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鍛錬

「離れる前に、皆でステータス見せ合いません?」


 翌日の朝、全員で朝食を取っていると、ハラルがそう言い出した。


「どれだけ皆が強くなるか知りたいですし」

「そうだね。いいと思うよ」


 特に反対意見も出なかったため、ワタルたちはお互いのステータスを確認し合う。


──────────────────────


ワタル Lv.356


ステータス

筋力:851

技量:702

敏捷:626

耐久:798

魔力:552


スキル

女神の加護

召喚【デスペリアスライム】

召喚【アンデッド】

守護

水の加護

水魔法の威力増加及び範囲上昇。


──────────────────────


エレナ Lv.68


ステータス

筋力:312

技量:341

敏捷:1901

耐久:309

魔力:41


スキル

人狼

加速

憤怒


──────────────────────


マリー Lv.43


ステータス

筋力:120

技量:196

敏捷:102

耐久:136

魔力:2397


スキル

収束

賢者

滅する者


──────────────────────


ハラル Lv.83


ステータス

筋力:387

技量:206

敏捷:175

耐久:1906

魔力:502


スキル

魔法耐性

物理耐性

状態異常無効

硬化

自身の肉体の硬質化。


──────────────────────


「俺あんまりステータス伸びてないな」


 レベルは上がってスキルも新しいものがあったものの、ステータスは最初ほど伸びていない。

 だが、それでこそ今回の鍛錬の意味がある。


「これは頑張らないとな」

「私はステータスとかないし、力の使い方をもっと覚えないといけないかな」


 それぞれが自分のステータスを見て、自分に不足していることを考える。


「ここで考えても仕方ないじゃろう。ワタル、行くぞ」

「そうだね」


 マリーの言葉に従い、ワタルは荷物を背負う。

 荷物にはテントや保存食など、冒険に持っていくものを一式揃えている。


「じゃ、行ってくるね」

「ああ、気が済むまで鍛えてくるといい」


 3人から送り出され、ワタルとマリーは王都を出る。


「ここなら大丈夫じゃろう」


 適当に歩き王都から離れ、マリーが転移魔法陣を発動させる。

 ほどなくして、ワタルの目の前の景色が切り替わった。

 そこはついこの前見た樹海で、魔女の里の近くだ。


「わしはこのまま里に向かうが、ワタルはどうするんじゃ?」

「俺は別方向だから、ここで別れるよ。送ってくれてありがとね」


 そのままマリーと別れ、ワタルは里とは別の場所へ向かう。


***


「マリーじゃ。レイはいるかのう?」


 マリーは里に着くと、中へ入り近くにいた魔女を呼び止める。


「レイは出掛けてるわよ」

「ライラか。レイはどこに行ったんじゃ?」


 呼び止めた魔女の代わりに答えたのは、ワタルの呪いを解いた魔女、ライラだった。


「とりあえず、私の家に来なさい」


 マリーは半ば無理矢理ライラに連れられ、ライラの家へと向かう。


「何しに来たの?」

「魔法の使い方を学びに来たんじゃ。ここなら、わしより魔法も魔法陣も扱いが上手いやつがおるじゃろう」

「なるほどね。レイは今、王都に向かったわよ。マリーとは入れ違いになったみたいね」


 魔女の人間との同盟のために、魔女の里の長は王都に向かう必要がある。

 ライラによると、あと3日は帰ってこないという。


「3日か。暇じゃな」

「なら、私が教えてあげましょうか。確かマリーは回復魔法に魔法陣は使えなかったでしょう?」

「回復魔法は苦手じゃからな」


 マリーは全ての魔法に適性を持つが、それは全てが得意という訳では無い。

 当然苦手な魔法属性もあり、その属性には繊細な魔法陣は使えない。

 暴走の恐れがあるためだ。


「マリーの仲間に回復魔法を使える人はいないんでしょう。覚えておいて損はないわよ」

「まあ……そうじゃな。レイが帰るまでやることもなさそうじゃし、頼めるか?」

「ええ、もちろん。代わりとして、今までの旅のこと聞かせて欲しいわね」


 魔女は里の中で一生を過ごすことが多い。

 マリーの旅路の話は、そんな魔女達にとって刺激的なものなのだ。


「それくらいならお安い御用じゃ」

「せっかくだし、ほかの魔女も呼びましょう」

「騒がしくなりそうじゃな……」


 マリーは苦笑いをしながらも、内心では嬉しく思っていた。

 ずっと疎まれていた禁忌の魔女という自分が、ここで受け入れてもらえた。

 そのことが嬉しかった。


 その夜、マリーによる冒険譚が魔女達に話され、魔女達は全員が話に聞き入ったという。


***


「結構遠かった……」


 レイに聞いた方角や、記憶を頼りに樹海をさ迷うこと2日。

 ワタルは目的の場所についた。


「確かここだったよね」


 かつて竹林があった更地。

 その真ん中に地面と同化した地下への入口を開き、その奥にある階段を進んでいく。


 長い階段を降りると、広い空間に辿り着くが、ワタルは洗脳されていたため、いまいち記憶が無い。

 その空間の真ん中に、見たことのある人物が立っていた。


「来たか」

「待ってたみたいな口振りですね」

「お前が来るのはわかっていた。それで、何の用だ」


 地面に刺した黒い剣に両手を置いている黒騎士、ロンドがワタルに問う。


「なんで俺に居場所を教えたんですか」

「新しい魔王……名前をラースと言うが、知っているな?」


 ワタルは最初にこの場所でロンドに会った時に、自分はここにいると言われていた。

 ロンドはワタルの質問に答えるようにして、話し始めた。


「俺は魔王様に拾われた1人だ。魔王様には返しきれない恩がある」


 ロンドの声音は柔らかく、どこか懐かしむような口調だった。

 それがすぐに、ギシッと音が出るほど拳を握り、怒りに変わる。


「俺が留守の間に、やつは魔王様を封印した。ご丁寧に、俺に呪いまでかけてな」


 ロンドがワタルに鎧をつけている左手の甲を見せると、そこには赤色の小さな印が刻まれていた。

 それは淡く光っており、ワタルはコラールから左腕に受けた呪いを思い出した。


「この呪いのせいで、俺はやつに逆らえない。やつを殺すには、魔王軍以外のやつの力が必要だ」

「それで俺を選んだ、ってことですか」

「察しがいいな」

「復讐ですか」


 復讐は何も生まない。

 現代でも、何度も聞いたことのある言葉だ。


「そうだ。だが、利害は一致しているだろう」

「信用できませんね」


 そう言った瞬間、ワタルの首元にひんやりとした金属が当てられる。

 反応できないほどの速度でロンドが振った剣は、ワタルの首の薄皮を斬り、血が流れ落ちる。


「これは頼みではなく、命令だ。ラースを殺すために、お前を鍛える」


 ロンドはゆっくりと剣を離すと、再び床に刺す。


「お前には見所がある。人間にしてはな」

「言っておきますけど、俺は貴方を信用してませんからね」

「それはお互い様だ」


 ロンドはワタルに背を向けると、奥の扉を開けて歩き出した。


「中を案内してやる。しばらくはここで生活することになるだろうからな」


 魔王軍幹部に戦い方を教わるということな抵抗を感じたワタルだったが、ロンドの腕はワタルを遥かに凌駕している。

 敵であろうと、技術を盗むために習うだけ、そう自分に言い聞かせ、ロンドへとついて行った。

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