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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第二章 帝国編
56/113

56.竜とファイト

竜がこちらを見ているけど、サピちゃんが怯まず話し始める。


「義肢の材料として竜のヒゲを探しているんです」


竜はこちらが話しやすいように首を下げてくれた。もしくは聞こえにくかっただけかも。


「それは殊勝な。それなら協力してやってもいい」


「なに! 太っ腹じゃん」


「ただし! タダではやれん!」


なんだよ。勿体ぶって。


「なにが欲しいんだよ」


「我と勝負して勝てたならこの髭をくれてやってもよいぞ」


勝負?


「一体何で勝負するんだ?」


「知恵比べじゃ」


うわ。面倒くさいやつじゃん。

まあ戦闘じゃないだけましか。戦ったら絶対死ぬし。


「それでは答えよ。それはどこにでもあるが目に見えない。しかし生物が生きるには必ず必要なものだ。それは何か」


首を上げて高い位置からこちらを見下ろしてくる竜。

見上げないといけないから首痛い。頭下げてくれないかな。


とりあえず答えを考えなきゃね。


「そりゃ簡単だ。マナだ」


「え? 熱でしょ。寒いと死んじゃうし」


「空気じゃないんですか?」


「ん? いやみんな何言ってるの? 水でしょ」


「えーっと……素粒子かな?」


「そんなものは無い」


みんなが一通り答えた終わり視線で正解を求めると、竜はうむぅと唸って口を歪めた。


「みな正解じゃ。よくやったな!」


「なんだと! 正解が一つじゃないとか不適切問題じゃないか! 全員正解にしろ!」


「いや、じゃから全員正解なんじゃが……」


まったく、困ったもんです。


「まぁええわい。これが約束の抜けたヒゲじゃ」


そう言うと、後ろの岩陰へおもむろに前脚を突っ込み、白く長いヒゲを取り出した。太くて長いしまるでロープだ。


「抜けたって……生え変わるんかい! じゃあタダでくれよ!」


「生え変わるといっても年に一度だけじゃ。別に使い道があるわけではないが、タダでやるのは癪に障るのでな」


偏屈な。まあくれるしいいか。


「ん? ちょっと待てよ」

受け取ろうとするとローダーが文句を言う。

「くれるのは1本とは決めてなかったよな? 6人が正解したんだから6本くれよ」


「なんじゃと!?」


「年に一回抜けるって、一匹から2本抜けるってことだろ? 竜は爺さんだけじゃないんだろ? だったら6本くらいあるだろ」


「な、なんという屁理屈じゃ」


「知恵比べなんだろ」


「ぐわっ! なんという……なんと」


もごもご言っていたが、諦めたのかしぶしぶ追加で5本取り出した。合わせて6本、ローダーが受け取る。ひどいやつだ。

受け取ったヒゲはサピちゃんがカバンにしまう。そして続けて質問をする。


「あの、長生きで何でも知ってるんなら悪魔のことも知っているんですか?」


「おお、それなら……」


「おい何聞く気だよ。悪魔は魔族の一種だろ? 他に何があるんだ?」


青いのが突っ込むと、なぜか竜がむぅとつぶやく。どうしたんだろう。


「たしかに言う通り……悪魔は魔族の一種で……彼らは世界各地に散らばっておる」


エルテも気になるのか追い打ちする。


「もっと何か知らないの? どこにいるか、とか。どんな特性か、とか」


「いや……うむ……」


あ、これ知らないやつだ。


「やっぱ意味なかったな。まあ本来の目的のヒゲが手に入ったからいいか」


竜を放置してローダーが結論を出しサピちゃんとエルテも頷く。


竜爺はちょっと落ち込んでいた。別に何でも知ってるのが当たり前ってわけじゃないんだから気にしなくてもいいのに。


「僕たちも聞いてもいいかな」


「ああ、いかなる問いにでも答えよう」


あつしさんが声をかけると急にシャンと首をもたげて返事をする。嬉しそう。


「んじゃー、元の世界に帰る方法とかも知ってるわけ? 私ら転移者なんだけど」


それを聞くと竜はニヤリとした。


「それか。タダで教えるわけにはいかんのう」


「で? 何が望みだ?」


「む……ノリが悪いの……。そうさな、だったら速さ比べと行こうか。先にあの大樹に手をつけた方の勝ちじゃ」


おじいちゃんデカいし早くなさそうだけど、言い出すくらいだから早いのかしら。しかし走ったら地響きヤバそうだけど大丈夫か。


「じゃあ開始の合図をしてくれ」


「はーい、わたしがしまーす。じゃあ位置についてー」


急に岩陰から出てきたチビ竜が声を上げる。誰だこの竜。


「はじめ!」


「着いたぞ」


あっという間にミラージュさんは手をついていた。

爺さん竜は半分の位置だった。

いや、まったく見えなかったんだけど、なんなんすかあの人!?

他のみんなの様子を確認するも、みんなも見えてなかったみたい。瞬間移動できるのかな?

いや、爺さんも十分早いけど。でかいのに早い。すごい。


「ななな」


「早く教えてくれ」


離れた二人に俺たちが近付く間に、竜爺はなんとか落ち着いた。


「よ、よし、分かった。世界移動の儀式をするための法は魔族が知っておる。だから魔族に聞くがよい」


「なんか大した情報じゃないな。その魔族がどこにいるかぐらい知らないのか?」


「いや、わしはここからあまり動かんからな……確認は出来んが魔族領にいるのではないか?」


さっきは我とか言ってたのに、わしになってる。格好つけてただけなのかな?


「まあいいか。心当たりあるし」


「え、あるの? じゃあなんで聞いたの?」


「いや、確認のためだよ」


「あ、そうなんだ」


とあつしさんは納得し引っ込んだ。俺は納得できてないんだけど。

しかし他の誰もつっこまないし俺もつっこめなかった。


「ともかくこれで用事は終わりかな」


横でエルテが伸びをしている。

お開きの雰囲気ですね。


「そうだね。ありがとう竜さん」


「じゃあちょっと休んだら帰ろっか」


「げぇぇ、こっから帰るのかよぉぉぉ」


帰るまでが遠足です。


「じゃあまたなー。竜の爺ちゃん」


手を振り別れの挨拶をする。チビ竜も手を振っている。持って帰りたい。


「ほーっほっほ。生きてるうちに会えるといいのう」


俺は不死身だから会おうと思ったら会える気もするなぁ。気が向いたら来よっかな。


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