27.身を挺す
なんでギルド長とエルテがここにいるの?
「あまり良い手には思えんな。どうしてこんなことになっている?」
「不法侵入者を追い払っているだけだ。我々に違法性は無い」
そう? ガバガバ過剰防衛だと思うけど。
っていうかエルテいるんだからエルテの陰に隠れようっと。
ささっと移動。これで安心!
エルテは露骨に嫌な顔をする。傷つくわ。
「お前が来ても何も変わらんぞ。暗殺者組合には何も落ち度は無い」
「そうか? 私が来た意味が分かっているんだろう?」
いや、分からん。説明してくれよ。
とりあえず気になることを聞こう。
「なんでエルテがここにいるの?」
小声で聞く。
「あんたらが暗殺者組合にいるとか急に言いだしてロロクさんが出て行こうとするから、護衛とついでにあんたらの様子を見に来たのよ」
なぜ急に……。いや、待てよ。
「お前ツンデレだったのか!」
「え? …………え?」
ん? ツンデレが伝わってない?
それともマジで心配とかではなく見に来ただけ? 前にゴシップ好きをほのめかしてたけど実際に野次馬で来ただけなのかもしれない。
この仮説は悲しいから初めから護衛のために来たということにしておこう。うん。
んまあ、それは置いといて。暗殺者ギルド長と幼女のほうを見る。
幼女はおとなしくなってる。まあそりゃそうか。
「暗殺者組合は終わりだ。政治的な依頼など受けずに盗賊退治を専門にしていればよかったのだ」
「それでどうやって食わせていくんだ? 廃業しろと?」
誰か説明してくれよ。ついていけないよー。
話の骨を折りまくってでも聞いてやる。
「暗殺が仕事なのになんで盗賊が出てくるの?」
「ん? それは平和になって暗殺依頼自体が減って盗賊退治の依頼に移行していたから……だが……、知らなかったのか?」
あれ? これみんな知ってるやつ? なんか俺だけ置いてけぼり食らってない?
周りを見るがみんな気にしてない。
「まあ、とにかく。君が何を言い訳しようと終わりだよ。私の能力を知っているだろう? 解決の目途が立ったからここに来たんだ」
「何をしようが無駄だぞ」
お、何を言って解決するのか。
後ろでは激しい音が聞こえるけど気にしないようにしよう。
うお流れ弾飛んできた。あぶねぇ。
幼女がびっくりしてる。危ないよね。
我慢して話の先を待つみんな。
だが止まってるロロクさん。
そしてを急かすように見るローダー。
「で、組合長。次は?」
「う……選択肢が……」
あ、選ぼうとしてるのか。一人で選ぶから迷うんだぞ。
そうだ、手助けしよう。
「迷うんだったらこっちにも見せて! そしたらきっと最適解出せる!」
やっぱ俺は天才。ていうか能力でどんな選択肢があるか見たいだけなんだけどね。教えろ!
「いや、見せるのは物理的に無理だからね。……内容と、結果を説明するよ」
教えてくれるのか。よーし。これで俺が解決しちゃうわけだ。
「私が市長事件を攻めれば1人死ぬ、私が評議員事件を追及すると1人死ぬ、暗殺者組合の過去を攻めると2人死ぬ、選択肢の内容を言うと2人死ぬ」
「うわ、2人死ぬの選びやがったな」
「あ」
死ぬのはダブルギルド長にしてよね。
「よし、エルテ、ローダー。やばそうだし逃げよっか」
「う、うん、そうね」
「いや、ま、待ってくれ。また選択して更新すればなんとかなるかも」
大丈夫かよこの人。
「じゃあ新しい選択肢を教え」
「能力とかどうでもいいんだよ! 俺はさっさとハッキリさせたいんだ。つまり誰が親父を襲ったのか、だ!」
あ、そうそう。それが大事よ。ストレートに行きましょうや。
「暗殺者組合は評議員を襲ったりしていない」
「じゃあ誰だよ」
「それはバルステズ、お前だろう」
え、バルステズって誰? 暗殺者ギルド長のことかな?
ロロクさんは急にドヤ顔で何言ってんだ。
暗殺者ギルドは襲ってないんでしょ? なんでそうなるの? 選択肢で答え見たの? 否定されたら終わるよね?
「うむ……」
いや、うむじゃないよ。何とか言えよ。
ん?
ん?
うむって? まさか肯定?
エルテがこっち見る。
「ちょっと、よく分かんないんだけど、どういうことなの?」
えーっと。
あ。
「もしかしてギルド長がギルドとは関係なく個人的に殺人未遂したってことかな? 普通に犯罪じゃん」
あ、と気付いたような顔をする暗殺者ギルド長。
なんで自白してんの?
ロロクさんはは地蔵になっていた。なに固まっとん。
幼女はおろおろしてる。
「え? え? どうして?」
「やつは……暗殺者組合に圧力をかけていたからな。」
黙ってたローダーが急に杖を構えた。
「そんな屁理屈は俺には関係ないぞ! お前が親父を狙ったのは変わりない」
え? なんで?
なにする気なの?
仇を前にする事っていったら……。
「だ、だめだあああああああああああああああああ!!」
暗殺ギルド長の前に飛び出す。
予想をはるかに上回る衝撃が胴体に掛かってそのまま倒れた。
「え、何やってんのあんた」
むしろこっちが何でだよ。
エルテもローダーも幼女もダブルギルド長もぽかんとしてるし。
「ぐえ……、ご……ごろすこと……ないだろ」
めっちゃ痛いぞ。なんかめっちゃ背中が痛いぞ。
鎖帷子貫通してるんじゃないの? うそやん。ローダーの魔法はしょぼしょぼじゃなかったの?
ローダーじゃ殺せるレベルの魔法使えんだろ、とか油断したらめっちゃ強いやんけ。お前普段からちゃんと魔法使ってよ。
「あ、うん、いや、えっと。なんか冷めたけどさ。別にお前が受けんでも俺を止めたら良かったんじゃないのか?」
目からウロコ! 先に言ってくれ。
「うん、まあ、よし。じゃあ組合長。こいつを衛兵詰所へ連れて行くか? きちんと処罰されて二度と襲わないならそ」
ローダーってギルド長にも偉そうなのね。さすがだ。
ロロクさんが暗殺者ギルド長に近づいて行くのをぶっ倒れたまんま眺める。
うぐぐ。痛い。っていうか血だまりになってる! ガチで殺す気で魔法飛ばしやがってたのか。くっそー。
どうした何があったと集まってくるみんな。争いは収まったのか。
集まるのは良いがめっちゃ暗いよ。と思ったらローダーが明かりを出した。
やったー。明るい。
ミラージュさんとあつしさんが覗いてきた。
「また死にかけてるじゃん不死身くん」
「え! 大丈夫なの?」
大丈夫じゃないかも。だいぶ苦しい。うーぐ。
って、ミラージュさんも血まみれになっとる!!
もっさんとケリンは無傷っぽいから返り血じゃなくてボコボコにやられてますやん。
そっちこそ大丈夫なのか。強いんじゃなかったのか。
「すまんなお前ら。依頼されていないのに人を狙ったんだ。罪を償ってくるよ」
「え、マジすか」
「マスター何故ですか」
暗殺者たちが慌てているっぽい。みんなにも黙ってたのか。
しかしギルド長は絶対の信頼があるらしく反発はされないようだ。
一方こっちのギルド長は忠告を無視され勝手な行動をされていた。
ちょっと悪いことしたよね。謝らないとね。先導したのは俺じゃないけど加担したし。
んむ、しかし、きつくなってきた。
目を開けるのがやっとだ。
「ぢょっと待って……。マジで苦しいから殺してぐれ……本当無理」
これ無理なやつだ。治るより死ぬ方向に進んでるやつだ。
サックリ殺してもらえればサッパリ元気になれるのに。
懇願の声は届いてるのかな? 助けて。
そばに誰か寄ってきた気配がしたけどもう無理っす。寝る。




