永久に
ベージュのラグは血で滲み、あっという間に血溜まりを作る。好餌を奪われた彼は人肉を求め、両腕をもがくように沙織にむけると、うめき声を上げた。
血に塗れた口をだらしなく開け、あ、とも、お、ともつかぬ言葉を口にする。目は白濁し、どこに焦点を置いているのか分からなかったが、沙織を求めるように血で濡れた両手は、虚空をつかむかのようにうごめいていた。
ーーああ、彼が私を求めている。そう考えると、沙織は喜びで背筋をぶるりと振るわせ、恍惚の笑みを浮かべた。
着ていたピンクのルームウエアとレースの下着を脱ぎ捨て。透き通るように美しい肢体を見せ付けるように、彼の下へ歩み寄る。すると温もりがない冷たい手が沙織の腕を掴み、力強く引き寄せた。
熱い鼓動は無いが、たくましい胸板はそのままで沙織はほっと、ため息をつく。
柔らかな沙織の体を堪能するように、彼の大きな手が這い回り、胸や尻を揉みしだく。そして赤く染まった歯が、沙織を求めるかのように大きく上下すると、柔らかな乳房に食らいついた。
ぷつりと赤い血玉が白い肌に浮かび、焼け付くような痛みが襲う。それとともに痺れるような快感がともない、沙織の体は熱く潤んだ。
ぐちゃぐちゃと彼が沙織を噛み砕くたびに、びりびりと痺れるような苦痛と快楽が入り混じる。ごりっと、音をたててを骨を食まれれば、沙織の体は快感に打ち震えた。
ーーもっと食べて、私を食べて。
べりっと、左胸の乳房が噛み千切られ、彼の口からだらりとぶら下がる。溢れだす血をすすり、くちゃくちゃと旨そうに咀嚼して、ごくりと喉をならして嚥下する。
彼の中に入っていく自分を確認すると、沙織は満足そうに微笑んで彼を強く抱きしめ、冷たいほほに口付けをおとした。
彼に食まれて、彼の一部になる。
これで永遠に彼と一緒……。