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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第二章 帝国編
44/113

44.懐が温かいと心も温かい

もう夕方。長いことマッドマジシャンに拘束されてたんだなぁ。


ギルドに帰るとエルテとサピちゃんがいた。

狩りの依頼をしたらしくエルテがツヤツヤしていた。サピちゃんは普通。

もう遅いし今日はローダーが見つけていた宿に泊まることにした。


◆◆◆◆◆◆◆◆


翌日。

なんかいろいろあったのでみんなのお金を確認することにした。


「気付いたらめっちゃあるな」


「なんかすまんかった」


肉体を酷使した結果ですね。やったぁ。

これだけ大金があれば酒池肉林の邪知暴虐な君主ごっこが出来るね!


「んで、また俺の用事で悪いが、今日は買い物に行こうと思うんだが」


うんうんとみなで同意。ついでに観光しましょうぞ。

買い物して観光して飯食って。満喫じゃ!



魔法道具店『ランディアナ』。ランプと瓶詰の液体と謎の植物が魔法使い感をムンムン醸し出している。メルヘン。

杖と帽子、ローブはもちろんのこと、魔法の石が付いたネックレスやブレスレットも売っている。

魔法攻撃力+3とかの効果が付いてるのかな?


「じゃあ俺は杖を選ぶからその辺見てて」


と言ってローダーが奥に入っていく。


俺たちも店を物色する。


結構広いから時間は潰せるな。というか興味を引く物ばかり。

この根っこみたいなやつ……まさかマンドラゴラじゃね!?


「そちらは泥炭人参です。胃腸の調子を整える効能があります」


マンドラゴラじゃなかった。


なんか店員さんが色々教えてくれる。やれ目薬だやれ湿布薬だ。異世界でも販売員は大変だなぁ。そして魔法道具屋といいつつも錬金術的なものも大量に売ってるんだな。魔法道具だけじゃやってけないんだろうな。大変だなぁ。


せっかくだから魔法石付きの装備でも買おうかしら。金あるし。


これは防御の加護。いらない。だって肉壁だし。

これは攻撃の加護。いらない。だって攻撃しないし。

属性系の加護もいらないな。消し炭でも生き返ったし。


あれ。俺に合うものないじゃん。困ったね。


迷いながらぐるりと店を回っているとローダーがいた。

見やるともじもじしてる。きもいな。

しかも女性向けアクセサリーを物色してるし。きもいな。


「こういのがいいのかな。いやでも邪魔かな……」


なんか人にあげるもの選んでるっぽいな。

店員さんに風の加護のものがどれか聞いている。



そういう、ことだったのか。

にやにやしながら凝視してやる。


「私もなんか欲しい」


急に後ろからエルテが言ってくる。

びっくりしたぞい。


「なぜ俺に言うの? 好きなもの買ったら良いんじゃないの?」


「あれ? そういうことじゃないの?」


どういうこと?

こういう店ではプレゼントを買わなければならない現地の謎の風習でもあるの?


だが俺は転移者でこの世界の風習なんぞ知ったこっちゃない。というか奢りたくないだけだけど。

なので論破しよう。


「勇者目指すなら与えられるのではなく与える人間にならないといけないと思います!」


「……ふーん」


なんかどっか行った。

うーん。間違った気がするけど奢るのもなんか違うし……。


とりあえずまだローダーが終わってないから自分用に呼吸ができるチョーカーを買った。首輪っぽくない見た目のやつ。

これで溺れないし毒ガス浴びても安心だね。


ローダーもなんか買ったみたい。いつ渡すんだろうね。うぷぷ。



店を出てからはぶらぶら街をみてお昼のころ合い。


「じゃあ次は、めしにするか」


という訳で地元飯。店の名前は『スーターター』。覚えやすそうで覚えにくい。

安くは無いけど高くも無い良心的価格のお店となっております。


そしてなんと鍋だ。おー。

水に囲まれてるせいか街全体が寒いし温かいものがありがたい。

具は野菜とハト肉らしい。……俺にタックルしてきたハトたちなのか?


「うめぇうめぇ」


みんながっつく。味は良いし彩りも良い。

ゴマダレみたいなタレをつけて食べる。シソみたいな味がするけど意外と合うなぁ。


めっちゃ幸せ。この世界来て一番の幸せ。

やっぱ飯が一番だな!



腹も膨らみ夕暮れの中、宿に帰る途中にローダーがサピちゃんに話しかけていた。

渡すのか。もぞもぞしてるな。ふはは。


またニヤニヤ見てたら誰かがどついてきた。


「痛い」


見たら案の定エルテだった。


「なんだよー」


「はい」


ん? なんか長いものくれた。

広げてみると、布で編まれたの紐で途中に石が結んである。


「なにこれ? 武器?」


「いや、ベルトなんだけど……」


あー、ベルトか。言われてみれば確かに。

革のベルトとか高いだろうから布の紐なのね。

揺すったり右腕に巻いたりしてみる。石の部分で結ぶと丁度いいみたい。


「で、何でくれたの?」


「いや……。あんたの言う通り、やっぱ守る側があげるべきだと思ったから……。それ一応幸運の加護ついてるからちょっとはマシになるんじゃない?」


さらっとディスられた気がする。それに幸運なんて絶対嘘だろ。だまされてますね。

とりあえず腰に巻いとくか。今のズボンにはベルト通しが無いから何もない腰に巻いとくだけ。ただのファッションですね。


「じゃあこれ」


「え、なにこれ」


お返しに渡したのは安全ピン付きの大樹をモチーフにしたブローチ。

幸運の加護がついている。俺は見た目で選んだだけだからだまされてはいないんだ。


「なんでくれるの?」


「まあ、なんとなく金持ちの余裕ってやつ?」


あげないと何かかっこ悪い気がしただけなんだけどね。


「ふーん」


どうするのかと思ったら鞘を固定するベルトの革の部分に付けた。そこなのか。服に着けるもんじゃないのか。


「まあまあ。あんたにしたら悪くないかも。あ、それ壊さないでね」


「だったら金属にしてほしかった。あ、見た目はいいんだけどさ」


素直にありがとうって言えんのですかね。サピちゃんなら絶対……。

って、ローダーがこっち見てニヤついてやがる!

お前は笑われる側、こっちが笑う側だろうがー!


そのままみんな半笑いで明日の予定を話しながら宿へ帰った。


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