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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第一章 共和国編
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4.シスターは聖職者だから聖人

「はー、生き返ったー」


死ぬのに慣れてきた感。

固まった体を起こして、ひねってストレッチする。

ここは建物の中みたい。石造りの壁に燭台があるけど点いていない。

暗いけど、壁の上のほうに明りとりの隙間がある。冬は寒そう。


「なんか死体置き場みたい! あ、死体だ。」


なんということでしょう。横には新鮮な死体が!

つまり俺は死体として運ばれてきたのだ。

大方頭に矢でも刺さったんだろう。この冷静沈着頭脳明晰さ、天才に違いない。


格好はもらった服のままだし埋められる前だし良かった。


きっとドアを開ければホール的なところに出るだろう。こんな部屋とはおさらばだ!


「すみませーん。誰かいますかー。」


ドアをくぐって進むと小部屋だった。そりゃそうか。死体置き場と直通は無いか。質素な木製の椅子と机がある。横には木枠の窓。開いてるから明るい。

こざっぱりしてる。そして誰もいない。


そういえば勇者ってどうなったんだろう。死体置き場に運ばれてどれだけ経ったか分からないからとっくにいないのかしら。


人肌求めてさらにドアを開けると外だった。そこは墓地。

うーん。合理的。


けっこう広い。石の大きさはバラバラだけど荘厳な感じがする。そんな感じ。本当はよくわかんない。


人はいない。雑草すごい。多分草が少ないほうが出入り口だろう。

そっちを向いたら手桶を持った女性がいた。


シスターじゃね? 美少女シスター純朴ヒロイン美少女じゃね?


「すひっませへぇ」


コミュ障めいてうまく声が出なかった。そういう時もあるよね。


「いやあああああああああああああ! 不浄者!」


持ってた水かけられた。かぽろんと気の抜けた音が辺りに木霊する。


「つべたい」


「あれ? 浄化されない? 普通の人?」


「はい! 普通の人です。」


間違いに気づいたシスターは深々とお辞儀をして謝ってくれた。誰もいなかったはずなのに、急に現れて汚れた服で変な声出したから不浄者(ゾンビ的なものらしい)と思ったとのこと。俺が完全に悪いですね。

ていうかただの水で浄化されるの? 聖水なのかしら? この世界のゾンビは日光に当たっても平気なの?

あ、ちなみにシスターは美少女じゃなくてアラサー薄幸系女性でした。ヒロインではないでしょう。好きな人が一定数いそうな感じ。


あ、そうだ。


いろいろ知ってそうだから、気付いたらこの世界にいたんですけどと説明。

いきなりこんなこと言われたら困惑しそうなのに親身に聞いてくれる。さすがシスターだな。生き返ったことは黙っとこう。


「転移者ですね! ひとまず労働者組合に行ったらよいですよ」


「労……なに?」


「労働者組合です。転移者の方々は『ギルド』と呼んでいますね」


「ギルド、そういうのもあるのか。でもすっごい堅そうな名前ですね」


「もとは仕事斡旋所ですが、転移者の方が多く混乱が多いのでそっち方面へ変わって行きまして。仕事は受けなくてもいろいろなことを教えて下さいますよ」


情報収集につかえばいいってことね。仕事は内容聞いてからにしよう。なんか怖いし。狼退治とか言われたら怖い。


「ありがとうございます! よっし、とりあえずその組合に行ってみます」


テンプレ的なギルドに行くのだ。俺たちの戦いはこれからだ!


あ、トイレいきたくなってきた。

腹まで食われたはずなのに不思議ですね~。


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― 新着の感想 ―
[一言] やっと死なずに1話を迎えれた!!
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