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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第四章 陰謀編
96/113

96.逮捕しちゃうぞ

あと短いです。次回も短いです(予告)

どこから取り出したのか黄龍がロープを持ちゆっくりズタケに近づいていく。

いやあ、やっと終わりかぁ。今日はご飯が美味しいですな。


しかし、安心したのも束の間、突然ボールが落ちてきて辺り一面煙に包まれた。


「ぎゃあ! なんだ!?」


なんにも見えない!

急いで四天王と連れの軍人たちが玄武の元に集まる。


煙幕が薄くなるとズタケがいた場所には誰もいない。


目を凝らすと少し離れた位置にズタケと、ケリンがいた。ケリンの右手には黄龍が持っていたロープがある。

当の黄龍はというと、手前にひっくりかえっていた。殴られたのかな。銃声はしてないから撃たれてはいないと思うけど。


「誰だお前は」


「名乗る必要などない」


そう返すとズタケの背中をごそごそと触り始めた。

うわなに、変態? 引くわ。

けど気になって見ちゃう。


見ているとズタケの腕と脚が外れていくではないか。

すご。元の世界での趣味は時計の分解ですか?

あっという間に義肢は散らばった。


って、そんなことより。


「眺めずにさっさと魔法ぶっぱしたほうが良くない?」


「はっ! そういえばそうだ! よし死なない程度に魔法を撃つぞ! つまり、えーと……白虎……だめだ……朱雀……論外……じゃあ青龍!」


「えっ!? えーと、そよ風ー?」


爽やかな風がわずかに残っていた煙幕をほんのり流した。

見晴しは良くなったがダメージはなさそうだ。


「いや意味ないだろそれ! せめてかまいたちとかあるだろ!」


「あ、そっか! じゃあ、何処から現れるのか見えない真空の刃、かまいたち!」


長い。そしてその名の通り見えない。

そして何も起きない。

何か起きないかと見ている間にケリンはズタケを運びやすいようにロープで縛っている。


「おい効いてないじゃないか。ちゃんと出したのか?」


「や、やったよ! 流石にこんなときに怠けたりしないんだからね!」


「でぇい騒ぐな! だったら全員で魔法ぶち込めばいいだろ!」


「そうだね。ほりゃ、かみなりビリビリー」


「えっと、つむじ風!」


朱雀が癇癪を起こし叫ぶと、皆が一斉に魔法の大合唱を始めた。

先ほどよりも一層危険地帯なってしまった。


「げ、やべぇ! おい下がるぞ! サ、サピも早く!」


兵士も含め、みんな避難するがサピちゃんは動かずに見ている。

なんで?


「そんなに慌てなくとも市民を巻き込むような攻撃をするほど四天王は愚かではありませんよ。それよりもズタケ様の安全を確認しなければ」


と言ったそばからすぐ横を石つぶてが飛んでいく。


「…………」


無言でこちらまで下がってきた。

四天王を過大評価していたようですな。


「おい、一旦攻撃止め! 止めだ! 止めだって! 止めろおい!」


ほどなくして玄武が何度か叫ぶとようやく魔法が止まった。

煙やら粉塵やら熱気やらでもう街はめちゃくちゃだ。あちこちから悲鳴も聞こえてくるし。


流石にこれは死んだんじゃないのか? 大丈夫かな。


砂煙が収まると人影が現れる。

その人影はしっかり立っていて、正体は勿論ケリンだ。

何かを抱えていると思ったら、ロープで縛ったズタケを持ち上げて前方に構えているのだった。重そう。


「この若造が。俺を盾にしやがったな?」


「どうせ効かんのだから、四の五の言わずに黙って運ばれろ」


そう言いながら抱え直し、路地の奥へ向かおうとする。


「って、逃げる! 追いかけるんだ!」


兵士が追いかけようとすると再び爆発し煙幕が広がった。

収まるころには姿はどこにもなかった。


「あーあ、逃げられちゃった。なんてこったーい」


いつの間にやら起きた黄龍が超棒読みで言い、朱雀と白虎は口を開けていた。青龍はなぜかカフェテラスの椅子でくつろぎ玄武は目を閉じて天を仰いでいる。頬には一筋の涙。

なんて可哀想なんだ。誰が責任を取るんだ。俺らは他人事なんだ。


次回は1/24(日)に投稿します。

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