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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第二章 帝国編
58/113

58.時間つぶしの巻

翌日、疑問がわく。


「悪魔の血を持ってきてくれるとか言ってたけど、どこで待ってればいいんだろうね」


ほんとだよ。

スルーしちゃったけど、どうすればいいのよ。


とりあえず一番会えそうなギルドで、常に一人は待機しておいて、残り3人は依頼をこなすことにした。

まず残るのは、俺だ。

あれ?


「私たちが稼いでくるから待ってて」


見送って一人ギルドに残る。暇ですな。

食事は……ここは出ないんだったな。

ギルドの中をうろついてみると、依頼の板とは別の壁面に本棚が置いてある。そういえば共和国のギルドにも本があったなぁ。暇つぶしに読むとしますか。


ラインナップは、魔物について、帝国の歴史について、帝国の組織について、魔法について……。

なーんか乗り気になれんな。料理とか技術とかの本ないかなー。


あ、これは気になる。『世界の成り立ち考証 帝紀768年版』


『最古の記録は紀元前500年頃に王国の石に掘られた文字でーー』


そうですか。


『他の石碑には世界の膜について言及があり、転移者の能力はこのころからあることが確認される』


この世界の膜とかいうの、反復横跳びしたら能力付きまくりで無敵になれるんじゃね? どこにあるのかな。

ページをめくるが世界の膜の詳細は書いていない。ひどい。

でもよく考えたら、分かってたらみんな無敵になっとるわ。楽して無敵になれる方法ないのかしら。


「やあヘリックス君」


ええ?

顔を上げるとミラージュさんがいた。


「あれ? もう追いついてるのって何かおかしくない?」


「気にするな」


「いや気になる」


「気にするな」


なんかもういいか。


といわけで悪魔の血をもらう。瓶詰にしてくれている。時間が経ったら固まったりしないのかね。


「それにしても人のために義肢を作るとかエライねー」


「いや脅迫されて……とにかく知り合いだからですたい」


バラしたらバラされるから適当に言わなきゃ。バラされても生き返るけど、生き返ったそばからバラされそう。怖い。


悟られてないか確認すると、興味なさげな顔だった。


「王国に行ったら死者も生き返る奇跡の魔法とかあるらしいよ。本当かどうか知らないけど。機会があったら行ってみたらいいよ」


腕とかも生えるんかな? 怖い。


「じゃあ私はあいつを追いかけるからまたね」


また風のように去っていくミラージュさん。


見送って、暇になる。ので、みんなが帰ってくるまで本の続きを読んで暇をつぶす。


あれ? 用事終わったから俺も依頼したらいいじゃん。でも何か面倒臭いからやっぱり本読む。


お昼ご飯の時間にちょっと抜ける。今日は贅沢して肉のパイ包みだ。なのに肉より野菜が多いしパイ生地がなんか酸っぱく思ってた味と違ったせいで複雑な気分。まずくは無いしどちらかというとおいしい。


食べ終わったらまたギルドで本読む。あんまり収穫は無いなぁ。


「あんた読書が好きなの? 賢くないのに」


何その認識。

みながぞくぞくと帰ってきたので揃ったところで血をもらったことを言う。


「手に入ったのなら行きましょう。今すぐ研究所に行きましょう」


めっちゃ急かされるし。俺も早く終わらせたいけどもうすぐ日が暮れるよ。


「夕方に行っても人いないかもよ」


「いなかったら明日朝一行けばいいですよね。とにかく行きましょう」


わぁ強引。まあいいか。



ということで研究所へ4人で行く。今回はそのまま工学部へ。

部屋に入るなり依頼してきたクルスダがいた。


そして目に入る謎の機械類。前より増えてる。しかもなんか(うごめ)いている。


「なにこれ。まさか……前金で関係ないもの作ってたんじゃないだろうな!?」


「そ、そんなことはないぞ。ちゃんと理論の確認をしていたんだからな。完璧だったぞ」


はははと露骨に笑って誤魔化しながら言うが、だまされんぞ。

ローダーも気になるらしく詰問する。


「理論があるのになんで今まで作ってないんだよ。なんだかんだいって、金や物をせしめるつもりなんじゃないだろうな」


「なんだと!? 金や物をせしめるつもりだと何故わかった!?」


「いや分かるだろ。ていうか認めるのか」


「予算が降りなくて実証までこぎつけなかったんだ。だから俺たちは悪くない!!」


親指を立てつつ胸を張り開き直るクルスダ。逆にすごい。


「おもちゃ作ってるからお金なくなるんじゃないの」


「まあ、そんなことよりだな」

また露骨に話を逸らした。

「来たってことは金か物を集めたってことだな。どうなんだそのへん」


なんか付き合ってたら長そうだからいいや。ヒゲと悪魔の血を渡す。


「魔石は先に届いてるよな?」


「おお、そうそう。なんかダンスグループが来て代わりに受け取ってくれとか言うから何かと思ったぞ」


無事届いたようで良かった。じゃあ後は完成を待つだけか。


「そいで、物が出来たとして、どうやって付けるん?」


「そりゃ手術に決まっとるよ。まあ普通の医術と違って末端を丁寧に処理する必要はないからな。負担が無いように保護する部品と、あとはゴーレムとの通信の微調整をちょちょいっとしてバッチリよ」


血を見なくていいのか。楽ちんだね。


「それって結局、何人くらいが関わるんですか?」


「ふっ。天才の俺一人で十分だよお嬢さん」


「うわ」


「引かないでくれ……。まあ、製作にはこのチーム全員が必要でね。実装時には助手が2,3人欲しいところかな」


「手術のときは最低人数でしてくれませんか? 助手は私とヘリックスさんがしますので」


意地でも秘密にしたいのか、サピちゃんは食い下がる。


「いいぞ。じゃあお前ら二人が助手兼荷物持ちな」


いいのか。軽いな。助手に専門的な知識はいらないのかね。


「荷物持ちなら私たちがするわよ」


「いえいえ、お気持ちだけいただいておきます。ありがとうございます」


エルテがいたら楽だろうな。でもサピちゃんが許さんからなぁ。怖いなぁ。


「じゃあ1週間後にまた来てくれ。つくるから」


◆◆◆◆◆◆◆◆


というわけで義肢が完成するまでの1週間、ギルドの依頼をして過ごすことにした。


1日目。掃除。帝都の大通りを掃除する仕事だ。

2日目。掃除。帝都の図書館の周りを掃除する仕事だ。

3日目。掃除。帝都の商店街を掃除する仕事だ。

4日目。掃除。帝都の石橋を掃除する仕事だ。

5日目。掃除。帝都の銅像を掃除する仕事だ。

6日目。掃除。帝都の公園を掃除する仕事だ。


7日目の朝。やった仕事と収入を宿屋で確認する。


「お前もう清掃業者じゃん」


「定職見つかって良かったわね」


「よくねぇよ!」


俺は冒険したいんだ! 異世界といえば冒険!

だがともかく。


「今日が予定日なので行きましょう。エルテさんとローダーさんは待っててください」


「ヒマだから依頼するけど」


俺、この仕事が終わったら共和国でのんびり冒険をするんだ……。


よし行くぞ!

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