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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第四章 陰謀編
94/113

94.練り歩くのだ

ああは言われたけど帰るのも何かなー。

と思って部屋に戻ったら普通にご飯をくれたので一泊した。

そして作戦決行の日、黄龍がやってきた。


「なんかねー、反乱軍倒しに行くからあんたらも連れて来いってー。というわーけーでー、ついてきてね」


軽すぎる。

が、言動とは裏腹に強すぎるので逆らえるわけはない。嫌々ついていく。


建物の表側にある庭に着くと、どこから湧いてきたのか兵士と四天王が集結していた。物々しくて普通に働いている人が困りそう。


すでに玄武の説明は終わりに近いようだった。


「石は私が持ち他の4人は散開して街中を探る。石があるからと言ってこちらが先に見つけるとは限らん。見つけた場合の連絡は頭部の端末で行う」


四天王は全員耳にインターカムの様なものをつけていた。あれも魔法道具なのかな。明かりも通信も魔法道具でいいなんて便利ですなぁ。

そしてローダーがめっちゃ見てる。共和国に持って帰りたいとか思ってんだろうな。


「玄武ー。存在意義があるのか分からないおまぬけトリオ連れてきたよ」


「……お前らは私に付いてこい。それでは作戦開始!」


他の四天王は分かってるのか分かってないのか適当な返事をしてからそれぞれ出発した。

俺たちは最後に出発する。


玄武には5人ほどの部下が付いていた。少ない。

それにまぎれて俺たち3人が付いていく。連行されてるみたい。

そのまま出てまっすぐ大通りを進む。他の四天王はもう見えなくなっていた。


なぁおい、とローダーが小声で話しかけてくる。


「これって会ったら正面衝突するんだよな? 本当に解決できんのか?」


なんだ心配性だな。


「四天王が本気出せばズタケのおっさんはすぐボコられてからの逮捕で終了だろ。玄武さんは死刑とかしなさそうだしサピちゃんも納得するんじゃね?」


「そんな簡単に行くのか?」


青いのが納得いかなかろうが俺らに出来ることは四天王の金魚の糞に徹することだけなのだ。

そしてなんかヤバくなったら、なんかこう、うまく……やるんだよ!

全然自信無いけど。


「色が赤っぽくなってきたぞ。近いのか?」


急に玄武が話しかけてきたからびっくりした。

赤ければ近いんだったなと、サピちゃんに見せてもらった色を思い出しつつ確認をする。

たしかに石の色が黄色から赤みを帯びてきている、が。


「いや、もっと赤くなるはずっす。まだオレンジって感じだし」


そうかと言いまた進んでいく。


あーヒマ。

道行く人々に見られるし嫌だわ。


そういや皇帝ってどんな人なんだろ。

やっぱ小太りのおっさんかな。でっかい帽子被ってんのかな。おいしいものいっぱい食べてるのかな。両脇に若い娘をはべらしてグヘへとか。ずるいよな。


「だいぶ赤いぞ。朱色だ」


おっと。かなり近いみたいだ。警戒しながら進まないと。

といっても大通りだし一般人がいっぱいいるし、近くにいても不意打ち食らったりはしないだろう。多分。


「これが作戦なのですか?」


急に後ろから声がした。

見なくてもサピちゃんだってのは分かる。

俺の背中になんか当てられてる気がするけど多分気のせいだし確認したくない。


「サピ! その、反乱軍はどこにいるんだ?」


ローダーが気付いて叫ぶと玄武も兵士も止まってサピちゃんを見る。俺も気合いを入れて振り向く。

サピちゃんは後ろ手に何かを隠してから玄武へ顔を向けた。


「反乱軍の情報は全部渡しますよ。しかし……条件があります」


「まあ言ってみろ」


玄武たちは警戒しているのかフォーメーションを組み対峙する。

サピちゃんがどんなことを言うのか固唾をのんで見守る。


「反乱軍の人たちを死刑にするのは止めて下さい。そして、きちんとした職と住居を与え前科は帳消しにして噂が立てばそいつらを牢に入れて下さい」


「いやいや欲張り過ぎだろ!?」


びっくりだよ。玄武もびっくりだよ。周りにいた人もびっくりだよ。


「な、何を言っているんだ。罪が消えるわけがないだろう。普通に全員捕まえて牢に入れるからな。処遇をどうするかは陛下の判断になるがな」


「死刑になりうるということでしょうか」


「だからそれは……」


「うおりゃああああああ!! 帝国兵がなんぼのもんじゃいいいいいい!!」


うわなんだ!?

突然横から叫んで体当たりをぶちかまそうとする狂人が現れた。


が、普通に兵士の一人が足蹴にすると派手に吹き飛んで気絶した。

みんなでそいつを見る。


「なにこいつ」


「そいつは反乱軍のザコの一人ですね。たしか能力は目測で距離が完璧に分かるらしいです」


なにそれ。大外れ能力で可哀想。

今起こったことは無かったかのように玄武はサピちゃんに向き直る。


「お前は敵か味方かどっちだ」


「私は帝国もザコもどうでもいいんです。ズタケ様だけが無事ならそれでいいです。あなたこそ協力するのかしないのかどっちですか」


四天王に命令してる。こわい。

玄武はあんまり気にしてないみたいだけど、これ朱雀とか黄龍だったらヤバかったよ。


「妥協できるのは死刑にしないよう提言することだけだ。しかし死刑にならないという保証は出来んぞ」


「ひとまずそれでかまいません。それでは反乱軍の情報を全部言いますが一回しか言わないのでよく聞いてくださいよ」


サピちゃんが玄武に話し始める。30人くらいの能力と特徴を言っていく。よく覚えてるなぁ。

玄武も暗記しようとしっかり聞いている。

俺は一人も覚えられない。


「よし、分かった。ところで今言った中に魔術連合の職員の名前が混じっていた気がするんだが」


「ええそうです。なので帝国軍の動きは全部筒抜けですよ。もう新しいアジトには誰もいません」


だめじゃん。


「そうか。しかし石を使えば探せるからな。この赤さを見る限り、かなり近くにいるのではないか?」


「あ、その石、片割れはサピちゃんが持ってるから意味ないすよ」


玄武は固まった。なんかごめん。


「いや逃げてても街からはまだ脱出してないんじゃないか?」


「たしかにそうね。四天王全員で探したら見つかるんじゃない? 反乱軍ってまあまあ人数いるし」


「そういやそうだよな。諦めずに探しましょうぜ!」


俺らが励ますと肩を落としていた玄武が姿勢を正した。効いたか?


しかしどうも違うようだ。耳の装置を押さえている。

あの様子だと通信が入ったのかな。


「こちら朱雀。会敵したので至急集合。場所はカニ区画」


音漏れが激しく全部聞こえた。

地区名がおいしそうですね。


「よし行くぞ。お前らも付いてこい!」


次回投稿は12/27(日)です。

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