表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水しか使えない最強生物  作者: 猫宮るな
13/126

13話

 俺とユア、そしてリカルドは食事をしていた部屋から出て、リカルドの後に付いて行きながらギルドの三階へと上がってギルドマスターの部屋の前へと辿り着いた。


 リカルドがノックをすると、中から「どうぞ」という返事が聞こえてきた。


 そのままリカルドは扉を開けて入って行き、俺らもその後に続いて部屋の中へと入った。


「リカルドたちでしたか、少し座って待っていて下さいね。これだけ片づけてしまいますから」


 ギルドマスターはそう言うと、机に置いてあるベルを鳴らすように振るがまたしても音は出ることはなかった。何か仕掛けがあるんだろうけど、何だろうな。


 リカルドはそのままソファに座ったので、俺もその横に座って待っていることにした。


 今度は一つのソファにリカルド、俺、ユア、の順に座る。俺の隣はユアの定位置になっているようだが、しかし真ん中にユアが来るというのはないみたいだ。


 食事の時も隣だったので、もう隣に座っているのが普通な感じがしてきた。慣れてきたんだな、きっと。


 静かな時間が経って、リカルドの口が開いた。


「さっきのは魔道具でな。二つで一つのもので片っぽを振ると、もう一個の方が音が鳴るように出来ているんだ。離れたところでも使えるから、合図を送ったり何かを知らせたりに使うものなんだよ」


 俺が不思議そうに見ていることに気が付いたのか、リカルドが説明してくれた。


 暇だったこともあり、引き続き説明してくれそうなので俺は聞きたいことを聞いてみることにした。


「そうなんだ。でも音だけだと、何の用事で音を鳴らしたかわからなくなるんじゃない?」


「それは何回鳴らすのかということなどであらかじめ決めておいておくのですよ。そうしたら、どんな用事で鳴らしたのかということがわかりますからね」


 俺の疑問に答えてくれたのは、ギルドマスターだった。


 やっていたことが終わったのか立ち上がり、こちらの方に来て向かいのソファへと座った。


 そしてちょうどそのタイミングで扉をノックする音が聞こえてきた。


「どうぞ」


 ギルドマスターが返事をすると、飲み物を持った女性が入って来た。午前の時にも飲み物を運んできてくれた女性のようだった。


 飲み物を置き終わると、一礼して部屋を出て行った。


「便利ですね」


「ええ、わざわざ呼んで、用件を伝えるということが無くなりますので、とても助かっていますよ」


 確かに飲み物を持って来てもらうだけでも、人を呼んで、用件を伝えて、そして持って来てもらうというのが、ベルのおかげで飲み物を持って来てもらうというだけのことで済むのだから、確かに便利なものだと思う。時間をかけることなく出来るからいつも待機していることもせずに出来る。


「それで何のご用ですか?」


 リカルドは何も伝えることなくここに来たんだな。それで良かったんだろうか。


「午前中に話したクランについてだ。話した結果、クランを作ってみんなに入ってもらうことになった」


「随分と早いですね」


「まぁみんな行くところのないものばかりだったからな。それに加えて助けてもらった恩を返したいって言っててな、だからすぐに決まったわけだ」


「なるほど、そうでしたか」


「それにそっちも早い方がいいだろう?」


「ええ、まぁそうですね。早い方が使えるお金も増えますからね。一応確認ですが、全員がクランに入るということでいいんですか?」


「ああ、男に女に子どもの全員が入る」


「わかりました。では早速色々と決めていかなくてはいけませんね」


 やっぱり俺は必要だったのだろうか。なんか二人で話が進んでいるから俺はいなくても良かったんじゃないかと思えてくる。


 まぁ必要ないのであれば、勝手に部屋から出て行くことも出来ないし、大人しく座っていることにしますが。暇だなぁ。


「建物は何個か、貴族が使っていたものがありますので、その中のものを紹介しますから選んでいただくのがいいでしょう。掃除などは必要であればギルドからも手伝いを出しますので、その時は言って下さい」


 確か、男たちが五人、女性が六人、子どもが俺も入れると六人だったから、全員で十七人か。これだけの数の人が入るには、それなりの大きな建物じゃないといけないから、貴族の使っていた建物になるんだな。


 部屋数も必要だし、どれくらいの大きさの建物になるのだろうか。子どもたちは一部屋を何人かで使うとしても、それなりに必要になると思う。


 実際に行って見ないとわからないが、大きな建物なんだろうな。何と言っても貴族が使っていたものだし。


「それから、お金の方は国からはまだ来ていませんが、ギルドからはいつでも渡すことが出来ますので、そちらも必要になったらでも構いませんので言っていただけたら渡しますね」


「わかった」


「後は何かありますかね。ああ、そうでした、クランのリーダーはリカルドでいいんですよね?」


「いや、クランリーダーはレヴィにやってもらおうと思っている」


「え? なんで私?」


 とっさのことでも私って言えた、これは慣れてきたおかげってことかな、って今はそうじゃなくて。


 クランリーダーってその名の通り、クランのトップの人でしょ? なんで俺になるんだよ。どう考えても、リカルドが適任じゃないか。


「このクランはレヴィがいるからこそ、出来上がったんだ。だからこそ、レヴィが中心になってやっていきたいと思っている。もちろん実際に色々とやるのは俺たち大人がやって支えるつもりだし、押し付けるようなことはしないつもりだ」


 いや、言いたいことはわからなくもないが、俺はこの世界で生まれてまだ何も知らない状態だし、そんな奴がいきなりクランのトップとか無理だし、でもこれを言うわけにもいかないし、どうすればいいんだ。


 どう考えても適任でいい大人がいるのに、見た目中学生くらいのガキがトップっておかしいでしょうが。


 どうにかして断る理由を見つけなければ、本当になってしまうかもしれない。何かないか、何かいい案が。


 まだ子どもだからとか、そういうのはさっき支えるとかなんとか言っていたから、だめか。リカルドの方が色々知っているからと言うのも同じ理由でだめだし、何かないか。


 そんな感じで脳を働かせて必死に考えていると、いや俺には脳はないんだけど、それは置いておいて、というか余計な考えが浮かんでくるのは意外と余裕があるからなのか。どうなんだ。


 変なことまで考えているうちに、別のところから救いの手がやってきた。


「それは出来ません。クランリーダーは最低でも冒険者ランクがCになっていないと、なることが出来ないのですよ」


「それなら、今からギルドに登録してランクをCにすれば」


「それは出来ないこともあなたなら知っているでしょう。どんなに実力があっても、ギルドに登録するときは上げることが出来てもランクDまでです。なので、レヴィさんがクランリーダーになることは出来ません」


 そうだったんだ、まぁ良かったということかな。


 俺がなるよりもリカルドがなった方が絶対良いと思うからな、みんなのまとめ役なんてやったこともないし、できる気もしない。


 それに対してリカルドはあの牢屋の中でリーダーっぽい存在だったし、頼りがいがあるような見た目だし、問題ないだろう。色んなことにも詳しいと思うしね。


 そうしてクランリーダーはリカルドということになった。本人は不服そうだったが、これで良かったと俺は思っている。


 そしてこの話の流れからなのかわからないが、なぜか俺の冒険者ランクがDに決まってしまっていた。どうやら、ランクB以上の推薦と、ギルドマスターの許可があればいいらしい。


 こうして俺も無事に冒険者になることが出来たのであった。いや、なろうって決めていたからいいんだけどね。本人を交えないで話し過ぎじゃないかな?


「レヴィなんかクランの名前でいいのはないか?」


 唐突にリカルドがそんなことを言ってきた。


 なんでもクランにも名前が必要というらしく、これは俺が決めるということを譲らない様子だった。


 まぁそれくらいであれば、いいのが思い付くのであればいいのだが。何かいい感じのが、出て来るかなー。痛過ぎる名前は遠慮したいところだが。


「そうだね。じゃあ〝野良の住処″でどう? 俺たちはみんな行く場所も帰る場所もないものたちの集まりだからね。そんな俺たちにぴったりだと思うけど」


 俺にしては思ったよりもいいのが浮かんだような気がする、リカルドがどう思うかどうかわからないけど。


「野良の住処か、いいんじゃないか。確かに俺たちにぴったりな名前だな」


 良かった、変って言われたらもう一度考え直さないといけないところだった。


 そんなこんなで、クラン、野良の住処は出来上がったのであった。


「まぁこんなもんだろう、レヴィとユアはもう行っていいぞ。後は俺が細かい話をしておくから」


「わかった。よろしくね」


 俺もこれ以上何を言われるかわかったもんじゃないからな、いいのであればここから早く退散した方がいいだろう。


 ユアも流石に退屈そうにしていたし、よかったな。


「そうだ、レヴィさん。冒険者の登録はこちらの方でしておきますので、明日以降であればいつでも良いので一階のカウンターで冒険者カードを受け取っておいて下さい。そのカードが冒険者である証にもなりますから」


「わかりました。ありがとうございます」


 ギルドマスターからの言葉を聞いてから、俺とユアは部屋を出て行った。


「とりあえず、部屋に戻ろっか」


「うん!」


 俺がユアに話しかけるとさっきまでの退屈そうな態度が嘘だったみたいに元気な返事が返ってくるのであった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ