表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第一章 共和国編
25/113

25.突撃となりの暗殺者

ごんごんごん。


集合住宅の一部屋。ドアをミラージュさんが叩く。

ここに市長暗殺の犯人がいるんだ。ちょっと怖い。


「お邪魔しまーす」


返事も開くのも待たずにドアノブひねって無理やり開けたぞ。なんかベゴベゴ音したんだけど。鍵壊してない?


中は暗く、物音はしなかった。

玄関から縦長に伸びた部屋っぽい。奥のカーテンの隙間からわずかに光が入っている。


「光明」


あ、明るい。

部屋の上部に小さな光の玉が出てるぞ。これってまさか魔法? ローダーか?


ローダーを見たら、何だお前その顔って表情で睨んできた。

やっぱローダーの魔法なのか。水魔法以外も使えたのかよ。


色々聞きたいけど今は聞かないほうがいいっすね。

怪しい人が目の前にいるもん。


しっかりした長袖長ズボンを着ている。手袋はしてない。ブロンドヘアで彫りの深い顔立ち。青目でお鼻の高い二枚目。

そんで銃持って格闘して暗殺者とか映画の世界から出てきたのかな? チートキャラかな? ずるいぞ!


ていうか、何か銃をこっちに向けてるけど。撃たないよね?


ガンガンガンガン!


うおっ! 撃ちやがったな! 正当防衛射撃だ!

反射的に上げた左腕と盾に衝撃が伝わる。天才的な偶然ガードだ。

同時に右の腹にも衝撃が来る。


「うっぐ、ごごごお……」


めっちゃ腹痛い。即死じゃないのは良かったけど逆に苦しいのよ。治りも遅いし。

ていうか、みんな平気?


「お前大丈夫か?」


ローダーが後ろから聞いてくる。左手にいたあつしさんとミラージュさんもこっちを流し目で見ている。


あれ? 食らったの俺だけ?

まさかローダーに負けるとはな。


「今度は4人で押し入ってくるのか……。何の用だ?」


うへ。人を撃ち抜いておいてクールっすね。さすが暗殺者。


というかみんなスルースキル高すぎない? いくら俺が不死身だからって軽く流しすぎだろ。

本当にお腹痛いよ。腹下した時の比じゃないよ。熱いし痛いよ。膝をついたまま立ち上がれないし。

頑張って顔だけは上げるよ。


どうやら暗殺者と話すのは顔見知りのミラージュさんの役みたいだ。


「んやまぁ、ケリン君。早速だけど昨日評議員を暗殺した犯人はお前か?」


どストレート過ぎぃ!

ていうか暗殺は成功してないはずだぞ。ブラフかな。

それにしてもめっちゃ腹痛い。


「なにをふざけたことを。俺は下種な市長しか殺していないぞ」


「んや、市長って……そんなに、悪いやつ? ご飯くれた、ん、だけど……」


市長の人柄について誰も教えてくれないけど殺された理由はなんなの? せっかくだから殺ったやつに直接聞くぜ!


「あぁ? 知らないのか? あいつは違法となった未成年奴隷を不法に屋敷に監禁し、みだらな行為を行った。金と権威と証拠不十分で揉み消されたが依頼を受けて俺たちが裁いた」


「はい死刑」


かわいそうなのは許せないから死刑。みんな異論はないな?

同意を求め横を見たら、ゆっくりミラージュさんが頷いてる。あつしさんは半眼。ローダーは見えないけど静かにしてる。


「女児も男児もいた」


「死刑じゃ足りない」


まあもう死んだものはしょうがない。死んだやつは殺せないからな。

市長が悪事をしているのを想像したうえで脳内で始末しよう。あー、さっぱり。

飯をくれたことは感謝するが、それとこれとは別。マジ許せん。


「俺は市長なんてどうでもいい。親父を狙うのを止めろ。狙う理由も教えろ」


「わがままだねぇ」


気の強いローダーの押しと気が抜けるミラージュさんの突っ込み。

良い警官と悪い警官ってやつだな。俺は賢いから知っているぞ! この二人はたぶん素だけど。


「何を勘違いしているのかしらんが、俺は指定された対象のことしか知らんぞ。お前の親父とやらは俺のターゲットじゃないから何も知らんし、そもそもうちのターゲットになっているのかすら知らんからな」


「そういうことか」


唐突にあつしさんが言った。

えー? どういうこと? 


「もしかしたら君のお父さんを狙ったのは暗殺ギルドじゃないのかもしれない」一拍置いてからさらに言う「依頼せずに直接狙ったのかも」


えええー。じゃあ実行犯探すの難しいじゃん。


「見たこと無い射出系の魔法を使ったって兄貴は言っていたが、お前以外にいるのか?」


「射出系の魔法? 音はどうだったんだ? さっきみたいにうるさかったか?」


「む」


暗殺未遂のときにローダーが家にいたなら音を聞いただろうな。今さっきのでも耳痛くなったし。


俺も当日のことを思い出してみるか。ふむ。


「俺とエルテは爆発音みたいなのを聞いたけど、あれはお前の兄さんの?」


「あー、そうだよ。水属性の上位魔法を使えるからな。おかげで親父の寝室は水浸しになったよ」


爆発音がするほどの水魔法って……。犯人生きてるの?

ローダーは暗殺者に向き直った。


「たしかにさっきみたいな音はしなかったな。でもそれはお前が犯人じゃないだけで他の異世界人が犯人ってことになる気もするが」


「それがうちのギルドとは限らないだろ。転移者がこの世界にどれだけいると思っているんだ」


「たしかに……、すごいいっぱいいるよね。ちょっと困ったな」


あつしさんが悩む。ローダーも一緒に悩む。まいったねこりゃ。

ミラージュさんは笑ってる。ええ……。


「よし。じゃあケリン君、市長暗殺を依頼したやつを教えろよな。簡単だろ?」


右手をにぎにぎしながら笑顔で迫る。怖い!

どっちが悪人か分かんないなこれ。


「え、依頼主のことを教えるのは」


「簡単だろ?」


目の前まで近づいてる。怖い!


「……いや、だめだ。依頼主に危害が及ぶのはだめだ。たとえ殺されようとも」


「ほおーう」


「ちょちょちょちょ、ミラージュ。流石にだめでしょ。市長は話の限り罪があったっぽいし、依頼主も悪人って訳じゃなさそうだからさ。そこは違うんじゃないかな」


お、仲裁された。よかったー。誰か止めないと拷問始まりそうだし。人が怪我するのは見たくないよね。ただし市長は除く。


「じゃあどうするんだ? どうやって解決する気なんだ?」


ミラージュさんが問うとあつしさんはうんうん唸った。

俺は解決法を閃いたけど言うのはばかられるなー。どうしようかなー。


が、ローダーが先に口を開けた。


「おい、だったら暗殺者組合に一緒に行くぞ。お前らが犯人じゃないなら証明できるよな? 完全に違うなら依頼もしてやるぞ」


そ、そう来たか。

俺は暗殺者ギルドに行くだけにしようと思っていたが一歩先を行かれたな。さすがに家族の命が掛かっているだけあって本気度がすごい。ちょっとえらい。


「な、なんでそうなるんだ。俺の立場は」


「じゃー、そうしよう。行くぞ」


「拒否権が無い!?」


首根っこ掴まれて暗殺者は引きずられていく。ミラージュさんがいろんな意味でつよい。


◆◆◆◆◆◆◆◆


どやどやと我ら4人組とぐったりした暗殺者とで家を出る。ドア壊れてるし。イケメン暗殺者君かわいそう。なんか最近同情ばっかりしてる気がするな。かわいそう。


「ひゃっ!?」


え?


「あれ? サピじゃねーか。どうしたんだ?」


「そちらこそどうしたんですか!? 私は狩人組合が近くにあるので狩り系の情報集めてたりしたんですが」


変なとこで会うなぁ。暗殺者の家が普通にその辺にあるのがいかんのだが。


それにしてもサピちゃんって久しぶりに会った気がする。そうでもないのにな。

相変わらずの白くてふわふわ。かわいい。髪と一体になっちゃってる垂れた耳もかわいい。


「親父の件を解決するために今から暗殺者組合に行くだけだ。危ないから近づくんじゃないぞ」


「ひえぇ……」


びびって縮こまっちゃったじゃないか。この馬鹿ローダー! サピちゃんは安全なところに逃げて!


「き、気を付けてくださいねー」


手をふりふりしてる。かわいい。

しかしサピちゃんは一般人な反応をしてくれてよかった。最近変な人しか見てないし。


のんきにサピちゃん見てたら他のみんなが先に行ってる。待ってー。

一瞬和んだけど気合い入れてかからないとな。今から行くところは殺人者の集まりだもんな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ