表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第一章 共和国編
3/113

3.未確認飛翔物体

さすがに変じゃないか?

完全無欠に死んだはずだぞ、俺は。


だが生きている。それも無傷で。


もしかしてこれが異世界パワーですか?

死なない不死身のぱぅわーなのか?


空は青く影が長い。鳥がさえずり空気は冷たい。

自信が無いけれど多分朝。それが狼に襲われて夜が明けたのか、さらに日が経っているのかは分からない。


何にも分からない。それでも前に進むのだ。今の最高に格好良かった。


もちろん全裸のまま進み続けていると、木がまばらになり街の壁が遠くに見えてきた。結構大きい街だ。門もあるし門番もいる。

もろちんじゃ中に入れないぞ。


道端で呆けていると、違う道から街に向かっている二人組を見つけた。


「それでほら、魔物が良いパターンあるじゃん? それかと思ったら普通にクソだったわけだよ。まあそっちの様子じゃ人間も同じだったみたいだけど」


「あー……まぁ……ん? なんだろう」


小柄な困惑黒髪青年がこっちに気付いた。普通の旅人的な恰好。

続いて隣の若干背が高い口悪性別不詳黒髪がこっちを見た。腰までのマントを着ている。

両方黒髪で背も近いとかキャラかぶってない?


「あのー……大丈夫ですか?」


小柄な方が話しかけてきた。

全裸の人に話しかけるなんて勇気あるねこの人。


「前髪がえらく特徴的な全裸の変態のひとー」


マントがナチュラル失礼発言。


「服無いんだ? じゃあ金持ちなんだから服貸してあげたら」


マントが小柄に言う。


「別に金持ちって訳では……」


これは千載一遇のチャンス! これを逃せば一生全裸かもしれない!

すみやかにお願いをしなければ!

うおおおおおおおおおおお!


「じゃあ私はあっちの街に行くから。またなー」


「えっ」


なぜか急にマントが去っていった。

俺ともう一人のほうもびっくりしたまま動かず、そのまま見送った。


「ま、まあとりあえずこの替えのシャツとズボン貸すよ。あ、お金はあるけどなんでもくれるとは思わないでね!」


布製の服をもらった!

かたじけないと答えつつ木綿っぽい服を着こんだ。なじみます。


それにしてもわざわざ「なんでもくれるとは思わないでね!」と言うとは、これはなんでもくれちゃう人だな。

さすがに集りはしないけど。


「リンバナナ街に行くのなら一緒にいく?」


「行きます」


即レスである。

これで安全に街に入れるな!


二人で門に向かう。さびしくないね!

あ、そうだ。


「俺の名前はヘリックス。命の恩人である貴公の名は?」


「なんでたまに言葉が変なの……? 僕の名前は……光賀あつしだよ」


挨拶大事。


「この御恩はなるべく忘れません」


「いまいち納得いかない」


お礼大事。


などと言っている間に入口。別に混雑してたり並んでたりってことはなく、ほとんど素通りだな。

門番が二人いて、そのうち一人が話しかけてきた。


「身分証を見せてくださーい」


この世界なんかゆるくね? 


「はい、組合証です。こっちの人は僕の連れです」


「やや、これは勇者様! どうぞどうぞお入りください」


なんかファンタジーな名称が聞こえた。

マネーとかはいらないみたいだ。


「あつしは勇者なの? 竜とか魔王を倒すの?」


「あー、魔王なら一応もう倒した……、てかめっちゃ急にフレンドリィー!?」


魔王がいたのか。でももう終わっていたようだ。

出遅れ感。

と、そのとき!


「危ない!」


周りに矢が飛んできた。あぶねっ!

誰だよもー。暗殺か何か?


「流れ矢だ! 早く中に入っ、あ」


頭が激しく揺れた。

なんか……デジャヴュ!

そのまま意識が失われた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ