踏みにじられる想い
「……教えてほしいのです。お願い……します」
あれから一月。
皆がどこにいて、どういう状態なのか、一刻も早く知りたい。
警戒心よりも、皆への想いが勝って、言葉は自然と出ていた。
男は満足げに頷き、付いてくるようにと促す。
「……」
男との距離を一定に保ちながらその後をついて行く。
細い小道を進み裏門へとたどり着く。
人がいないことを確認し、男は外へ通じる門を開け放つ。
「さあ、こっちだ」
「……」
門の前で躊躇うラウラを促す。
(みんなに会いたい)
屈託なく笑うラウルや、優しかった兄姉たちが脳裏をよぎる。
ラウラは意を決し、ゆっくりと歩みを進め、門をくぐり抜け外へと出た。
「!?」
その瞬間、強い力で腕を掴まれる。
抵抗する間もなく、口に布を噛まされ、両腕を後ろ手に縛られる。
「よし! 捕まえたぞっ」
「あはは。まさか、本当にうまくいくとはな」
「よくやった」
口ぐちに放たれる言葉。
門の前には数人の男たち。
助けを求め、ここまで一緒に連れ立った男を見れば、下劣な笑みを浮かべて、ラウラを見ている。
その視線で、この男もグルで騙されたのだと悟る。
「耳長族は単純で馬鹿だとは聞いていたが、まったくその通りだったな」
「!」
放たれた言葉に、恐怖ではなく怒りで震える。
村を滅茶苦茶にされ、たくさんの仲間たちが殺され、そして今また、騙され捕らえられた。
一体自分たちが人間に何をしたというのか?
ただ静かに小さな土地で身を寄せ合い生きていただけだ。
それを踏みにじる権利が一体誰にあるというのだろう。
ラウラは唯一自由になる目で、強く睨みつける。
「チッ。耳長族の癖に生意気な目をしやがって。少し痛い目をみなければ、自分の立場が分かんねーかっ」
忌々しげに舌打ちした男は、ラウラに向かって手を振り上げる。
(こんな人に屈しない)
どんなに痛めつけられようと、たとえ殺されたとしても絶対に屈しない。
そう強く決心し、歯を食いしばる。
バシッ!
「!?」
次の瞬間、痛みは訪れずことなく、なぜか変わりにラウラを殴ろうとした男が吹き飛んでいた。