもあって、身体能力が高いからね」


「そうなのですよ。ですので私たちが二人に合わせるとなると、ついて行けなくなってしまうのですよ」


 しかしギルとアレバで組ませるとそれはそれで、バランスが悪くなってしまう、だからこの二人組になっているのだろうな。


「そう言えば明日のことは私は聞いていないけど、どうなっているの?」


「あーそれは俺たちは朝一でギルドに行って、そこで指示を貰う形になってるな。レヴィは」


「もちろん私も付いて行くよ。私だけ仲間外れとか嫌だし」


「それなんだがな。ランクD以下は明日のゴブリン退治には参加することは出来なくなった」


「え? なんで?」


「外にいるゴブリンたちは大体は後ろの方に居た奴らだ。だからその分ゴブリンの強さも強くなっていて、ゴブリンの上位種である、ゴブリンナイトやゴブリンアーチャーまで居ることが確認できた。だからそんなどこにいるかもわからなくなったゴブリンたちを相手にするのは、ランク的に厳しいということになったと言っていた」


 上位種というのは通常の魔物よりも強い個体で、魔物が進化するとそういったものになると教わった。


 それにしてもいつの間にそんなことを聞いていたのだろうか。


 まさか外から帰って来た時にアルターナにまた抱きしめられてしまった時だったのか?


 それならギルドマスターも近くにいたし、話を聞いていたとしても不思議ではないか。


「でも私なら上位のゴブリンでも大丈夫だと思うのだけど」


「確かに俺もそう思うが、決まりは決まりだ。それを破ってしまったら他の奴らも出来ると言って、やりたがるようになってしまうからな。明日は大人しく家で待っとけ」


 確かに、確かにそうなのだが、さっき今度こそは一緒に戦いたいと思っただけにこの仕打ちはひどいと思う。


 だめなのかー。


「わかった。今回だけは諦めるよ」


「全然諦めたような顔はしてないが、レヴィが休みになればユアも喜ぶだろうしな」


 今回はほんとに諦めるさ。でも次回はこんなことにならないように、冒険者ランクを一刻も早く上げなければ。


 この件が落ち着いたら早速取り掛かるようにしようか。リカルドにも手伝ってもらわないと。


 そんなことを決意して、すっかり暗くなった街の中を六人で歩いて行くのだった。


 やっと屋敷に着くと帰って来たんだな、ということを実感できた。


 今日一日はとても長かったような気がする。


 玄関を開けると、一人の少女が俺に向かって飛び込んできた。


 俺はそれを優しく受け止めると、その少女は身体を強く抱き締めてきた。


「ただいま、ユア」


「おかえり、レヴィ」


 昨日もそうだったが、俺が帰ってくるときにユアが待ち構えているような、そんなタイミングで俺のところに来るがどうやっているのだろうか。


 そんなことを考えながら、頭を撫でていると後ろから言われてしまった。


「まだ後ろに俺たちがいることを忘れてはいないだろうな?」


 別に忘れていたわけではないのだが、抱き着いて来た場所がちょうど一人分しか通れないようなところだった。


 それはわかっていたが、こうやって抱き着かれたら頭を撫でてやるまでが一連の流れになっているので、それを終わらせるまで動けないというか、動かないというか。


 そんなことを言ってしまったら何を言われるかわかったものじゃないので、ここは大人しくユアに抱きしめられながらも、中へと通れるように場所を開けた。


 そしてその開けた場所から家の中へと入って行くと、


「みなさん、おかえりなさい。お疲れさまでした」


 そこにはマリーの姿があったのだった。


「え、あ、どうも」


「何を照れてんのさ」


「馬鹿! 照れてなんかねぇよ!」


 出迎えてくれたマリーに対して、リカルドが照れている様子だったので、面白いものを見たと思い俺はからかってやることにする。


 こんなリカルドは滅多に見れるものでもないだろうからな。


「それじゃあ、他に言う言葉があるんじゃないの? どうも、とかそんな言葉じゃなくてさ」


 思わず顔がにやにやするのを抑えながら言うと、リカルドは言いづらいような微妙な顔をしたのだった。


 マリーもその言葉を言われたいのか、そのままの様子で待っているようだった。


 リカルドは決心したように、マリーの方へと向き直った。


「ただいま帰りました」


 それでもマリーとは目線を合わせられずに、その言葉を口にするのであった。


 にしても言葉が硬いなー。


「はい、おかえりなさい」


 その様子にマリーも微笑みながら、もう一度その言葉を言うのであった。


 さっきから静かにしている他のみんなはどうしたのかと思って見てみると、男の四人とも笑うのを必死に我慢していた。


 それに気づいているのかどうかわからないが、リカルドは言うとすぐに入って行ってしまった。


「あんなリカルド初めて見ましたね」


 クリムがそうつぶやくと、他の人もそれに同意していった。


「いやー、面白いもんが見れた」


 ギルもこんな調子である。


 それからみんなもマリーに一言言ってから、中へと入って行った。


 その顔はまだ笑っているようではあったが。


「そう言えば、途中で別れることになってしまいましたが、あの二人は大丈夫でしたか?」


「はい、大丈夫でしたよ。頑張っているのだから私たちも頑張らないといけないと言っていました」


「そうでしたか、それは良かったです」


 クリムがマリーと話していたのが気になって、声をかけることにした。


「何かあったの?」


「実はリカルドがギルドへと向かっている途中で会った時、メリッサとライカの二人と買い物をしているときだったのですよ。その時二人を置いて行ってしまったのが心配でしたので」


「そうだったんだね。でも無事に帰って来れたのなら、良かったよ」


 ちなみにメリッサとライカはクランの女性の中の二人だ。


「そうですね」


「まぁでも実際に会って話さないとね。ということで、今すぐにそこにいるギルと一緒に行ってきなさいな」


 話を聞きたかったのか、さっきから少し離れたところに居たギルがいたのだ。


 この二人もさっきのリカルドほどではないが、面白そうな反応してくれそうである。


「今ですか?」


「そう、ほら、行った行った」


「わかりました。ほら、行きますよ」


 クリムは意外と早く決心して、ギルを連れて食堂の方へと歩いて行った。


 まぁいいか。さてと。


「そろそろ放して欲しんだけどな」


 今の今までずっとユアに抱き着かれたまんまだった。流石に俺も中へと入りたいのだけど。


「むう、わかった」


 渋々という感じで、ユアは身体に抱き着くのをやめて、俺の腕に抱き付いて来たのだった。


 そのことに苦笑しながらも、俺は改めてマリーの方を向いた。


「ただいま、マリー」


「おかえりなさいませ。無事に帰って来られて良かったです」


 それを言うと、三人で中へと入って行ったのだった。


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