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終わりの始まり、始まりの終わり
『ジキル博士の夢の戯れ言』(暗黒童話P『ジキル』)
人が廃墟に惹かれるのは、人が知ることのできないその先を知ることができるから――という結論を出した。人は知識欲で動いているのかも知れない。
星について『知りたかった』から天文学は存在する。そんなものだ。
若しくは。ただそこにある、哀愁漂う美を、刹那さを感じたいだけかも知れない。生物が行き着くのは何時だって刹那さを伴う死ばかりである。何が刹那いと言えば死さえ日常であり、死した者が何れ人々の記憶から消え去ることである。それが人間が死を怖れる一番の理由だろう。人は二度死ぬとはうまい事を言った人もいるものだ。
つまり、美も刹那さと紙一重なのではないか、という戯れ言である。