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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第一章 共和国編
19/113

19.奢ってもらう飯はうまい

食事処『ことりのおどり』

木造建築の2階建て。食堂というよりは大衆居酒屋に近い。建物自体は大きいのに、店内は席を詰め込みすぎて狭い印象を受ける。

こんな狭い通路で料理を運べるのか心配です。


席に座ると水が運ばれてくる。テーブルにメニューの金属板があり、壁にも木の板に書かれたメニューが掛けられていた。席からじゃ遠くて読めない。雰囲気用ですね。


テーブルのメニューを見ていたら後ろから声がした。


「あれ、ロロクさんじゃないですか。奇遇ですね」


「おや、勇者のあつし君か。ここにはよく来るのかい?」


「いやー、待ち合わせがありまして」


なんか見たことある人だ。

あ。全裸時代に話しかけてきた二人組ユニットのもう一人だ。ぬののふくをくれた人だ。

振り向いてあいさつ。


「その節はどうも」


「え? うわあああああああああ!」


こっちを見た途端ひっくりかえる。どうしたの?


「なんんでえ!? 頭に矢が! 死んだんじゃ?!」


あ、そうだった。

急に流れ矢で死んだのが別れだった。あれから死にすぎて全然気にしてなかった。


とりあえず不死身なのを説明。


「な、なんだ。不死身か」


あっさり納得しますね。勇者だけあって色々経験してるのかしら。


「あなたが今の時代の勇者なの? そっか」


いまいち興味なさそうなエルテ。


「あれ? エルテは勇者になりたいんじゃなかったっけ?」


「勇者になりたいんじゃなくて、勇者のような人物になりたいのよ」


そうなんだ。よく分からないけど頑張れ。


「勇者君とも話したいのだが先客がいるとは残念だな。また今度の機会に話そう」


はい、と返事をして去っていくあつしさん。

などと話している間に食べるものを決めたぜ!


「決めた? 私はウミトカゲのオムレツセットで」


「じゃあ俺はこのスタク・マシ・ジョー? で」


豆とエビの麺って説明が付いてるけど何か分からない。

こういう変なのなんか頼みたくなっちゃう!


「私も決めたよ。すみません、ちょっといいかな」


店員を呼び止めて頼む。

結構早く出てくる料理。


ほかほかのオムレツとスープとパンのセット。エルテのだな。

堅いパンに野菜と豆を挟んだやつ。ギルド長のだな。

そして最後に置かれた器。スパゲティ状の麺にたっぷりの油で炒めた剥きエビと大きな豆が入っているやつ。これが俺のか? 胸やけしそう。


「いただきます!」


ずばばっ!

なんか醤油風味。麺はもっちょり。油多いのにしつこくなくあっさりしている。オリーブオイルみたいなさっぱり系の油なのかな?

エビと豆がそこそこ大きく食べ応え良し。

飽きにくいようにスパイスが入っているようだ。胡椒や山椒のような風味。


などと、ひとり脳内でグルメ漫画のように食レポを巡らせているとロロクさんが話しかけてきた。


「二人とも長く冒険者生活をしているのかい? どうだい、冒険者という仕事は」


あれ? 暗殺者の話は?

ずびずび。

こんな人の多いところでは相応しく無いからかな?

でもそれならロロクさんが俺たちと食事に来たメリットがないよな。

ずびずび。

ただ単にロロクさんもお腹空いてただけかな?


「私たちシカとゴブリンしか狩っていないですよ」


「んむぁ、あんまり冒険者っぽくないよな俺たち。シカ狩って、肉焼いて食ってるだけだし」


そういやギルド長って肉食べないのかな? エルフは草食というアレ?


「力の強い転移者たちは大きな仕事に目が行って食料や素材の調達が疎かになりがちだけど、素材提供も立派な仕事だからね。非常に助かるよ」


褒めて伸ばす。


「ロロクさんは転移者だって聞きましたけど、そうなんですか?」


え、そうなの?

現地エルフじゃないのか。


「うん、そうだよ。この世界は超人ばかりだし、能力でもないと所長になるのは難しいね」


チート能力あってもギルド長なんかなれる気がしねぇ。頭が良いんだろうな。顔も良いし腹立ってきた。

でも飯おごってくれたから許したる。


「ヘリックスも便利な能力だったらよかったのにね」


もきゅもきゅ。


「うーん。どっちみち能力が何であれ死んでた気がするから不死身なのはむしろ良かったと思うけど」


ていうか暗殺者の話は?

ずびばー。


「不死身というのは冒険者向きだとは思うね。逆に他にいい仕事とか見つからなかったのかい?」


「他だと農家しかしてないな……」思い返すも大して仕事をしていなかった。「あ、毒見係とかいいかも」


「豪華な料理食べたいだけでしょ」


バレバレだった。でも普通に適職だと思う。


「そもそも毒が入っててもあんた効かないんじゃない?」


「いや、効くよ! すぐ治るだけで」


「雇い主が困りそうだね」


ごくごく。

ごもっとも。

あ、油なのに全部飲んじゃった。

まあいいか。カロリー貯蓄ということで。


「しかし冒険者生活を楽しんでいるようで何よりだよ。これからも頑張ってくれ」


あれ? もう終わるやつ?

暗殺者の話はしなくてよかったのかな?

こっちは嬉しいけど逆に心配よ。逆にね?


みんな食べ終わってお礼を言った俺たちは、お会計を任せて店を出た。


◆◆◆◆◆◆◆◆


「いやー、お腹いっぱいだな!」


「こんなに食べられたのは久しぶり。しばらく食べなくても平気ね」


平気なわけない。けどそのくらいの気分ではある。

そういえばサピと青いのがギルドに帰ってきてるかも。もう一回ギルドに行かなきゃ。


「じゃあ戻るか。よさげな依頼あるなら受けたいし」


「荷物運びとかあったわよ」


まだ見ぬ依頼のことを談笑しながらギルドへと向かった。

なんか冒険者っぽくない? いい感じですね。


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