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水しか使えない最強生物  作者: 猫宮るな
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16話

 クランの拠点となる物件探しに行ったその日の夜、昨日と同じように部屋でのんびりと過ごした後にご飯を食べ、シャワーを浴びてから部屋に戻った。


 そして、ユアは馬車での移動や屋敷内を歩き回ったせいだとは思うが、予想していた通り疲れていてとても眠そうな様子だった。慣れないことをして疲れたのだろう。


 まぁ最初からわかっていたことだし、今考えると逆に今までちゃんと起きていて、俺にずっとついて回っていたことが驚きだったことがわかる。俺なら帰って来た時にでも寝てしまっていたかもしれない。


 そのため部屋に戻りベッドに入ると、すぐに意識を手放して寝てしまった。俺が隣にいることを確認した後ではあったが。


 部屋に入ってすぐにユアが寝るという、この流れは昨日と全く同じなのだが一つ違う点があり、それはリカルドがこの場にいないということだ。


 昨日までであれば向かいのベッドにいたので、少し話したり何となく何をしてているのかと気になってその姿を眺めたりしていたのだが、それが出来ず暇だった。


 一緒にいるときには意識していなかったが、いなくなると気づくこともあるというのは本当のことだったようだ。


 いつの間にか無意識のうちにリカルドがいることに安心感を得ていたのかもしれない、このいない現状に少しの不安感があった。


 しかし俺たちのために今頑張ってくれていると思うし、一人で行ったことの心配という気持ちもあるが本人が自信を持って大丈夫と言っていたのだから大丈夫だとは思うのだけれど。


 それに俺の方も一人ではなくて、ユアもいるので大丈夫なんだろうな。本人は耳をぴくぴくさせながら、気持ち良さそうに眠っているが。


 これが一人だったとしたら、どうしていたんだろうか。


 考えたところで今は一人ではないので考えても意味がないと思い、俺は部屋の明かりを消すために立った。俺は寝ることはないが、待つにしても明かりを付けているのはもったいないので明かりを消すことにしたのだ。


 それに本当かどうかわからないが、明るい部屋で寝るよりも暗い部屋で寝る方が、よく眠ることが出来るというのを聞いたことがあるのでユアのためにも消しておいた方がいいだろう。


 そんなこんなでその日の夜は部屋の中は二人だけで更けていき、そして時間が経ちやがて空が白んでくるのであった。


 しかしリカルドは空が明るくなっても帰ってくることはなかった。


「、、、ん、、、」


 眠そうな顔をして、目を擦りながらユアが起き上がった。まだ眠そうではあるが、すぐに隣のベッドへと目を向けた。


「まだ帰ってきてないみたいだね」


「そっか」


 ユアが話しているところは見たことはないが、リカルドことを心配をしているようだった。


 さて、ユアも起きたことだし、朝ご飯を用意しないとだな。


 いつもはリカルドが持って来てくれていたので、どこから持って来ていたのか俺にはわからないが、まぁどこか彷徨っていたら見つかるのかな?


 とにかく部屋から出てみないとわからないので、早速行って見ようと思う。


「朝食持ってくるけど、待っている?」


「行く」


「まだ眠そうだし、待ってていいんだけど」


 そう言ってみたけれど、ユアは顔を大きく横に振った。


「そっか、じゃあ一緒にいこっか」


 俺はユアの様子を見て苦笑しながらも、手を差し出した。


 ユアはその差し出された手を見て、笑顔で手に抱き着いてきて、俺はユアを受け止めてから歩きだし、部屋を出た。


 朝のギルドは忙しいようで、色んな所から声が聞こえて来る。


 そして一階には多くの人がいるようで、騒がしい様子だということが二階からもわかるほどだった。


 忙しそうな雰囲気だったため、そんな人たちの邪魔をしないようにと、まずは二階から探してみることにした。


 昼や夜で食べている部屋にも行って見たがそこには何もなかった。ここではないということは、他には心当たりなんてないのだが、どうしたものか。


 他のクランの人たちの部屋に行って聞いてみるのも、子どもたちがまだ寝ていたらと思うと、遠慮しちゃうしな。


 とりあえず一回りしてだめだったら聞くことにするか。


 一通り二階の廊下を歩き回ってみたが、ご飯を配っていそうなところは見つけることが出来ず、しかも不思議と廊下で誰にもすれ違ったり、見かけたりもしなかった。


 人が動いている音は聞こえるのに、人の姿を見ることが出来ない。


 なぜこういう時に限って、誰にも会うことがないのだろうか。会いたいときに限って会えないということは良く聞く話ではあるが、今それを発動させなくてもいいと思うんだが。


 そろそろ本当に食事にありつけないと、まずいよなー。俺は別に食わなくてもいいんだが、ユアがしんどいだろう。


 ただでさえ子どもでよく食べる時期であるだろうし、ユアは他の子どもと比べてもたくさん食べていたからお腹が空いてしまうだろう。


 それなのにユアは今も文句ひとつ言わないで、黙って俺に付いて来てくれるというのはとても偉いことだな。まぁユアはもう少し何か言ってもいいとは思うけどさ。


 こうなったら、一階にあった飲食店で何か食べ物を貰ってくるしかないように思えてきた。


 しかし問題はいくつかある。


 そもそも俺たちが行って、素直にもらえるかがわからないということだ。お金も持ってないし、事情を知っていなければ貰うことはできないだろう。


 そして人がすごく多いということだろうか。まぁ俺は何とか頑張れたとしても、ユアは耐えられないだろう。一人で待っているということはしないだろうし、きっと意地でも付いてくると言ってくるだろうからな。


 さてどうしたものかと考えながら、俺たちの部屋の近くまで戻ってみると、部屋の前にはマリーの姿があった。


「マリー、会いたかったよー」


 念願の人に出会えた喜びと、少しの悪戯心によって、そんな言葉が出てきた。


「良かった。二人ともいたのね」


 なんか求めていたのと違ったが、まぁいいか。どうやらマリーも俺たちのことを探していたらしい。


 というか、素の言葉はそんな感じなのか。


「リカルドさんがまだ帰って来ていないと聞きましたので、朝食を一緒にと思いまして」


 あれー、話し方が戻ってしまった。とても残念である。まぁマリーは俺たちのことを気遣ってくれたんだな。


「それはありがたいよ。実は昨日まではリカルドが持って来てくれていたからさ。どこに行けばいいのかわからなくて」


 そうして、マリーという救世主に出会えた俺たち二人はお言葉に甘えて、一緒にさせて貰うこととなった。


「では、部屋でお待ちになっていて下さい。今、お持ちしますので」


「え、いや、一緒に行くよ。三人分だし、自分の分くらいは持つから」


「いえ、それくらいでしたら持ってくることが出来ますので、お待ちになっていて下さい」


 それから短い攻防が続いたのだが、結局俺の方が折れるという結果になったのであった。


 言われた通り部屋で待ち、少し経ってからマリーがご飯を持ってやって来た。そしてリカルドが座っていた位置にマリーが座り、俺たちと向かい合うようになった。


 俺たちはお礼を言って、朝ご飯を食べ始めた。その間は静かなもので、みんな話すことなく黙々と食べていた。


 俺とマリーは何となくリカルドのことが気になっているからであろう。ユアはまぁただ食べるのに真剣になっているだけだ。


 それからちょうどご飯を食べ終わる頃、突然扉が開け放たれた。その音に驚いてみんなそちらの方に目を向けるとそこにいたのは。


「おう! ただいま! 今帰ったぞ!」


 上機嫌で顔を赤くして、少しだけふらついている、リカルドの姿がそこにあった。どうやら人が心配して待っていた中、どこかで酒を飲んで来たようだ。


 そして現状に俺はどう対応するか、迷ってしまった。


 とりあえず話を聞いてみないことにはわからないし、もしかしたら何か理由があるのではないかとも思う。


 でも、それでも一回殴ってもいいんじゃないかと思ってしまうのであった。


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