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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第四章 陰謀編
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89.シカ肉の謎

◆◆◆◆◆◆◆◆


全てが終わった翌日。


暗殺の意味は無くなった。

もはやロロクは安全だし、バルステズたちがケリンを警戒してるからケリンはこの国を出るとバルステズは言いきった。

それを聞いてロロクは納得していたけど本当かしら。

未来見ちゃえるから本当かしら。


そしてロロクたちはドゥマへと帰った。バルステズは檻に帰ったってのが正しいのか?

といっても保釈できちゃうぐらいだし死刑では無いんだろうな。いずれ娑婆に出てくるのかな。もしくは懲役100年くらいだとしてもエルフなら長命だろうし何ともないのかな。なんだか恐ろしいですわ 。


ともあれ事件が解決してよかった。

だがあんなにも苦労をしたのに得たものなど何一つ無いのだ。

それどころか全員そろって衛兵たちにこっぴどく叱られたし。


と、いうわけで今日も今日とてギルドへ向かう。


すると普段は冷静な受付の人が興奮していた。


「あ、お三方! シカの毒抜き方法が分かりましたよ!! 土と水のマナが悪さをしていたので香草で中和して煮込み料理にすると毒が無くなるって錬金術師に方が加工したのをくれましたよ!!!!」


「いや急にそんなハイテンションで言われても」


肉を買い渋った時との落差にビビるわ。


「あー、その方法俺の兄貴が見つけたやつだろ。昨日伝書が来てたけど詳細無かったんだよな」


「え? お前の兄貴、錬金じつしなの?」


「魔導院の研究者だけど錬金術もかじってんだよ」


噛んだことはスルーして答えてくれた。魔導院ってのがいまいち分からん。


「で、水と土のマナが悪いってことは、それらのマナの適性が強ければ耐えれるわけだ。それで料理長は普通に買ったのか。料理長は味見せずに買い付けたりしないから、ちょっと気になってたんだ。うちの家族も勤め人も全員水のマナ適性があるし、食べても大丈夫だったってわけだな」


「無事だったり血反吐吐いたりする人の差はそういうことだったのね。私は食べたら危なかったわね」


「え、どういうこと?」


全然分からん。


ま、いいか。

よく分からんがお肉の件も解決したってことだな。これからは新種の肉は食えるし売れる。これで金稼ぐか。


と、意気揚々としたのも束の間。


「でも結局未加工だと私とヘリックスは食べられないってことよね。処理するのも手間掛かっちゃうし」


「ああ。それに手間かかる分、売っても安いだろうな。前よりは多少高く売れるだろうが」


がーんだな。普通の肉食えってことですか。


「でもいいじゃないか。色々解決した祝いに今日は豪勢に行こうぜ!」


などと急にローダーがテンション上げてきたので疑問をぶつける。


「って、贅沢する金あるんか?」


ローダーはニヒルに笑いつつ返した。


「そういえば馬車代で使ってすっかり無いぜ」


やっぱり。

親が金持ちなんだから貰えばいいじゃんと思うのだが、もらうにしても連絡してから送金までに数日かかるらしい。元居た世界みたいに即時入金とか出来ないんだ。つらいです。


「じゃあお祝いどうするの?」


「仕方が無いから自家製干し肉を食べるのだ」


いつものご飯じゃん。

と突っ込みつつ、みんなで席につく。


ギルドの喧噪を横目に肉を一枚ずつ持ち乾杯。かじれば固い。


ところでよう、とローダーが言い出す。


「ケリンが最後に言ってたことったなんだったんだろうな」


なんだっけ。

たしか世界がどうとか。

これはきっとあれだな。


「意味深なこと言ったら格好良いと思ったんだろうなぁ。いい歳なのに」


やれやれだよ。


「あんたのほうが何言ってるか全く分からないから」


色々あったなぁ。これからどうしようかなぁ。金持ち計画どころか元レベルに貧乏になったしなぁ。


考えながらカチカチの肉を食べ終わるころには顎が痛くなっていた。

炙ってから食べるべきだよね。


食べ終わってからちょっと顎を休める。みんな顎が痛いのか黙っていた。

少し待って俺が治っても、まだみんな黙ってる。もうー。

ここは俺様の会話力で場をつなげよう。


「それにしてもさー、ロロクってさー、なんか能力に頼っちゃってさー、ほんとにさー、頼りないよなー、俺を見習えって感じだよなー」


「いやいや、お前が一番能力に頼りまくってるじゃないか」


「いやいやいやいや、全然頼ってないぞ。運が悪い結果、能力が発動してるだけで」


不可抗力ですよ。不可抗力。


「でも本当に死に過ぎじゃない? どうせ見てないところでも死んでるんでしょ?」


人聞きの悪い。それじゃあまるで俺がカゲロウよりも儚い存在みたいじゃないか。


…………うん。


再び無言になっていると、急に受付の人が包んだ何かを持ってきた。


「みなさん、これをどうぞ。組合からのお祝いだと思ってください」


何のお祝い?

包みを開けるとそこにあったのは。


「燻製肉じゃん」


「これが新種のシカを加工したものですよ。誰でも食べられるし美味しいです!! みんなに知ってもらいたいんですよ!!!!」


かつてないほどのテンション上昇を発揮してきた。そんなに嬉しいのか。


「ヘリックス、一応毒見してよ」


「えっ」


「そうだな。俺は平気だけど一応な」


「えっ、今シカを食べたところなのにまたシカ食べんといかんの?」


「そこなの?」


まあいいや。美味しいとかメッチャ押してくるし違うシカだからサンマとイワシくらい味が違うかもしれない。


というわけで実食。

干し肉よりは柔らかいな。ふむふむ。


「どう?」


「えっとねー、燻製だと匂いで味が分かりにくいじゃん? だからこのシカの味は分かりにくいとみせかけてからの染み出てくる美味さ。美味い」


「そう、良かったわね」


なんか塩対応。


もうお腹いっぱいだし千切って残りは包みに戻そう。

ごそごそ戻して包み終わったのに2人とも何も言わない。


「えーと、黙っててどうしたん?」


「あ、いや、いつ死ぬかなーって見てたんだけど」


「毒抜きしてるんだから死ぬわけないだろ!」


「でもみんなが死なないところで死ぬのがあんただし」


「そうだよなぁ。というわけで俺らも食べてみるか」


「いただきまーす」


そうして俺が包んで片付けたのに開いて食べだす2人。

なにこれ。


結局完食されてしまった。


「お前全部食うなよおい。どうすんだおい。お前肉取りに行くぞそれで兄貴に加工してもらって儲けようぜ」


「いや俺の兄貴は忙しいからそんなのしないっていうか急にせこいこと思いついたなお前」


天才やろ。


「お兄さんじゃなくても加工できる人いるんでしょうからそっちを探しましょうよ」


「流石エルテ! よし! 探すぞ!!」


◆◆◆◆◆◆◆◆


そして見つかることは無かった。

俺たちは生肉を売るだけで生活費を稼ぐことになった。


次回は10/11(日)に投稿します。

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