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魔王と突然の死

魔王サイド。




 我が輩は魔王である。


 夜ももう深い。

 最近部下の不摂生が目に余るので、私は部屋を見回る事にした。

 案の定、呑んだまま腹を出して寝ている馬鹿や、酷い場合では風呂で酔っ払って浴槽に沈んでいた奴もいた。

 まぁ、人魚だから死なないけども。飲んだら入るな。良い子も悪い子も、魔王様とのお約束だ。


 ぐるっと城を回って、四天王の私室が最後だ。


「エミリー。夜更かしするな」

「えー! だって、これから『お笑い魔界戦争』がー……」

「ビデオとっといてやるから今日はもう寝なさい」


 エミリーはまだ子供である。

 しかし、最近夜更かしを覚えてきて困る。


「ゴルゴイルよ。お前の働きは有り難いが、無理はするな」

「ゴードンです。お心遣い有り難う御座います」


 ゴードンは毎日夜遅くまでデスクに向かう。

 確かに魔界の為に働くのは有り難いが、身体を壊されては元も子もない。

 たまには早く休んで貰いたいものだ。


「全く……布団をきちんと掛けて寝ろと言っているのに」


 腹を出してぐうぐうと眠るロドリゲス。

 こいつは寝るのは早いが寝相が悪い。

 風邪でも引いたらどうするのだ。


「ラミアン。寝るならテレビを消してから寝ろ」

「まだ見てますけど」


 テレビを消すと飛び起きるラミアン。

 いや、寝てただろ。目を閉じていたの見たぞ。

 結局そのまま意識を失うように寝込んだので、毛布は掛けておいてやる。


 そして、最後。

 こいつで終わりだ。

 

「……スケルトン。お前もか」


 真っ暗な部屋で、テレビの明かりだけがついている。

 白い骸骨が、テレビの前のソファでぐったりと頭を傾けているのを見て、私は深く溜め息をついた。


「寝ているな? 見ないならテレビ消すぞ?」


 返事がない。ただのしかばねのようだ。

 私はテレビを消し、一糸まとわぬスケルトンに毛布を被せた。


「全く、風邪を引くぞ」


 毛布をスケルトンの顔の方へと寄せる。

 骸骨の口元に、私の手がふと触れた。

 そして、私は違和感に気付いた。


「……ん?」


 あるべきものがそこにない。

 私はすっと背筋が冷えるのを感じながら、力無く垂れるスケルトンの腕を持ち上げ、骨のように細い手首に指を触れた。

 ない。

 零れるべき寝息も、血を運ぶ脈動も、全ては彼の身体から消え失せていた。

 ただ、しんと冷たいその手首が、私の身体を凍り付かせた。




「し……死んでる」






ヒント:魔王様も夜は眠い

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