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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第三章 王国編
76/113

76.平行世界ってやつ?

夜に西門に集合とか言ってたけど、夜って何時だよ。

分からないから日が落ちたころに西門に向かうと、ミラージュさんとあつしさんがいた。サニルタさんはいない。現地集合かな?


「遅いから呼びに行こうかと思っていたところだったよ。丁度良かったな。じゃあ行こうか!」


時間決めてなかったですやんか。

まあともかく出発だ。門をくぐりそのまま西へと向かうようだ。


「どこに行くんですか?」


「魔族領だぞ。そこが儀式に都合がいいらしい。あ、これはサニルタが言っていたんで私にはよく分からんけどな」


へぇ。

魔族領ってどんなところなんだろ。というか今から出て今晩中に着くのか?

超人的スピードで向かうのかな。


が、そんなこともなく普通に徒歩だ。

あつしさんが以前のようにランプを掲げ歩く。

ちょっと進んだところで気になったので聞く。


「そういえばあつしさん、出て行って大丈夫なの? ていうかよく出れましたな」


「あー、実のところ、黙って抜けだしてきた」


マジかい。


「そりゃぁ、素直に言って帰らせてくれるわけないもんなぁ。当たり前だよな」


「まあ、うん。ちょっと気がかりだけど」


ちょっとどころじゃないけど大丈夫か。


「この世界のことは私たちに任せとけば大丈夫だから、あつしさんは気にしないでいいわよ」


「そう言ってくれると助かるよ」


「え、だれが魔物を倒すって?」


俺は嫌ですぞ。


「あんたは黙ってなさいよ!」


延髄をチョップされた。気絶しかけただろうが!

まあまあとミラージュさんが手をパタパタしながら言う。


「心配も分かるが君らには迷惑を掛けんようにするから安心しなさいな」


「なんかしてくれてるの?」


「ちゃんと手は打ってるよ」


「マジで。そんな良い手があるんですかえ?」


「まあ詳細は秘密ってことで」


なんだろうな。知り合いはいないとか言ってたのにな。気になる。

だが続きは言ってくれなかった。


そのままみんなで林の中を歩く。前に言った滅んだ村とは別の道のようだ。

時折遠くから鳥だかカエルだかの鳴き声がグァッと響きびっくりする。

それ以外には特に何もない。


儀式ってなにするんだろうな。サニルタさんが準備してるのかな。他の魔族とかもいたりして。

そんで最終的には、あつしさんとミラージュさんはいなくなっちゃうんだよな。


うーむ。


せっかくだし色々聞いときたいな。


「そういえば、2人は元の世界からの知り合いだったんすよね? どんな関係だったんすか?」


あーそれねーとミラージュさんはつぶやいてから言う。


「まあ、きっかけは怪人騒ぎだな。急に世界中に怪人が現れてな」


「なにその愉快な状況!?」


「んで、こいつは世界中に現れた怪人を倒して回るヒーローだったんだよ」


マジでヒーローだったんかい。あつしさんマジヒーロー。

そんな楽しい世界いいですね。俺もスーパーパワーでヒーローしたい。


「そのヒーロー活動してるときに知り合ったってわけだ」


「ミラージュは退治される側だったの?」


「んなわけあるかい! 私も倒す側だよ!」


エルテがすかさず聞けばミラージュさんはすかさず反論。

元の世界で魔王だったわけじゃないんだからナチュラルに失礼ね。


「戦ったのは僕だけじゃない。ミラージュと魔女っ子も一緒に戦ってくれたから事件は解決したんだよ。あの時は本当大変だったね」


「何それ魔女っ子って気になる」


「今は昔の話さ」


いや魔女っ子が気になる詳しく教えろ気になる。

だがエルテはあんまり気にしてない。魔女っ子には興味が無いのかな。この世界は魔法が普通にあるし興味ないのかな。

でも魔女っ子……。


「ようするにミラージュとあつしがいた世界も魔物だらけだったってことでしょ? じゃあ別にここと大差ないわね。じゃあ、あんたがいた世界はどうだったんの?」


ええ? 大差はありまくりな気がするし、俺の世界こそ普通だしな。話す意味あるかな。


「僕たちも気になるから教えて」


あつしさんまで興味持ちだした。

本気で何もないのになぁ。


「えー、でも別に何もなー、特に普通っすよ。科学技術があって、魔物とかはいなくて、紛争と経済戦争と怠惰と飽食と宇宙開発とハイパーカミオカンデだよ」


「そっか、普通だな」


「私にはよく分かんないんだけど……」


やっぱり俺の世界は普通じゃないか。やれやれ。

魔女っ子がいる世界のほうが楽しそうだよな。ずるいな。

この世界には魔女っ子いないのかな。


と、ミラージュさんが思い出したように言う。


「でも前に苗字じゃなくて世帯番号とか言ってた気がするけど……どういうことだ?」


ありゃ。そういや言ったときによく分かってなかったね。


「そんなに不思議っすかね。番号で個人を管理しているだけでむしろ便利だと思いますけど」


「番号で管理とかこわ」


そうかな?


「帳簿の管理が大変そうね」


あー、エルテにはデジタルの概念が無いから説明しにくいなぁ。


「まあ俺たちの世界なら管理は簡単なんだよ。過去も、世界の裏側も、すぐに調べる方法があるから」


「そうなの? そんな方法がこの世界にもあれば勇者のことも簡単に分かったかもしれないわね」


エルテの目指す勇者は哲学的な問題だから調べたら分かるもんでもない気もする。


「エルテはともかくインターネットは便利だし欲しいなぁ……」


仕組み知らないし、というかその前に電気を普及させないといけないっていうのがね。そしてその役目は他人にまかせた。


「この世界も、進歩し続けるんだからデジタル化するんじゃないか? 君は不死身だしそのうちお目に掛かれるだろうよ。転移者が多いし意外と早いかもしれないぞ」


何百年後何ですかね。さすがにあてにしないでおこう。


にしてもミラージュさんて儀式したら死ぬはずなのにそういうことを全く感じさせないくらい呑気に話してるな。

行ってみたら実はどっきりでした! なーんてオチだったりして。


そんなこんなで、のんびりゆるく会話しながら移動すること数時間。ついに目的地である元魔族領に着いた。


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