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異世界で楽しむ100通りの死に方  作者: アラニン
第四章 陰謀編
100/113

100.かぶ・まめ・とり

「金もあるし豪遊しようぜ!!」


「ダメに決まってるでしょ」


「てか豪遊するほど金貰ってないぞ。せいぜい宿代だけじゃねぇか」


指定された宿屋で晩御飯を食べているが、まあ普通だな。メニューはパンとカブのスープとカブの焼いたものだ。カブばっかじゃんこれ。


「で、3日経ったら連絡がくるならその間は観光……もといこの国の調査をするか?」


本音漏れてますよ。

しかしヒマだな。どうしようかな。


「結局国王がいなくなった理由が全然分かってないし、もっと情報引き出さないとね」


「あ、そうだ! それそれ! あのときなんで聞かなかったの?」


「いや流れ的に聞いたら怪しい気がしたのよ。もう一回会えるならその時に聞いた方が警戒されにくいでしょ」


うーむ。

まあ俺なら上手いこと言えなかっただろうし文句は言えぬ。


◆◆◆◆◆◆◆◆


だがとにもかくにも街に出ないことには情報は集まらない。

翌日さっそく街へ繰り出した。


屋台がいくつかあり、豆の甘露煮を串に刺したのが売ってたので買った。甘い。


「俺は図書館へ行きたいんだが」


急にローダーが言い出す。


「え、なんで?」


「ほら、王国のことよく知らないのに国王の失踪のことだけ調べても見当も付かないだろ? だから基本から調べようと思ってな」


「じゃあ勇者の召喚のことも調べてよ」


エルテはローダーを止めるどころか要望を出した。

今度はローダーが疑問を出した。


「え、なんで?」


「国王も元勇者なんだから、もしかしたら勇者召喚の儀式が国王の失踪と関係してるかもしれないじゃない」


「ん、そうか。じゃあ調べてみるけど、そういうことは機密っぽい気もするな。とりあえず分かりそうなところまで調べるか」


「私の方は、お店とか職人の組合とかに聞いてみるわ」


ほえー。

俺は特に何も思いつかない。


「じゃあ俺は何しようかな」


「お前は………………労働者組合で情報集めたらいいんじゃね?」


なんだその間は。

でも他に思いつかないからその方向で。

解散して各々情報収集し始める。



冒険者ギルドではなーんにも無かった。前と同じ、ギルド員が駄弁ってるだけだった。まあ分かってたけどね。ダメダメです。一日無駄になっちゃった。


宿の部屋に帰るとローダーも帰っていた。

話を聞けば、歴史は分かったが召喚儀式については見つからなかったようだ。


「まあとにかくこの国の過去は分かったぞ。勇者を王にする歴史は長くてだな……」


「どうでもよくね?」


「いやいや、つまり勇者がいた場合、王子は王にならないんだよ。王国なのに世襲制じゃないんだ。現に今も王子は3人いるけど、本来なら国王にはならないんだ。もしこのままなら王子が国王になるかもしれないんだよ。それは200年ぶりくらいで……」


はあ。


「でも次の国王が誰とかは国王がいなくなったのとは関係ないじゃーん、じゃじゃーん」


「なに茶化してんだクソがお前なんでも考えないと分からないだろがよ」


とか言いながら手のひらで顎を押してきた。


「なんだお前がなんだ。なんだこの、なんだ」


俺もローダーのデコを押す。

お互いデコと顎を押し合う。

押しながらローダーがさらに文句を言ってくる。


「なんだお前、じゃあお前なんで国王いなくなったんだよお前」


「知るかよお前、また暗殺者の仕業じゃないのか」


ぴたりと神妙な顔でローダーが止まる。止まった隙に顎の手を払いのけてやるとそのまま自分の顎に手を移動させた。


「その可能性はあるな」


「いや、思いついたから言ったけど無いだろ。だって暗殺しても死体は残るだろ。わざわざ隠す必要が無いだろうし」


「それはあいつらの都合によるだろ。隠す理由があるなら隠すだろうし」


むむ。確かにあいつらの目的は分からない。

けれど。


「いややっぱないわ。だってあいつら結構お間抜けだし、城に入り込んで暗殺とか出来んでしょ。そんなんで出来るんなら皇帝殺してるっしょ」


「う、確かに」


「神出鬼没で超強くて人を運べるくらい力持ちの転移者でも仲間にいるなら別だろうけどなー」


そんな人いないよね!


「なんでローダーのおでこ触ってんの?」


「あ、エルテ。こっちは何も分かんなかったけど、そっちはどう?」


帰ってきたエルテは腰掛け、ブーツの紐を緩めながら言った。


「うーん、特になかったわね。国王はあまり外出をしないらしいの。だから情報が少ないのよね」


「え? 国王って外に出なくても仕事できるんだ」


「内政は宰相を中心にしているから、国王はお城と敷地内でだらけていたみたいね。ほら、前に会ったんだから分かるでしょ?」


だらしない体形を思い出す。引きこもりだからだったのか。娯楽も城の中のほうが充実してたのかな。


「ふーん。じゃあ結局のところ身内の人に話を聞かないと分からないってことか」


そういえば王子はともかく王女も一人や二人いるかな? お近づきになれないかな。


「おいいつになったら額から手を離すんだよ」


小言を言われたから仕方なしにローダーのでこから手を離す。

袖でゴシゴシこすっている。いやらしい。


「ていうかよ、勇者がいなくなったのならもう1回召喚したらいいだけだよな? さっさとすりゃいいのに」


「いや、それは聖女がいないと儀式が出来ないからだって勇者記念館にあったわよ」


あったっけ?


「エルテはよく覚えてるなぁ。というか、だとすれば聖女ってまだいるじゃん。今の女王と、あつしさん呼んだ人? が」


「お、そうだ。だったらなんで召喚しないんだろうな」


「ローダーが知らないのは分かるけどなんであんたも分かってないのよ……。聖女が勇者を召喚できるのは1回だけだってば」


そんな話あったか……。だめだ全然覚えてねぇ。ていうか記念館で覚えてることっていったら像の見た目しかねぇ。ワニの人っぽいのいたなぁ。なんならまだ日もあるしもう一回行ってもいいかも。


「じゃあ次は聖女に会いに行けばいいんじゃねぇか? 召喚のことは当然分かるだろうし、もしかしたら国王失踪にも関わってるかも」


なんてローダーがまたもや持論を展開していると夕餉の香りが昇ってきた。こ、これは、お肉の香り。昨日とは打って変わって期待できそう。うふ。



夕食は鶏肉を焼いたのだった。満腹じゃよ。

そして就寝。お風呂に入らず寝るのにも慣れたな。

お城に泊れたらお風呂に入れただろうに。しかも3人相部屋だよ。宰相はケチで本当酷いよ。


などと文句垂れながらうつらうつらしていると外が騒がしくなった。

もしかしてもう朝!? 寝た気がしないよ!


しかし起き上がると全然暗かった。なんだ夜じゃん。

でも窓を見ると外が若干明るい気がする。夜明けとは違う明るさ。なんだろう。

窓を開いて辺りを伺うと同じように窓から外を見ている人たちが目に入る。人々は同じ方向を向いていた。

んー、あっちはお城の方かな。なんか明るいな。でも分かんない。


「ちょっと寒いんだけど。なんなの?」


エルテが起きた。ローダーはふごふご寝息を立てていた。子豚かな?


「なんか騒ぎになってるみたいだからさ。城の方みたいなんだけど」


「そうなの? じゃあ見に行きましょうか」


言うなり身なりを整えブーツを履いた。早い。俺も急いで靴を履く。


「ローダーはどうする?」


「起きなさい」


「ほぎゃ!?」


躊躇いなくチョップで叩き起こし寝ぼけているところにローブをかぶせながら引きずり宿を飛び出した。


「マジで野次馬行くの?」


「そうよ。気になるじゃない。国王と関係あるかもしれないし」


あ、そうだよな。よし気合い入れるか。


「靴を履かせてくれよ」


次回投稿は4/4(日)にします。

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