表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第二章 帝国編
55/113

55.竜の巣

「私が竜です。さあ記念のグッズを買いましょう!」


湖を超えた先、竜の巣があると教えてもらった場所に着く。

そこは屋台が立ち並び、綺麗な装飾がされ、様々な人々が集まっていた。

広場のあちこちには竜を模した着ぐるみを着た人がいる。売り子らしい。

アーチ状の巨大看板にはでかでかと『竜の巣』と書いてある。


つまり、ここは観光地であった。


「竜じゃないじゃん!!」


「いえいえ、私たちは竜です! さあ記念に木彫りの竜を買って行って! ひとつ6シルバー!」


竜の着ぐるみを着た女性が後ろの棚からお土産を差し出す。安い。でもいらない。


「えーっと……見当違いだったみたいね」


「やっぱい無いか。他のもので代用してもらうか?」


「いやでも存在しないならそれを持ってこいとは言わないと思うんだけど」


ローダーとエルテが言い合うのを眺める。


あれ、ちょっと待てよ。


「でも帝都の人は山に巣があるかもみたいに言って無かった? その噂の方を調べたらいいんじゃね?」


「あ、言ってましたね。でもここの人が知ってますかね? そもそもウーウヴェンの人が知ってたら教えてくれそうなもんですけど」


グルだったら教えないかもしれない。

まあでもせっかくなのでここの人たちにも聞いてみよう。


雑談休憩をしている着ぐるみがいたので話してみる。


「そうですねー、竜の巣の噂知ってますよー」


着ぐるみの人が言ってくる。さっきのとは違う人で男性だ。

これは是非とも聞かねば!


「なんだって! 詳しく教えてくれないか!」


「とか言って別の観光地だったりして」


後ろからミラージュさんが茶化してくる。この人いつもふざけてるな。

着ぐるみの人はだぶだぶの腕を振って否定する。


「いや、さすがにここより山に人里は無いですよ。ただ本当に竜の噂があるからこうして観光地として成り立っているわけでしてー。まれに冒険者の人が竜のことを話してくれるんです」


ほんとかなぁ?


「ていうか、ほんとうのほんものの竜に会いたいんですか? 正気ですか? いても危険かもしれませんよ」


「正気だよ。竜のヒゲが欲しいんだもん」


そうですかー。と間の抜けたトーンで職業竜は言う。


「一応ですね、ここから見えるあの山を越えた先にある山の中腹に竜の巣があるって噂です。確認したと主張する人もいるんですけど、実際に行ってもいないので本当か嘘か分からないんです」


「それだけ分かれば十分。準備して行こうか」


ミラージュさんが食い気味に言う。決断早いな。なんかミラージュさんがリーダーみたいになってるし。


◆◆◆◆◆◆◆◆


一度ウーウウ……? の町に戻り一泊してから、防寒具、野営の道具と食料を用意。竜の巣を目指す。


そして三日三晩山を彷徨う。

四日目にはローダーが杖で身体を支えながら歩いていた。

新調したもののはずなのにそんなの気にしている余裕はないようだ。


「も゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ー……本当に疲れたよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ー……」


「変な声出さないでよ」


「私も疲れました……」


もうみんな疲労困憊ですよ。野営には寒い季節だから寝袋に入っても満足に寝れないんだよなぁ。夜の見張りはあつしさんとミラージュさんがしてくれてるからそこは安心なんだけど。


「じゃあこの辺で小休止にする?」


というわけでちょっと休むことになった。

いくつか岩が転がっているからそこに座る。

それなりに山を登っているのにまだ木が多く昼間は凍えることは無い。吹雪いたりする山じゃなくてよかった。


「見つからなかったらどうしよう」


さっきからローダーずっとネガティブだな。

道中転んで怪我したり適当に拾って食べた木の実にあたったりしたからかな。


「見つからなかった場合はこの噂が真実でないことを確認できたからいいってことで……どう?」


あつしさんはポジティブ。

どうっていわれても何も解決してないじゃないですか。


「お二人はなんで竜に会いたいんですか?」


サピちゃんが革の水袋を出しながら言うと立ったままのミラージュさんが答えた。


「竜っていったら長寿で博識と相場が決まっているだろ。だから会えたら色々聞いてみたいのさ」


そうかな。この世界なんかズレてるし無能竜かもよ。


水を飲んでほどほどに小休止終了。また山を登る。


そろそろ聞いていた山の中腹のはずだけど。

この辺りから木が少なくなり岩と草が広がっている。もっと上の方は白く見える。雪が積もってるのかしら。


「竜はやっぱデカいだろうし、広いところで寝てるんじゃないか? 木が茂っているようなところでは休まないと思うから、あのあたりの開けたところとか怪しいだろ」


「開けたところは目立つから寝床にはしないんじゃないの? 洞窟とか渓谷にいるとおもう」


ローダーが目いっぱい考えてから言ったものをすぐさまエルテが否定。だって見える範囲に何にもいないし当たり前だよね。


「あ、いるわ。ほら」


「え?」


まーたミラージュさんが突拍子もないことを言いだす。けど何にもいない。

みんなで周りをみる。


「ん? なんか聞こえますね」


サピちゃんが垂れ耳を動かしてから言う。怖いこと言わないで。

必死に周りを凝視するけど何もいない。虫もいないぞ。


「早く姿を見せろよな。待ってるのだるいから」


ミラージュさんが先に進んで虚空を指でつんつんし始める。頭大丈夫っすか!?

と思っていると薄ぼんやりと何かが見え始める。


「うわ! なんだ!」


はっきり姿が現れた。

でっか! 首なっが! お腹ふっと!


「これが竜!」


エルテが指を差して言う。指差し確認しなくてもみんな見えてるから。


「どこから出てきたんだ? まさか……姿を消す魔法か!」


そんなのあるのかよ。怖いなー。

とまれ竜はこちらを長い首で見下ろす。足から頭まで5メートルくらいありそう。


「人の子らが我を見つけることができるとはな。一体何の用かな?」


うおっしゃ! 本当に竜だ!

ヒゲをもらう交渉開始だ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ