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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第四章 陰謀編
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91.カビの塔

スルネインは爽やかに晴れ、清涼な水の音が響いていた。

街の中央に位置する巨大なオブジェクトから水が流れ落ち、その水が川となり街中に広がっている。


川まみれの街なので小川に挟まれた塔などいくつもありそうだがサピに迷いはなかった。


「該当するものが複数あろうとも帝国が使用している物は省かれるので限られてきます。怪しいのは長く管理されていない塔で、水害でカビた塔と半分崩れた塔がありますが流石に崩れている方にはいないと思います」


そっか。

というわけで案内されるまま黒ずんだ塔に着いた。なんでこんなに黒いんだろう。もしかしてこれ全部カビ? 入りたくないな。


俺が塔を見ているとローダーが気付いたように言った。


「この街の水は魔法で管理されてるのになんで水害が起こったんだ?」


「昔、争いがあった時に水魔法を被ったらしいですよ」


さっさと建て直したらいいのに。


ともかく中へ入ろう。

見張りは立っていない。いたら帝国にバレるから当たり前かしら。

サピちゃんがドアを引けばあっけなく開いた。開いた瞬間むわっとカビの臭いが広がる。うわ。

見える範囲には物が散乱し、そして誰もいなかった。


「誰かいませんかー」


サピちゃんが臆さず進みながら叫ぶと、奥から誰かやってきた。

普通の兄ちゃんだ。


「む、なんだお前ら。さては帝国軍だな!」


「えっ違う」


「お前らなんかに負けてたまるか! ズタケ様、やっちゃってください!!」


取り付く島もない。


すると声に応えてか、奥から重い足音と共に大きな影が近づいて来る。

顔が見えた。その顔は確かにズタケだ。

だが身体が以前とは違い過ぎる。

以前取り付けた右腕と両足は新調したのか頑丈そうなものに変わっていた。さらに追加で肩から腰にかけて鎧のようなものが装着されており、腰部分から2本の腕が生えていた。


「こちらこそが究極最強サイボーグ、ズタケ様だ!!」


だからネーミングセンス。

ていうかズタケのおっさんは何でこんな軍団のリーダー? してるの。

一人でやった方がよさそうに見えるけど。


取り巻きが言うことはあまり気にしていないのかサピちゃんが前に飛びだす。


「ズタケ様! こんな危険なことはおやめください!」


「危険? それは違うぞ。この強力な手足と俺自身の能力を使えば帝国を掌握することなど容易いことだ」

ズタケは4本の腕を組みながら続けた。

「サピ。お前もこちらへ来い。それとも俺が勝てないとでも思っているのか?」


自信満々なおっさんにサピちゃんは返す。


「あなたが強いのはよく分かっております。しかし、帝国は強大です! そのような塵芥のごとき役立たずを何人引き連れようと、帝国に敵う保証などありません!」


「えっ」


「ふっ。そうかもしれんな。しかし、なればこそ、お前が必要だ。こいつらは兵としては十分だが参謀がいなくてな。やはり気心の知れた知性ある参謀がいなくてはな」


「ならば参謀として提言いたします。帝国を降すなど不可能です。止めて下さい!」


呆気に取られる取り巻きを無視してサピとズタケが会話を続けている。


さて、俺たちはどう援護したらいいものか。

ついてきたは良いけど、なーんも考えてなかったわ。


と、後ろの扉が突然はじけ飛んだ。


「な、なんだぁ!?」


その衝撃で天井から埃とカビが降ってくる。うわ。

そして逆光を浴びながら入ってくる人影。

目が慣れると見えてくる。白い神官のような服に身を包んだ、黄色く長い髪で中性的な顔立ち。


こ、この人は確か……。


誰だよ。


「私は帝国四天王は一人、黄龍です。のんびりしているから狩りに来ましたよ」


あ、初見か。

突然現れた四天王を見て暁の夜明け団(笑)にどよめきが走る。エルテとローダーもびっくりしている。


「あら? 四天王ってもう4人知ってるわよね? どういうことなの?」


「ん? 四天王なんだから5人に決まってるじゃん」


「え?」


めいっぱい首をかしげるエルテとローダー。何がおかしいんだろうなぁ。


ところで突如現れた新手の四天王にズタケは特に焦ることも無く答えた。


「ふん。四天王など怖くない。貴様の能力はもはや俺のものだ」


ズタケが生身である左手を伸ばして止まる。

取り巻きも止まる。黄龍も止まる。俺らも止まる。


みんなが見守るまま1分ほど経ったところでズタケが手を降ろした。

なにしてんのこのおじさん。


「能力奪取が効かないだと……!?」


あ、能力使おうとしてたのね。なんだっけ。人の能力奪えるとかだっけ。


「愚か者ですねぇ。あなたの能力を知らないわけないでしょう。ちなみに私は転移者じゃあないですからあなたの能力は効きませんよ。じゃあ覚悟は良いですか?」


転移者にしか効かないんだ。ふーん。

いや待てよ。そんなことより。


「ここにいたら俺たちも巻き込まれない? 逃げようぜ」


「あら、反逆者共は全員始末しますよ。それでは行きます」


「ちょ、待って。俺らは違う」


「さあ埋まってしまいなさい。野面(のづら)の倒潰」


突然の黄龍の呪文とともに塔は崩壊した。


次回は11/8(日)に投稿します。

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