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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第一章 共和国編
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9.野生生物の体当たり

「今日も荷物持ちして」


ゴブリン退治後、ギルドの二階を借りて翌朝、またエルテがいて話しかけられた。


「うーん」


怖かったしちょっと嫌だなぁ。

前回の報酬は50シルバー渡されました。相場が分からないけど少なくはないかな。


「報酬は三分の一でいい? 半分はさすがに多い気がするし」


けっこう優しくて笑える。もちろん快諾したさ。

多分やり手の人なら交渉するんだろうな。あ、やり手ならそもそも荷物持ちとかしないか。


◆◆◆◆◆◆◆◆


そして一週間が過ぎた。


いや、時過ぎやろ。何流してんねん。

実は結局ずっと毎日荷物持ちしてるんだよ。断ってないのは俺だけど。割と楽だし。

ゴブリン狩ったりゴブリン狩ったりゴブリン狩ったり。

それで一週間だよ。何やってんだよ。


お金は貯まりましたよ。今263シルバー。貯まったんだよこれでも。

毎日一食だけモッソモソのパンを買って食べてるのにお金全然貯まらないよこれ。飲み物は井戸水。極貧街道まっしぐら。

エルテも毎日二階にいるし一緒に貧乏なのは間違いないね。


「今日も荷物持ちして」


そしてこれである。


「ちょっと待って。稼ぎが少なすぎてやばくない?」


実際やばい。このままではギルドも追い出されて大都会野宿である。


「たしかに」


「だからもっと大量に稼げる仕事したほうがいいと思う。いっつも手に入るもの少ないし安いし」


「そうね……。じゃあ今日は魔獣狩りましょう」


「え、なにそれ」


エルテの説明によると、魔物のうち動物に近いものが魔獣らしい。人に害をなすかどうかで魔獣か動物か決まるとか。

じゃあ俺を見事に襲ってきた狼は魔獣ってこと? びっくりしちゃった暴れ馬も魔獣になっちゃうの?


定義を気にしてあれこれ聞いてみる。


「あんまり気にしなくていいと思う」


ガバガバやん。まあいいか。


「そこでね」


なんだか嫌な予感。


「ヘリックスも道具使って狩りに参加して。動物ならいけるでしょ」


いけません。

いや、何の動物か聞いてからにしよう。ウサギなら行けるかもしれない。


「何狩るの?」


「シカ。角と毛皮が売れるし、肉は自分たちで食べてもいいし」


「ファンタジーのシカって角が刀だったりするんじゃないの?」


「空想って? とにかく角が鉄で出来てるアイアンスタッグを狩る予定」


機械翻訳みたいに会話が若干ズレている感があるが、とりあえず普通のシカじゃないのは分かった。


「で、具体的にどうする?」


「ロープと石を使う」


「大体わかった。ロープ買うか」


「お金ないから現地でツタねじって作るのよ」


「まじすか」


エコロジー。もしくはケチ。

しかし背に腹はかえられぬ。

子供のころにしめ縄作ったことあるしなんとかなるか。


シカは依頼にあるわけじゃなく、狩ってきて素材受付に渡したら良いらしい。

じゃあさっさと出るか。


「お、エルテ、アイアンスタッグ狩るのか。俺も参加させろい」


誰か急に話しかけてきたー! フード付きローブ着てて超怪しい。


「久しぶりねローダー。報酬は2割でいい?」


「一頭につき後ろ脚二本でいいぞ」


「それ一番いいところでしょ!」


なんかいちゃいちゃしてる。知らない人が急に増えるとか怖い。


「時間勿体ないから早速行くぞ!」


なんか仕切りだしたし。怖い。


◆◆◆◆◆◆◆◆


「ローダーは魔法使いだからヘリックスは何もしなくて良くなったね」


現地についてから明かされる真実。戦力外告知。

なんということだ。この世界に来てから何もできてない。


暇だからツタでロープ作るよ。後々役に立つかもしれないし。


ローダーこと魔法使いは水属性の魔法が得意らしい。水属性とかいうから回復とかするのかと思ったら、がっつり水圧で切断とか氷で刺し殺したりとか出来るんだって。恐ろしすぎる。


「ヘリックスって言ったっけ? 武器持ってないけどレンジャーか何か?」


「無職です」


「あっ、……うん」


丁度いい感じのツタを見つけたぞ。あ、こっちのは薬草だ。ギルドに置いてあった『初心者も安心! 植物ガイド』に書いてあったやつだ。持って帰って納品しよう。


「ヘリックスは置いておいてシカを探しましょう」


「そうだな……」


声が離れていく。うーん、このボッチ感。

まあ、いいんだ。待ってる間に薬草やら食材やら集めて、シカが狩られたら荷物包んで運ぶのが役割だから。大丈夫大丈夫。


いい感じのツタを3本合わせてねじねじ。あれ、こうだっけ? すっげぇねじくれてる気がする。

まあいいか。人生妥協も必要。


ん?


例のごとく茂みがガサガサしてるよ。狼かな?

いや、昼間に狼はいない! でもちょっと怖いからじんわり広いほうに移動しよう。


が、その時!


茂みから何か飛び出してきた!

うわぁ!

こっちに来てる! なに!? え?

シカだ! 角がなんか反射してる! あ、鉄だ。

なんでこっちに来てるんだよ! これ直撃コースだろ!


シカは頭を下げて走ってきて、俺に衝突。え、ちょっと待って。


角が心臓に刺さってるやんけえええええええ! ぎゃああああああああ!

かーらーの、ぶん投げ。天高く舞う俺。わあああああああああ!


なんで? シカ草食だよね? なんで殺しにかかってるの? しかも投げ捨てるの?

落ちるうううううぅぅぅぅぅぅぅぅ……。


7話ぶり。4度目。

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