100話
100話到達しました。
みなさんのおかげです。
これからもよろしくお願いします。
それから数日が経ち、約束の日となった。
朝、朝食を食べるため下へと降りるとすでにスカルノたちの姿があった。その様子は一人を除いていつも通りの雰囲気であった。カイだけは未だに暗い表情をしている。一時的なものでもよほどパーティから抜けることが嫌だったみたいだ。
もちろんそんな態度をしていても許されることはなく、一人だけお留守番をすることとなっている。
スカルノたちが行っている間俺とパーティを組んでやっていればいいんじゃないかという提案も受けたのだが、俺がそれを断っていた。俺にもやらなければならないことというのがあるのである。
「レヴィは今日どうするんだ? ずっと休んでいたみたいだったけど」
「今日から私もダンジョンに行こうかと思っているよ。まだ細かいことは決めていないだけどね」
「そうか。俺たちとは一緒に行くことは出来ないが、頑張れよ」
「うん、ありがとね」
ダンジョンから帰って来て次の日からは街に出て、アクセサリー屋などの装備などが売っているお店を良いものがあるか見て回っていた。中々今身に着けている以上のものは、所持金的にも買うことは出来なかったがこんなものがあるのかというのだけでも知れたので見て良かったと思う。
しかも一人で回ったわけではなく、メリアナと一緒だったこともあって退屈せずに色々と見ることが出来た。メリアナは俺に合わせてくれて案内をしてくれたのでとても助かった。
一人だと絶対に迷っていたところだ。メリアナは少し、いやかなり服屋などに行きたいような雰囲気を醸し出していたが、俺には不要なものだし俺の所持金のことも考えていかないでくれたみたいだった。
まぁとりあえずデートみたいで楽しかったと言っておこうか。
そんなこともしていたが今日から冒険者活動開始である。スカルノたちもギルドへと向かって、あの勇者とやらとダンジョンに行かないといけないのでギルドまでは一緒に行くこととなった。
宿でユーミルとカイに見送られながら冒険者ギルドへと向かっていったのであった。正直カイのことは本当にいいのかと言いたいのだが、すでに決まったことで変えることはないようなので俺からは何も言うことは出来なかった。
そうしてギルドへと着くと、以前のようにまたギルドの中が落ち着きがない様子だった。まぁ今回は予想できるというか、間違いなくそうだと思えることがあるので驚くことはなく、ここの準備をして入ることが出来ていたのであった。
中に入ると思った通り勇者ともう一人の女性がすでにいたのだった。
「遅いわよ!」
「これでも早い方なんですが」
スカルノたちはこう言われることを予想して、早めに来たのであったがそれよりも早く来たようで結局言われてしまった。実際まだ冒険者の数も少ないのだが、何を言っても無駄であろう。
「あなたまさか後ろの子どもも一緒に行くとか言わないでしょうね」
「ああ、こいつは関係ないですよ。ただギルドまで一緒に来ただけです」
「そう、それならいいのだけれど。邪魔なだけだものね」
お前も変わらないだろ、と言ってやりたがったが我慢してその場から移動することにする。
「それじゃ、気を付けてね」
「おう、そっちもな」
とりあえず良い依頼がないか見てから、ダンジョンに行くことにする。その後もしばらくスカルノたちは話していたようだったが、俺が依頼を見終わって受付の方に行くときにはすでにダンジョンへと向かった後のようであった。
俺もダンジョンに行くことにしようか。受付へと並んで、許可をもらい、今日も西のダンジョンへと行くことにしたのであった。
西のダンジョンはスカルノたちと行ったこともあって、これなら一人でも行くことが出来ると思えたのだった。
二十階層にいるグレイウルフキングは面倒そうだと思ったがそれでも一人でも倒せると思っている。それより浅い階層は余裕だと思った。なので問題はそれ以降の階層だろうか。
ギルドには何日か潜ることは言っているので気にせずにダンジョン攻略に集中することが出来る。一応ダンジョンの完全攻略を目指して頑張ってみることにしてみようか。もし本当に出来たとしても報告しなければバレることはないし、それなら勇者に絡まれる心配もないと思う。
あーでも、西のダンジョンに潜っているのであればどこかで会うことになってしまうのか。途中で引き返してくるにしても、攻略して戻ってくるにしても先に行っているのであれば会う確率は高いであろう。
その時は探知で俺の方が早く気づいて、違う道を選ぶなどのことをしないといけないな。そのことも頭に入れて、ダンジョンの中へと入って行ったのであった。
西のダンジョンは一階層から九階層ではワイルドドッグしか出て来ない。しかも最初の方は一度に現れる数も少ないので余裕で進むことが出来ている。もちろん地図も持って来ているので迷う心配もない。
現れるワイルドドッグたちは水の弾や刃を飛ばしてすぐに倒してしまう、サクサク進むことが出来ていた。これくらいのペースであればスカルノたちも出来ていたので例え同じダンジョンにいたとしても追いつくことはないであろう。
なので特に気にすることなく進んで行ったのであった。
ワイルドドッグの現れる数が増えていってもこちらの攻撃の数を増やせばいいだけなので特に困ることはない。というか俺の攻撃に耐えるか、躱すかしないことには俺の進む早さは変わることはないと思う。
それだけ俺も能力を扱うことに慣れたということだな。今では自由自在に出した水を操って動かすことが出来る。そのためいきなりの進路変更なども出来るので、ワイルドドッグが動き回っていても確実に当てることが出来る。
まぁもっと速く撃てばその必要もないわけなのだが、ダンジョンのまだ浅いところだということもあって、こうして練習をすることにしたのだった。常に練習していれば腕が鈍ることもないし、さらに上手く操作できるようになるかもしれない。
何はともあれあっという間に十階層へと辿り着くことが出来たのであった。えーっと、ワイルドドッグリーダーと五体のワイルドドッグだったか、んー問題ないな。
休憩を挟むことなくボス部屋へと入って行ったのであった。
中に入るとこないだと同じようにリーダーを囲むように五体のワイルドドッグが座っていた。そして俺のことを確認すると一斉に立ち上がって、唸り声を上げてきたのであった。
こちらに向かって来るのを待つ必要もないので俺は水を生み出してそれに水を足しながらも圧縮していった。大きさは俺の頭くらいの大きさだが、大量の水が圧縮されて今にも破裂しそうな感じである。
元のイメージはこの世界で良く知られているウォーターボールという魔法だった。ウォーターボールは当たると少し破裂するのである。つまりそれをもっと破裂しようとすれば大きなダメージを与えることが出来るということになる。
一応以前に水たまりを踏んだら爆発する様にしたものもそれに近いようなものだったので、比較的簡単に出来るようになった。そうなるとどこまで威力が高いものが出来るのか気になって試してみたかったのだが、強い魔物相手に試すことはなかったので簡単に倒せてしまったのであった。
そのため今回はその中でも一番強い魔物に対して使うということになる。どれくらい圧縮したのであろうか、もうこれくらいでいいかと思ったところでワイルドドッグたちが動き出した。
真っすぐに俺の方へと向かって来るのでこのまま撃ってしまおうと思う。破裂するのは向こう側だけにして、こちらの方には来ないようにする。これをしないと大変なことになってしまう。
そして圧縮するのを止めて、ワイルドドッグたちに向かって一気に解放した。すると、凄まじい衝撃とともに大きな音を立てて破裂した。爆発と言った方が正しいように思えたが。一瞬で目の前が見えなくなり、目視では何が起きたのかわからなくなった。しかし俺は視界だけで判断しているわけではないので、一応何が起こったのかわかっていた。
水が破裂したと同時にその衝撃でワイルドドッグたちが吹っ飛んでいき、壁に当たる前にその姿を消したのであった。つまりその衝撃だけで壁に叩きつけられる前に倒してしまったということであった。それはワイルドドッグリーダーも例外ではなかったようで、同じく魔石だけを残して姿を消してしまったのであった。
しかしダンジョンの床や壁とても頑丈なようで削られるなどのことはなく、特に変わった様子は見られなかった。
まぁこの攻撃はとても強いということがわかった。だが問題もあって、部屋の中が水浸しになってしまっているということである。これだと俺以外の人がいるときはもちろんのこと、外などでも使う時を選ばないといけないと思ったのであった。
なんか俺の攻撃手段がこういうのばかりだなと思いもしたが今はダンジョンだと思い、この惨状は無視することにして先へと進むことにしたのであった。




