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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第二章 帝国編
31/113

31.他国へ行く

爽やかな風と紅葉した木々。すっかり秋だなぁ。

少し森を散策すれば自生の果物があちらこちらに見える。


俺の収集スキルが火を噴くぜ!

まあそんなものは無いんですが。

でも俺の出来ることの数少ない一つであるから、もうこれは収集スキルと言っても差し支えないな。


たんまり実を集めたらツリーハウスに帰る。


家の周りではエルテとサピちゃんがシカの肉を薄く切り分けていた。保存食にするらしい。


「お昼ご飯の果物だよー」


「わーい、ありがとうございますー」


二人が寄ってきて果実を奪ってその辺に腰掛ける。


木苺っぽいのとか金柑っぽいのとかいろいろ食べる。うまし。


「ん、あれ? ローダーは?」


「街に行ってるわよ」


ほとんど食べ終わってから気付いた。まあどうでもいいか。

そういえば前に俺だけシカ肉を食べられなかったときあったな。まあどうでもいいか。


最後の木苺を食べたらローダーが帰ってきた。

果物は初めから無かったことにしよう。


「おーい、ちょっと組合で噂を聞いたんだが」


お、なんだなんだ。


「帝国が最近すごいんだってよ。なんでも異世界人がなんやかんやして色んな道具やら技術やらが発展しまくりらしい」


うお、マジか。みんなで無双しまくりっすか。

そんな素敵なお国とか行きたい。


「帝国って製造技術も発展してるって聞いたことある。剣とか見てみたいかも」


「私も里帰りしたいんで行きたいです!」


大便乗物語。

なんでみんな便乗するの? 娯楽に飢えてるの?


全員で便乗して行くぞー。


◆◆◆◆◆◆◆◆


今いる共和国の北東に帝国はある。というかこの世界の分かっている範囲のうち北東の大部分が帝国で、共和国と王国は帝国に比べたら村レベルらしい。帝国マジ帝国。


拠点にしていたシャングローは共和国の最北部にあるから帝国は近い。

と、いっても国境まで徒歩なら3日は掛かる距離で、直通の馬車はないらしい。なんで?


仕方が無いので徒歩で行くこととなった。

しっかり食料やらキャンプ道具やらを準備して出発。


他にも向かおうとしている冒険者が2組いたので一緒に行動する。

なんか見たことのあるトカゲ人間と熊手姉ちゃんもいる。

気になるけど自分からは話しかけられない人見知り気味体質。


「私は帝国に行くのは初めてなんだが、どういうところか知ってるか?」


「いやー、俺らも初めてなんすわ。なんかすごいって噂だけどさ」


なんか話してる他の冒険者たち。

聞く限りだとこの場にいる全員が帝国に行くの初めてじゃないか。

道なりに進んだら大丈夫らしいから道には迷わないだろうけど。


街道をずんずん歩いて行く冒険者連盟。

出発したのは昼前だから今日はあまり進めないかな。


そうして暗くなる前にいい感じの平たいところで野営の準備。

俺も薪を集めるぜ。


持ってきたシカの肉を他の冒険者にも配ってみんなで食べたら感謝された。やったぜ。

もちろんエルテが狩ってサピちゃんが捌いた肉です。


そして夜。


みんなで交代して夜の番をすれば狼も怖くない!

ちなみに俺は見張りとか出来ないから爆睡の役ということで。


◆◆◆◆◆◆◆◆


朝。二日目は特に何もなく進軍。

とくになにもないいちにちだった。

そして日が傾いてきたら設営して爆睡。


◆◆◆◆◆◆◆◆


翌日の朝。

計算上では今日中に帝国に着く。

歩きまくりの野宿連続でみんな疲れがたまってきた。

ローダーが露骨にぐったりしている。


「筋肉痛になったみたいだ。お前は平気なのか?」


「へなちょこー。俺は何ともないぜ!」


ローダーざまぁ。思ってたより俺って強かったのか。いえーい。

飛び跳ねて煽ったる!


「いや、あんた不死身だから筋肉再生してるだけでしょ?」


…………。

懸念していた筋肉育たない疑惑が。まさかの。


いや、気にしても仕方がない。進もう。


道なりに歩いて日が高くなったら小休止して、また歩いたら前方に何かが見えてきた。


「あれって検問かなー?」


誰とはなしに発言する。


近づいてみると完全に検問だった。

どでかい石造りの門で金属もふんだんに使われている。兵士が数人立ち、重々しい雰囲気。


共和国と帝国の間は谷で隔てられ跳ね橋を渡って門にたどり着けるようになっている。

跳ね橋を操作するのが帝国側ってことは帝国のほうが強そうですな。


ゆるゆる共和国に慣れていた俺たちは緊張感に包まれた。


「本当に通れるの?」


「ある程度実績のある労働者組合員は通れる……んじゃないか?」


自信のないローダーの返事を耳に入れつつ近づく。

ガタガタと言う橋を渡って検問に立っている逞しいおっさんに近づく。


人慣れしているローダーが相手をしてくれるみたいだ。


「帝国に行きたいんですが」


「入国料は12ゴールドな」


「たか!」


ぼったくりやん! そんなん4人分もないし。

他のパーティはあるのかな?


「そんなに金ないぞ」


「こっちもないわ。ちょっとまけてくれん?」


入国料を値引きとか強い。


「ん? お前とそっちの半獣は異世界人か? だったら無料だ。仲間もいっしょに無料でいいぞ」


え。

トカゲ人間と熊手姉ちゃんたちがパスしたぞ。なんでや。

差別がひどくないか。


ラッキーとかいいながら身分証見せ入っていく人たち。

俺らは?


「お前らはダーチ人だろ。だめだから金払えよ」


なんじゃこりゃ。

ダーチ人って現地人のことかな?

ていうか俺も転移者なんだよなぁ。見た目で分からないからかな。

うーん。


「あ、こいつ転移者で不死身なんすよ。証明しますよ」


え? どうやるんだろう。


「じゃあエルテよろしく」


「はいどうぞ」


え? なにするんだろう。


そしてデジャヴュを感じる衝撃。

了解!


◆◆◆◆◆◆◆◆


「転移者は通していいことになっているんだが、お前たちを通していいかちょっと心配だ」


というセリフが別れの挨拶となった。


検問を無事突破したが、街までどのくらいあるのかな?

死んでいる間にトカゲ人間と熊手姉ちゃんのパーティはもういなくなってる。だいぶ日が傾いてるぞ。


「よく考えたら先に組合証見せたら証明できてたな」


もっとはよ気付けや。


「あれ? 気付いてて言ったのかと思った」


エルテのほうがヤバかった。気付いてたんなら言えや。


「いや、ほら、組合証だけだと本人か分からないじゃない?」


まあ慣れたし服汚さないようにしてくれたからいいんだけどさ。


それにしてこれからまた歩くのか。


「あ、おい。あれ見てくれ」


え、どれ?

ローダーが示す方を見ると馬屋みたいな建物があった。


しかしいるのは馬ではない。でっかいトカゲだ!

コモドオオトカゲを3倍にして脚をがっちり立てたようなトカゲだ! しっぽは長くない。

馬の替わりにトカゲに乗るというファンタジー要素ですね。


でもトカゲって変温動物じゃん。帝国って北寄りだし冬とか大丈夫なの?

なんか俺いつも冬の心配してるな。


1頭86シルバーで貸してくれるらしい。地味に高いな。

まっすぐ行ったら街があるとトカゲ屋のおっちゃんが教えてくれた。乗り方も教えてくれた。

どっしりしてるから、むしろ馬より乗りやすい。独特なゴワゴワの肌は撫で心地がいい。


「書物で見たことあるけど、これがウナゴかぁ」


何その変な名前。ウナギとアナゴのあいのこかな? 魚じゃなくてトカゲだけど。


3人でどっしどっしと道を進む。

ゆるやかなカーブを曲がるとまだらに家が立っている。


「あれ街じゃない?」


家の密度が上がって、石の門が見えてきた。


着いたか。長い旅だった。

すぐに宿を探さないとな。


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