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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第二章 帝国編
50/113

50.三人寄れば文殊の知恵

屋敷を出て、ひと呼吸。

疲れたー。


「それで、どこから手を付けるんですか?」


「じゃあとりあえずは……。あ」


「どうしました?」


路地裏から大通りに移動すると、空が良く見えた。

すっかり日が傾いてる。宿に帰るしかないよね。ね。


「今日はもう暗いから宿に帰らないと無理じゃない?」


「仕方ないですね。ちょっと店に寄ってアリバイを作ってから帰りましょう」


◆◆◆◆◆◆◆◆


急いで帰ると二人は宿の食堂でスープを飲んでいた。

帰り際に買った、漢方みたいな棒状の薬をお土産として渡すと、すぐにスープと一緒に食べてくれた。特にコメントはなかった。おいしくないんだろうなきっと。


「元気になった?」


「うん、もう大丈夫。明日から私たちも観光するよ」


良きかな。これでみんなで観光できるね!


「あのー、ヘリックスさん……」


あ、そうだった。手伝わないといけないから説明をしないと。


「することが出来たんだった。サピちゃんの」


「あの!? ヘリックスさん!?」


うお! 肩掴まれた! すごい力だ。


「ちょ、痛い。いきなりなにすんの」


小声で話す。


「バラしたらバラしますよ。私たちのことは言わないように動いてもらわないと困ります」


本当さらっと怖いことばっか言ってんな。

しかしそんなことよりも気になることがある。


「ねえ、なんで秘密にすんの? この国の諜報機関なんでしょ?」


「諜報員だとあけっぴろげにして活動する諜報機関がありますか? 悟られずに行動しなきゃいけないんですよ!」


俺の世界にはあったけどな。

うーん。分からんなぁ。


「でも二人に黙って情報集めるなんて無理だと思うけど。諜報のことはバラさずに、サピちゃんの知り合いを助けるってことで行動したらどう?」


「うーん、それなら……。分かりました」


「おい、お前ら何こそこそしてるんだよ」


青いのが文句垂れてきた。危ない。バレる。そしてバラされる。

すぐさまサピちゃんが対応をする。


「いや、実は私のことでお願いがありまして……。帝都にいる私の知り合いが義肢が必要なんですけどそのために情報を集めたいんです」


結局俺の案を丸々採用するんかーい。まあいいけど。


「別にいいが、観光もしながらでもいいか?」


納得するんかーい。まあいいけど。


話は一度置き、食事をすることにした。

今日の晩御飯は雑穀パンと根菜サラダと、何かのバラ肉を炒めたやつだ。トマトっぽい味。めっちゃ豪華だ。

宿代は一部屋1泊4ゴールドでお高いけど、ご飯出るから意外とお得かも。適当に入ったのに当たり引いたな。


食べながら予定を話す。


「で、具体的に何が必要なんだ?」


え。うーん。

動かせる義肢に必要なものか。


「とりあえずカーボン……は無いだろうから金属の資材と、制御装置と電源と、あとは何がいるかなー」


「え? 鍛冶屋じゃないの?」


「医者のあてはあるのか?」


おわ。びっくりした。めっちゃ意見出るやん。

だけどな。


「物が無いと人がいても意味ないんだから物から探すだろ普通!」


「何言ってんだ。医者に聞くのが一番だろ。アホかよ」


アホっていうやつがアホなんだ!


「たしかに義肢と言えば医者ね。でも忙しいだろうにどうやって面会すんの?」


「とにかく行けばなんとかなるだろ」


なんのか? 交渉はもちろんノリノリなローダーがしてくれるんだよな? 俺は医者と話をつける自信なんて無いぞ。

見てたらエルテは乗り気じゃないのか違うことを言う。


「それより先に、組合に行かない? いきなり病院より、そこで聞いたらいいじゃん」


「うーむ、組合なら組合員が怪我することもあるだろうから知ってるか? じゃあ組合に行くか。まだ行ってないしな」


あ、そうだった。この街に来てからギルド行って無いじゃん。


「じゃあそれで」


明日はギルドに行こう。


◆◆◆◆◆◆◆◆


翌日。朝食を取ってからギルドに向かった。


帝都のギルドは石造りのがっしりした建物で、特段の装飾はされていない。看板が無かったら憲兵の詰所かと思っちゃうぐらい武骨だ。


木のドアを開け中に入ると結構な数の人がいる。どいつもこいつもゴテゴテした派手な服やら鎧やらを着ている。

このファッションセンス……転移者じゃな?

なんで異世界に来たら冒険者になろうとするんだ。短絡的だな!


今日は依頼は見ないので、早速受付に向かって義肢のことを聞いてみる。ここの受付は男性だ。マッチョではない。


「すみません。義肢について調べてるんですけど、義肢扱ってる医者とか技術者とか知りません?」


「えーっと、それなら帝国病院に行けばいいと思います、が。めちゃくちゃ高いですよ。覚悟してくださいね」


「やっぱ病院じゃん。じゃ帝国病院行くか」


聞いたとたんローダーたちが出て行こうとしやがる。

ちょっと待て。情報が抜けてる!


「いや待って待って。ちゃんと指が動くような高度な義肢を探してるんですけどっ」


「ええ? そんなのないですよ。この世界の技術レベル舐めてません? 電気が実用化前ですよ? プログラムも無いんですよ?」


やっぱ無いのか。うーむ。

悩むとサピちゃんがつんつんしてくる。


「というより大手のところで手術は頼めませんよ。忘れてません?」


こっそり言ってくる。まあそうよね。

でもこんな大変な技術が必要なこと、秘密のまま達成出来るのかな?


「じゃあ研究してるやつとかいないのか?」


ローダーが閃いたのか聞く。するとギルドの受付の人が上を見ながら話す。


「それなら……。帝国研究所に医療の研究部門がありますね。転移者が集まっているのでレベルの高さはピカイチですね。それとダーチ人がしている小さい”自称”研究所がありますけど、あまり良い話は聞きませんね」


「おおー、ありがと!」


超有力情報じゃん。

この二か所に行って、情報集めて足りてないものは何とかすればいいんだ!


「じゃあ二手に分かれて探すか。エルテとお前がで異世界人の方で、俺らはダーチ人な」


とローダーが言い、サピちゃんとペアを組もうとする。


「え、あ、待ってください。分かれるならヘリックスさんとペアになりたいんですが」


「何言ってんだ。帝都の土地勘があるサピがいないと意味ないだろ。こいつはこいつで異世界人だから異世界人と話しやすいだろうしな」


「う、それはそうなんですけど」


サピちゃんは俺を監視しときたいんだな。でも無理筋よね。

へへっ。早々に解放されるぜ。


「4人で行動したほうが良くないですか? ヘリックスさんだと迷子になると思いますが」


「そういえばそうよね。前科あるし。じゃあ分かれるのやめて全員で回る?」


エルテが乗ってきたのでサピちゃんが全力でうんうん頷く。

だがローダーがすばやく反論する。


「いや二手に分かれた方がいいだろ。その方が早いし、両方の情報すり合わせは今日の夜にすりゃいいんだからさ」


「4人で回っても今日中に終わるんじゃないの? それかあんたがヘリックスと組んだら」


「俺はサピといっしょがいいんだよ!」


ギルド内が静まり返りみんなが見てくる。

青いのは赤くなってる。

何やってんだこいつ。


「わかったわかった。ヘリックスは私がちゃんと見とくから、あんたらは二人で行ってきなさい」


真っ赤っかのまま「お、おう」とか小声で言ってる。


「いらないこと言わないようにしてくださいね」


「分かってるって。そっちも気をつけたほうがいいよ」


サピちゃんは怪訝な顔をしたけどすぐにローダーと出て行った。


「じゃあ私らも行きましょ。帝国研究所だっけ?」


俺たちも外に出て、ギルドの人に教えてもらった帝国研究所へ行くことにした。


誤字とか脱字とかあったら教えてくだちい。

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