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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第四章 陰謀編
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90.帝国と反乱

「エルテさん、ローダーさん! 助けてください!」


シカ狩りに飽きた俺たちはギルドで他の仕事を探していた。そこに突然誰かが飛び込んできた。

見れば懐かしい顔だ。


「あら、サピじゃない」


「久しぶりじゃないかぁ。どうしたんだ?」


「というか自然に俺が省かれてない?」


軽く傷ついているヘリックスをよそに、兎の獣人サピは言う。


「ズタケ様がぁ……変なやつにそそのかされて、危ないことを始めたんですよ! 止めるのを手伝ってくださぁい」


かなり焦っている様子だが、本題に入る前にローダーはうーんと唸った。


「その、ズタケってのは誰だったっけ」


そういえばローダーとエルテはちらりとしか会っていないのだったか。


「義手義足の転移者のおっさんだよ。むしろあの人は前から危ないし俺も危ない目に……」

言うとまずいのを思い出してヘリックスは話を変えた。

「ていうか、そういうのは周りの帝国人がどうにかしたらいいんじゃないの?」


「そ、それは無理なんですよ! その、危ないっていうのは……転移者を集めて……」

どんどん声が小さくなり集中しないと聞こえない声で言う。

「反乱めいたことを始めたんで……」


それを聞いて皆が黙る。周りも静かになる。


「ちょい待て! 危ないなんてもんじゃないだろ! どうすんだよそれ!」


「だから、止めるのを助けてくださいって言ってるんでしょう! ばか!」


「ぐええ」


サピは言った勢いのままヘリックスの首を掴んだ。当然息ができなくなる。

だがエルテはそんなことよりも詳細が気になった。


「で、どこにいるのかは分かっているの?」


「あ、はい、まあ。帝都より西の街にいるのは確かです。最近まで一緒にいましたので」


「え、サピなんでヘリックスの首絞めてんの? それでなんでエルテはスルーしてんの?」


首が締まって意識を失いかけているヘリックスと、それを見て困惑しているローダー。そんなことは歯牙にも掛けず会話を続けるエルテとサピ。


「じゃあとにかく、その最後にいた街に行きましょ。といっても私たちで役に立つかは分からないけど」


「は、はい! ありがとうございます!」


「いや、待って。え?」


◆◆◆◆◆◆◆◆


そしてやってきました帝国の最西端の街ナナット。サピちゃんが言うには1週間前まではここにいたらしい。

冒険者っぽい人々がうろついているだけで、特に言うことのない普通の街ですな。


で、どこに行ったら情報が見つかるんだろうか。反乱軍の情報なんて簡単に見つかるのか?


「アジトとか知ってるの?」


「いえ、ズタケ様と会う時は足のつかない他の場所で会っていたので……アジトの存在は知っていますが用事などないので場所は把握していないのです」


ちょっと辛口風味だけど深追いはしないでおこう。


「ん? なんだこれ」


突然ローダーが壁を見て言う。そこには張り紙があった。


『仲間募集! みんな明るい職場です! 未経験者・転移者の人歓迎! お気軽にお問合せ下さい』


「あ! これ! きっとズタケ様が出している革命軍メンバー募集ですよ!」


「えぇ……」


こんな求人広告みたいな反乱軍の募集があるかい。


「とりあえずこの書いてあるところに行けばいいわね。そしたらズタケがどこにいるかも分かるでしょう」


場所はこの街の商店街の裏にあるようだ。サピちゃんに案内され難なく着いた。

普通の店みたいなドアをくぐると普通のお兄さんがお出迎えしてくれた。


「やあやあいらっしゃい。入団希望者かな?」


「え? 本当に反……革命軍なの?」


「そうだぞ。入団試験とかしたほうがいいか?」


なんて爽やかに言い奥へ進むように促される。

大丈夫かこれ。


怪しみつつも奥へ向かう。


「なんか反乱軍っぽくないわね」


「だよな……。実は『革命軍』って名前の酒場とかじゃないよな?」


それで従業員募集とか? かなり前衛的だけどありえなくもない、かな。

そういえば帝国には変な名前の軍団がいたよなぁ。なんだったかなぁ。と思いながら奥の大部屋にたどり着く。


「むわははははは! 我々、暁の夜明け団こそが真にこの世界の支配者に相応しいのだー!!」


部屋には叫ぶおっさんとやいのやいの言うおっさん達がひしめきあっていた。


「え、なにこれ」


温度差がすごい。


「あまり気にしないでくれ。じゃあこの名簿にサインを……」


「いやいや! なにいきなり怪しい契約書にサインさせようとしてるんだよ! 悪徳商法かよ!」


アンケートとか言って喫茶店連れていかれてツボ売りつけるやつだこれ!

全力で拒否だ拒否!


といっても誰もサインなどしようとしていなかったので安心。

代わりにサピが前へと出る。


「革命軍に参加するつもりはありません。用事はただ一つ。指導者のズタケ様がどこにいるのか教えて下さい」


言葉遣いは丁寧に、右手にナイフを持ってサピは言った。

突然の凶行にローダーが慌てて止めに入った。


「ちょ、おい、サピ、暴力は止めろよ」


「そうですよ。そのようにせずとも人にお願いをするときはそれ相応の態度で行えば返ってくるのですよ。ですから落ち着いて下さいお願いします」


胸倉を掴まれナイフを頬に当てられた案内人は、丁寧な口調で全力で懇願をした。

しかしサピはペースを変えなかった。


「まずは左耳を落としましょうか」


「リーダーはスルネインの小川に挟まれた塔にいます」


吐くの早。


聞いたサピはすぐに案内人を突き飛ばした。

案内人は涙目になっていた。騒いでいたおっさんたちは縮こまっていた。

本当に反乱できるのこの人たち。


「手遅れになる前にズタケ様に会わなければいけないのです。のんびりしている暇はありません。みなさん早く行きますよ!」


言うなり飛び出すサピ。


うわぁ。これは前途多難だぁ。

果たして俺たちに反乱とサピちゃんを止めることは出来るのか。


次回投稿は10/25(日)です。

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