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今日はあの猫はいるだろうか。ここ二、三日程見かけていないのでそろそろ見かけそうな気がする。

そんな適当な感覚に従って、帰り道のコンビニでいつものカニカマを購入する。余れば晩御飯と明日のお弁当に変化するだけだし大した量でもないがよく考えると結構な頻度で買っているなあとも思う。ここ数か月はお弁当にカニカマが使用されたおかずが確実に入っている。


「明日は休みだし、カニ玉とかしようか……」


そうしよう。いつもと違うメニューを作るのは平日だとそんな気力が出ない。おかしいな、前はもう少し色々作ったりしてたんだけど。

駄目な方向に慣れてしまった生活を思い返し、来週からはもう少し気合いを入れようと心にとどめる。……留めるだけで終わりそうな気もする。

コンビニの袋のカサカサとした音を聞きながらいつも通り、三つめの角を左に曲がる。だいたいこの道の、茶色い壁のマンションの植え込みの近くに居座っている。たまに少し離れた塀の上だったり、車の影にいたりもするけど。


「…………ん?」


街灯に微かに照らされた薄暗がりにしゃがみ込んでいる人がいた。それも、どうやら男性の様だ。


「なぁん」


ぼそぼそとした低音の合間に聞き慣れた声が届く。よくよく見れば人影の奥に動く茶色の尻尾。


「なんだ、同類かあ」


しかし今日はお猫さんとの交流は取れそうにない。心なし残念ながら、同類さんの癒しタイムを邪魔する訳にはいかない。……私も周囲にはもうちょっと気を付けよう。

そっと気付かれないよう、道を変えるために引き返した。


「にゃーう」


とても機嫌の良さそうな鳴き声を背に、晩御飯にもカニカマ追加だな、とそっと考えた。

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