表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/74

襲撃

「ピアニはこの地下の構造はわかるんじゃな?」

「もちろん。最初に来た時に歩き回って把握したわ!」

「なら早く、最初の広場まで案内するんじゃ」


 ふふん、と胸を張るピアニには目もくれず、マリーは早く地上への出口がある広場へ急ぐよう言う。

 ピアニは洗脳は解けたと言っていたが、ワタルは男性のため、効きが強くまだ洗脳が続いているかもしれない。

 マリーは焦る心を抑えつつ、できるだけ最速で広場へと向かった。




「ハラル! ワタル!」


 広場に来てマリーが見たのは、肩で大きく息をして座り込むハラルと、うつ伏せに倒れて口から血を流しているワタルだった。

 マリーは意識のあるハラルの方へ駆け寄っていく。


「マリー、洗脳は止めたみたいですね。ワタルが重傷なので、早く戻りましょう」


 ハラルは息も絶え絶えたが、目立った傷はなく、体中に擦り傷があるぐらいだった。


「勝ったのか?」

「後半は押され気味でしたけどね。洗脳が解けなかったら負けてたかもです。ところでその子は?」

「洗脳をした元凶じゃ。悪意はないらしいから、里に連れていくことにしたんじゃ」

「ピアニよ!」


 マリーはワタルの方へ走っていき、ハラルはピアニと何やら話している。


「かなり派手にやったんじゃな。骨が砕けておるぞ」


 ワタルをゴーレムに丁寧に持たせると、話している2人にもう行くよう伝える。

 魔女の里には転移が可能なため、マリーは残りの魔力を使って転移魔法陣で魔女の里へと向かった。




「おかえりマリー。待ってたよ」


 里に戻ると、真っ先にレイに出迎えられた。

 その後ろには、何人か他の魔女達もいる。

 ワタルの傷を見せたところ、これなら治療は簡単とのことで、回復魔法を使える魔女に治療される。

 少しするとワタルは目を覚まし、ここまでのような説明をする。

 そして、本題に入る、


「サキュバスか」

「そうじゃ。それでなんじゃが、ピアニを里で暮らさせたらどうじゃ?」

「その利点は?」

「ピアニの歌はかなり遠くまで聞こえるようじゃからな。野放しにしてまた洗脳されるのは面倒じゃろう。それに、戦力にもなる」

「戦力になっても、ボク達は戦争なんてしないよ」


 レイのその発言に、マリーはわざとらしくため息をつく。


「ワタルとハラルと戦った魔女3人。本気を出してないことぐらい、わしでなくともわかるぞ?」

「やっぱり?」


 レイも最初から騙せるとは思っていなかったらしく、誤魔化すように笑う。


「そうだよ。ボクが里長になってから、方針を変えたんだ。……ボク達魔女は、魔王軍と敵対し、人間と協力する」


 レイは笑顔をなくし、真面目な表情でそう言い放つ。

 背後の魔女達もレイに反論することなく、真っ直ぐ3人を見ていた。

 レイは懐から、1枚の封筒を取り出す。


「ワタル。これは魔女の里が人間に協力するという、意思表示の手紙だ。人間の王に渡してほしい」

「わかった。責任をもって渡すよ」


 それをワタルに渡し、ワタルは大事にバッグへとしまう。


「それじゃ、ピアニだっけ? この里に住んでもらおうと思うんだけど、なにかある?」

「特にないわ。でも、たまには歌わせてほしいわね」

「そこら辺は、他の魔女と一緒に決めていこうか」


 ピアニはこの里に住むことに、特に反対はないらしく、大人しく頷く。

 これで全て解決。

 そう思い笑っていたワタルたち3人だったが、そこへレイの言葉が浴びせられる。


「あ、そうそう。マリーの禁忌の技術のせいで、木々が燃えてるから、明日消してきてね」

「あっ……」


 あれだけの炎を使って、森が燃えない方がおかしい。

 この森は木々にも魔力がこもっているらしく、燃えにくいらしいが、放っておくと全焼しかねないらしい。


「やっぱりやりすぎだったね」

「し、仕方ないじゃろう。あれが確実な方法だったんじゃ!」

「はいはい。ちゃんとみんなで消しましょうね」


 他にもいろいろ方法はあっただろうが、それは言わないでおく。


「そういえば、あの地下は誰が作ったんだろうね」

「わからんが、今は使われてないんじゃろう。人もいなかったしな」

「そう……なのかな」


 胸に引っかかるものを覚えながらも、ワタルはその日は体の回復に務めた。


***


 エレナとレクシアは暇を持て余していた。

 2人は戦闘の相性もよく、クエストも問題なくこなせるのだが、2人とも人間ではない。

 そのため、あまり目立った行動をすることもできず、家でじっとしていた。


「暇だな」

「そうですね。でも、平和なのはいいことですよ」

「それもそうだな」


 エレナはレクシアと何気ない雑談をし、笑いながら昼食をとる。

 今日の昼食は、エレナが作っている。

 レクシアも料理はできるのだが、エレナの料理の腕が飛び抜けて良いため、ワタルたちが居る時でも、料理担当はエレナになっていた。


「がああああああああっ!?」


 と、そんな時だ。

 家の中にいてもわかるほど、男の叫び声が聞こえた。

 すぐにエレナとレクシアは家を出る。

 周囲の家の住人にも聞こえたようで、武器を持って外に出るものや、窓から様子を見るものなど、反応は様々だった。


「どういうことだ」


 叫び声をあげたと思われる男性は、魔族によって剣で貫かれていた。

 魔族は王都の兵士が使う剣と盾を持っており、その数は30を超えている。


「ま、魔族だ!」

「逃げろ! 殺されるぞ!」


 その様子に誰もが反応が遅れたが、すぐに悲鳴をあげ逃げ出すなど、大通りはパニックになった。


「エレナちゃん」

「わかっている。やるぞ」


 エレナとレクシアの反応は早く、素早く頭を切り替え魔族へ向かって走る。

 なぜ魔族が王都にいるのか。

 そんなことはどうでもいい。

 それよりもまずは、人々を助けるのが優先だ。


「ふっ!」


 エレナは得意の敏捷をフル活用し、魔族たちとの距離を詰め白夜を振り抜く。

 それで縦に重なっていた魔族を複数仕留めるが、エレナに気付いた魔族たちが、一斉に襲いかかる。


「らあっ!」


 そこへ、1人の男が飛び込んでくると、右手に持ったタワーシールドで魔族を吹き飛ばしていく。


「エレナだったか。国民を助けてくれてありがとうな」


 その男、アルマはエレナに一言礼を言うと、襲い来る魔族の攻撃を、全てタワーシールドで弾き返し、左手の剣で切り払う。

 その他にも兵士が到着したようで、大通りの各所で戦闘が起こる。


「君たちはかくれていてくれ。ここは私達でやろう」

「ヨナス、だったか。私達も戦える」

「気持ちは嬉しいが、ここで派手に戦ってしまうと、目立って正体がバレる恐れがある。やめた方がいい。それに……」


 エレナに声をかけたヨナスは、両手に持った細い剣を一閃させると、近くの魔族を絶命させた。


「私達人間も、それなりに強いんだ」

「……あとは任せた」


 エレナはヨナスの好意に甘え、遅れてきたレクシアと合流する。

 2人は念の為、戦闘区域にすぐに駆けつけられる位置まで離れる。


「ヨナス、遅いぞ」

「この年になると、腰が重い。さて、やろうか」


 ヨナスとアルマは背中合わせになると、魔族を1人、また1人と、確実に葬っていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ