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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第四章 陰謀編
86/113

86.犯人を捜せ

シャングローに帰ってきた俺たちは、直行で使用人のいる場所へと向かった。場所は調べたらすぐに分かった。ただの集合住宅の一室だ。


ドアを叩いて出てきた人は妙齢の女性だ。


「なんなんですかあなたたち! なんなんですかあなたたち!」


「ちょっと落ち着いて」


「なんなんですかあなたたち!」


「3回も言ったぞ!」


「それがなんなのよ」


エルテが突っ込むと、そうよそうよと使用人の女性も同調する。


「何回言ったっていいじゃない! じゃなくて、何のために来たんですかあなたたちは!」


「少しは落ち着いてくれないか。まあ今から言うことを聞けばもっと焦るかもしれないけど」


「な、なんだっていうんですか」


ふーとローダーは息を吐いてから言い始めた。


「新市長の対抗馬だった……名前は……まあいいか……、ともかくそいつの暗殺依頼を出したのはあんただろ? 裏は取れてるんだぜ」


「なななんですって!」


聞いた途端焦ってドアを閉じようとしたが、エルテが目ざとく脚で押さえた。


「ちょ、離しなさいよ! せっかく大枚をはたいてあのウゼェ親父をあの世送りにしたってのに捕まったら割に合わないじゃない!」


慌てるあまり自白してるじゃん。


「いくらウザいからって殺しちゃダメでしょ」


「セクハラ爺だったのよアレは!」


またか。政治家のセクシャル多くない? ちょっと可哀想。


「なんか情状酌量の余地がありそうな感じするなぁ。どうする?」


「でもそれを決めるのは私たちじゃないし。とりあえず衛兵のところへ行きましょうか」


「なんでよー! 嫌よー!」


エルテがドアを抑えたまま腕をつかんで引きずり出した。怪力や。

引っ張って歩きながらエルテは尋問を始めた。


「ところで暗殺者組合は解散してるでしょ。どこの誰に依頼したっていうの」


「もしかして言ったら逃がしてくれる? なんか髪は明るいのに性格は暗い人だよ! あとなんか鼻と背が高い! 酒場でいかにもって感じだから話しかけたのよ!」


「名前聞いてないの?」


「名前なんて聞かないし、こっちだって教えたりしないものでしょ!」


名前が不明でも思い当たる節はあった。


「それ多分、転移者のケリンだな」


おそらく元暗殺者ギルドのケリンだろう。ブロンドで鼻が高くて無口だし。あいつだけ所在不明だし確定だろこれ。


「まあいいわ」


「ちょっと教えたんだから逃がしてよー!」


◆◆◆◆◆◆◆◆


とっとと使用人を衛兵に突き出てから、今度はケリンのアパートに向かう。以前に行ったことがあるから場所は分かるけど、今も住んでいるとは思えない。しかし手掛かりがあるかもしれない。


そうしてアパートの部屋の前にたどり着いたはいいものの、人気は無く扉には看板が吊り下げられていた。


『空室 入居者募集! 連絡先○○不動産』


「やっぱりいないじゃん」


「不動産は行先なんて知らないわよね。どうしよっか」


仕方がない、とローダーがつぶやいてから言う。


「組合に行こう」


◆◆◆◆◆◆◆◆


「だーかーらー! 捜索依頼を出したいんだよ! 特徴は金髪おフランスな銃使いの暗殺者! ギルド員も依頼出していいんだろ?」


「それはいいんですけど金髪おフランスな銃使いというのがよく分からないんですが」


ヘリックスと男性の受付があーだこーだ言っているのをエルテは一瞥してから部屋をぐるりと見まわした。シャングローの労働者組合はドゥマよりも広く派手で人の出入りも多い。慣れた場所ではあるが知らない人も見かける。


「言葉で伝わらないなら似顔絵でも描いたらどうだよ。お前、絵描けるか?」


「描けないよ。言い出しっぺなんだしお前は描けるんだよな?」


「いや……自信無い」


「じゃあなんで言ったんだよ」


まあまあ2人ともと受付の男性がなだめて、木の板と木炭を取り出した。


「ともかく描いてみたらどうですか? これならやり直しもききますし」


そこまで言うならとヘリックスは試しに描いてみる。が、線はガタガタで人間と判断するのも際どい出来になった。


「こ、これは……」


「いや、俺も人のこと言えないからあれだけど……うん」


神妙な顔つきになったあと布巾で擦って消す。

気を取り直してもう一度描く。が、やっぱり悲惨な出来になり沈黙した。


棚に収まった本のタイトルをすべて眺め終わり、いい加減待つのに飽きたエルテが思いついたことを言い始めた。


「ねえ、思ったんだけど」


「うん? お腹でもすいたの?」


「なんでよ。……あのね、要は、暗殺者を見つけたらいいんでしょ?」


「そうだよ。で、探す方法で困ってんじゃん」


「さっきの女が酒場で見つけたって言ったんだから、手分けして酒場に張り込むのが良いんじゃないの」


おお、とヘリックスとローダーが感嘆するが、すぐに問題点に気づいた。


「あ、でもそれじゃあ見つけてもすぐ逃げられるんじゃないか? どうやって怪しまれずに話しかけるんだ?」


「そんなの暗殺依頼出しちゃえばいいじゃない」



静寂。



「うおおおおおおおおおおい!? 流石にそれはまずいだろ!!」


「じゃあ他に何か思いつく? 手遅れになる前に出来ることやった方が良くない?」


うーむ。そうはいっても、そういう犯罪的なことはしたくない……。


「無いな。じゃあそうするか」


ローダーまで便乗した。これは止められん。

仕方ないから失敗しないように計画を立てよう。


「で、誰を標的にするって言うんだ?」


「じゃあロロクで」


「うわ。エルテいくらなんでもそれは」


「いいんじゃねぇか?」


「ええ!? お前まで賛成すんの!?」


ローダーはちっちと指を振った。


「甘いな。あいつは未来が見えるんだからとりあえず死ぬことは無いだろ? つまり適任ってわけさ」


「はあ。それにしたってギルドの真ん中で言っちゃうのは……」


「別にロロクじゃなくてあんたでもいいけど、誰も狙う理由が無いからおかしいものね」


「えっ」


また酷いこと言われた気がする。けど慣れっこだよ。


ところでみんなに聞かれてるけど怒られないか心配ですわよ。どうなんでしょうか。

ちらと受付の男性を見ると細目になっている。


「あー……まあ、うん、えーと。捕まえるために何かするんだね? 詳細は聞いてないから頑張ってね。聞いてないからね」


絶対聞いてるけど聞いてなかったことにするやつだ。

だけど、事が済む前に捕まえちゃえば万事オーケーなので良いということにしておこう。


一応捜索依頼ーー特徴は金髪青目で暗い感じの人にしたーーも出しておいて、変装をしてから酒場へ張り込むこととなった。


次回投稿は8/23(土)にします。

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