48.帝都って感じの街
馬車で二日ほど揺られ、帝国に入るための行列へとたどり着いた。
長い。なんだこの行列は!?
なんで渋滞しているのかとおもったら検問になっていた。
帝都は堅牢な塀に囲まれ、入り口には何人も兵が立っている。怖い。
搭乗者も全員証明書がいるらしく、冒険者ギルドの組合証を見せたら入れてくれた。
馬車を降りついに帝都へ到着。
すっごいでっかい。3階建てと建物とか塔とかあるぞ。ほとんどの建物が旗とか謎の金属板とかで装飾されてるし、植物もあるし、屋台もあるし。
そして道行く人に混じって鎧を着こんだ人がたくさん歩いてる。
兵士かと思ったら帝国の冒険者っぽい。重装備ばっかりだ。ガチムチしかいないの?
こりゃあ討伐系の依頼は余ってなさそうだな。エルテが残念がるだろう。
さて、どこから見たらいいかなー。まずはギルドかな。
「ねえ、ちょっと」
ん?
って、エルテの顔がめっちゃ青くなっとる!
「めちゃくちゃお腹痛いから、もう宿屋に行っていい?」
いいに決まっているぞ!
さっさと近い宿に入り、男女に分けて二部屋をとった。
そしてエルテは用を済ますとすぐに寝込んだ。
「めっちゃ気持ち悪い。みんなは何ともないの?」
「俺もちょっと腹ゆるいけど、そこまででもない」
「うーん、水浴びがいけなかったんですかね?」
外国の水飲んだらお腹壊すっていうし、それか。サピちゃんは地元だから平気なのか。
もちろん俺はなんともないぜ! 不死身だと病気もしない。得した。
宿の人に温かいご飯を頼んだら麦のスープをくれたので、女性陣の部屋で食事をした。
「んじゃー私は寝てるから、せっかくだからみんなは観光してきたら?」
「あー、俺も休むわ。歩き回るほどの元気は無いから」
エルテとローダーは宿に残り、俺とサピちゃんは街に行くことにした。
◆◆◆◆◆◆◆◆
街に出るも、二人だけで観光っていうのもな。うーん。
「お二人とも大丈夫ですかねー。変な病気じゃないといいですけど」
「冷えてお腹壊しただけだろうし大丈夫じゃね?」
脳筋とアホだし大丈夫だろ。
サピちゃんは唸って悩む。
「あ、そうだ。せっかくなので薬を買いにいきましょう。知り合いがやってる薬屋さんがあるんですよ」
なんてやさしい。
腹下しなんぞ半日出せば治るだろうけど、地味に苦しいし早く治してあげたいんだね。おいしいものも味が分かりにくくなるし。
ほんとやさしい。
というわけでサピちゃんと一緒に帝都の街並みを歩く。
他の街より建物も人も小綺麗だしゴミも落ちてない。
やっぱ首都だけあって豊かだね。
待てよ。豊かってことはメシも美味いってことだな。こりゃあ楽しみだなぁ。
急いで共和国に戻る理由もないし、金の限り滞在して、たっぷりと満喫したいなぁ。
あ、あと役に立つものを漁るのも忘れないようにしないと。
なんて考えながらサピちゃんに着いて行くと、なぜか路地裏へと入っていく。
「あれ? こっちで合ってる?」
「合ってますよ。知り合いの店なので安心してください」
そっか。マニアックな薬とか置いてる系のお店なのかな。
路地裏だけど、まあ、そんなに治安は悪そうではない。時たま地元民っぽい人が歩いてるだけ。
「急に四天王が出て来たり、お二人が体調崩したり、想定外のことが多かったけどやっとここまで来れました」
ん?
なぜ薬屋に行くくらいでそんな大層なことを言い出すの?
唐突に今までの旅路を思い出してるのかなぁ。そんなすごいことあったっけ。いやない。
サピちゃん的にはあったのかもしれない。いや、ないよな。
奥に進むと木造住宅が並んだ一画に着いた。ちょっと壊れてたり汚れてたり雑草が生えてたりする。
その内の一軒が目的地だったみたい。平屋で庭は手入れされていない。伸びた草が建物を侵食している。
隠れ家的お店ってやつなの? 完全に一般家庭に見えるけど。
「お邪魔しますーん」
引き戸を開け入るが人気が無い。入ってすぐの玄関は、土間と薄いラグが敷いてある板間があるだけで何もない。サピちゃんが靴のまま進むから、俺も土足のまま上がる。
左手と奥に廊下が続いているけど暗くて見えなくて、すぐ右手には入口の開いている小部屋がある。
「なんかお店っぽくないね」
「頼んだら出してくれるんですよ。ご主人呼んで来るんでそこの部屋でちょっと待っててくださいねー」
と言うとサピちゃんは行き、小部屋に一人置いて行かれてしまった。
小部屋にはテーブルとイスと、元の世界ならアンティーク家具と呼ばれるであろう、ちょっと古い木製家具がたくさんあった。
そして棚の上にちっちゃい振り子時計がある。そういえば時計って初めて見たな。12時間表記だ。この世界も1日24時間なのかな。あんまり気にならなかったから、24時間に近いとは思うんだけど。
調度品を一つ一つ眺めて時間を潰していると、部屋の外からガラガラ音がしてきた。台車に薬を積んで押してるのかな?
サピちゃんが入って、続けて車輪が入ってきた。でも荷車じゃない感じだぞ。なんだ?
「こちらです」
そして入ってきたのは、車椅子に乗った左手以外の手足がない髭の生えたおっさんだった。




