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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第四章 陰謀編
88/113

88.解決とは一体

シャングローに馬車で帰ってきた。

マジできつい。ケツがきつい。日に2回も乗るもんじゃないよ。値段も高いし。

まあローダーが出してくれたからいいんだけど。5人分だから超大金だよ。金持ってんなー。


ところでロロクがどこにいるのやら全然分からん。

なので例のごとくギルドへと向かうのであった。


「ギルド長のロロク知らない!?」


「どうしたんだい急に。所長なら支部長と会談中だけど」


「緊急だから! マジで! ヤバすぎるから! 命に係わる!」


「え、ちょ、まって」


丁度いたのはラッキーだけど、許可を取っている暇は無いので受付は無視して面会に使ってそうな部屋に全員で突撃する。

そして入るなり挨拶も抜きに叫ぶ。


「うおいギルド長! あんた狙われとるで!」


「な、なんなんだ急に。状況が全く飲み込めないのだが……」


ロロクはもちろん横にいる支部長(初対面)も面食らっている。

分かってないみたいなので暗殺者のケリンに狙われていることを教えてあげる。


「な、なんで私が……? 酷い……頑張ってるのに……」


急に壁に手をついてぶつぶつ言いだしたぞ。おいおい。

横にいる支部長(名前知らない)も、ちょっと呆れている。


「なあこれどうするよ」


「どうもこうも……励ます?」


「いよっ、大将! あんたが一番! エルフの中のエルフ!」


「意味が分からん……」


全然治らなかった。というかこれで好転した試しがないな。

じゃあどうするんだと困っていたら突然クローゼットが開いて中から人が出てきた!


「大体分かった。それで私が必要になるわけだ」


みんなびっくりした!

支部長おっさんも一緒になってビックリしている。


「ていうかバルステズじゃん! 脱走しとるじゃん! どうなってんだ!?」


「別に逃げたわけではない。ロロクが正式に私を保釈させた。理由は事件関連だと予想していたがまさか狙われているとはね」


と言いつつちゃっかり席に着いた。俺らは立ってるのに。


「保釈とか、かなり理由つけないと難しくない?」


「私が未来を見たから3日間限定で出させてくれと言ったら簡単に出してくれたよ」


ちょっと立ち直ったらしいロロクが言う。

そんな嘘ついちゃって、後で怒られるんじゃないかな。それも上手いこと言うのかな?


「それよりもケリンに狙われているなら反って好都合だろう。あいつの考えることは分かる。まだシャングローにいて準備をしているだろうし、勿論お前がこの街に入ったことも知っているだろう」


「なんでそこまで分かるんすか」


「前に言っただろー。あたしらには情報網があるんだよ」


なぜか幼女が胸を張っていた。その横でもっさんは渋い顔をしている。


「で、お前はどうするのが最適だと思うんだ?」


「えーと……君の提案を聞く」


また能力に頼っているのかとバルステズが呆れながらも続けた。


「いいか、まずはこうやって……」


ぼそぼそと耳打ちをするとロロクは頷いた。


「む、それなら成功するみたいだ……ちょっと怖いけどやってみようかな」


俺たちと支部長(空気)は顔を見合わせた。


◆◆◆◆◆◆◆◆


その夜。

雲が出て月は半分。薄暗い道をロロクが一人、メモを持って歩いている。


「で、こうしたら次は衛兵に……」


ぶつぶつ言いながら歩いているさまは非常に怪しかったが、辺りには人自体がいないので何も問題は無かった。


だがロロクは気付いていない。斜め後方にケリンがいることを。


ケリンがロロクを見つけたのは本当に偶然だった。ロロクがシャングローにいるという情報は得ていたが、まさか夜に一人で歩いているなどとは思っていなかった。


(予定とは違うがここでやってもいいか。だがあいつは未来が見れるはず。迂闊に一人で出歩くだろうか?)


ロロクの周囲を確認するが人気は無い。


(罠? だとすれば一体誰が?)


警戒しながらもロロクを追いかける。

100メートルほど尾行をするが、独り言を言っていること以外異常なことはない。

もし罠なら衛兵や手練れの転移者がいるだろう。だがその気配もない。


(40メートル後方に労働者が3人……歩き方から素人……無関係だな。前方300メートルにわずかに人の気配があるがまだ分からん)


暗殺する場合、誰かに殺されたと分かる方が良い。もちろん捕まっては本末転倒なので、距離感が大事だ。

今ならば労働者にだけ犯行が目撃されつつ逃げることが可能だ。


やるなら今、か。


そう算段をし、回り込んでロロクの目の前に飛び出す。


「うわぁ! え?」


「労働者組合所長のロロクだな。覚悟しろ」


「え、まさか、うわぁ!!」


あまりの情けなさに呆れたが、行動は止めない。

この世界に来てから身に着けた能力ーー亜空間よりハンドガンを取り出し心臓を狙う。


が。


突然右側から衝撃を受け大きく姿勢を崩してしまった。


何が起こったのか、急いで姿勢を整えつつ確認する。

右手に人影が一瞬見えたが隠れた。

ロロクの後方からは3人組が走ってくる。


「うわぁ痛そう」


のんきに労働者が言っている。

ともあれ事態を把握しきれなくとも失敗したのならすぐに去るべきだ。

すぐさま左手に走りかけると目の前に大きな身体で行く手を阻まれる。


知っている人間だ。


「さあ観念するんだな」


「……モーリス」


「あっちにはトギウもいるぞ。囲んでいるからな」


近くに気配など無かったが、それは普通の人間ならの話。元同業者なら気配を消すなど容易いことだった。

ともすれば先ほどの一撃はバルステズか?


ちらとロロクの方を見ると労働者3人に囲まれていた。

その中でロロクがあぁー助かったなどと世界で一番情けない声を出していた。


「ん? お前は……依頼してきた」


「おう! 逆恨みで殺そうとしないでくれよな! ちょっと痛いから。あと出来たら手付金返して欲し」


「つまりロロクを手にかけても何も得られないということだ。いまなら殺人罪は1人分だから軽め罰で済む。最悪でも縛り首だろう。さあ出頭するんだな」


「なるほど。一理ある」


とあっさりケリンが観念したかと思えばそのまま引き金を引いた。


「弾性の盾」


だがいつの間にかロロクの前にいたバルステズが言うと、目の前に歪んだ空間が現れ、それに弾丸が当たれば速度を失い真下へと落ちた。


それを見て驚いたのはヘリックスだ。


「なんだそれ」


「魔法だよ。エルフだからな。魔法を知らないのか?」


なるほど魔法か。どの世界でもエルフは魔法使えて当たり前なのね。

ヘリックスは非常に納得するも同時に疑問が湧いて出た。


「ん? ロロクもエルフだよな? 魔法使わないの?」


「………………………………」


なぞの沈黙。

もしかして下手なの?

そっとしておいて話題を変えてあげよう。


「ほらロロクさんよ。捕まえるための最善の手を教えてよ」


「え! ……えーと、ちょと待……」


「おい、能力なんかよりさっさと行動しなければ」


「待たねぇよ」


ケリンはヤモリのようにするすると壁を登り屋根へ退避した。


「あー! 逃げんな!」


「せいぜい足掻け。お前達がどうしようと世界は変わる」


「なんだそりゃ」


「すぐに分かる」


捨て台詞と共に屋根を伝って逃げて行った。

バルステズはそれを追いかける様子もなくただ眺めていた。


「あれは追いつけんな。流石は元弟子」


「あんたねぇ……みすみす逃がしてんじゃない! どうすんのよ!」


「まあ責任はロロクが取るということで」


「なにゆえっ!?」


次回は9/27(日)投稿します。

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